三話 奪還
10/2に大幅リメイクしました。
「それじゃあ突入するとするか」
「神裂、村雨隊の奴らが死なないようにきちんと守ってくれよ」
「大丈夫ですよ、任せてください」
「よし、行くぞ!!」
葉宮の号令の元、葉宮隊と柊隊、そして村雨隊の十人を連れた奪還部隊は「鋼帯」へ突入した。
「おそらくだがたった一日で罠や大きな拠点を作ることは不可能なはずだ」
「ならば拠点は使い回している確率が高いな。それより馬が欲しい!上の奴らに言えばくれるんじゃないのか?」
「くれるわけないだろ……あの父ならば、もしかしたら貰えるかもしれない」
「本当か?!」
「この戦いが終わってからになるがな……すまないな」
「いや、構わないさ。こんな事になってるのは上が無能なせいさ。走って移動じゃ戦うまでに疲れちまうよ」
葉宮と柊からは、敵の占領地だというのに余裕が見える。
「葉宮隊長、もう少し慎重に行ってくださいよ」
「どうせもう衝突だ。奇襲で即座に殺すぞ」
「おう」
それと同時に葉宮隊と柊隊は分散する。
そして、どちらが指示をしたわけでもなく二隊は飛び出していった。
「なんだお前……がはっ」
「れんら……がっ」
拠点に居た五人の男達は、一切の抵抗ができずに殺された。
「よし拠点を制圧したぞ」
「一応確認作業だけしておこう」
葉宮は、地図を取り出した。
「ここで別れるぞ。柊隊は第三拠点を潰し次第、第四拠点へ。俺達はこのまま突き進み、第二拠点を潰し、本拠にしているであろう第五拠点をつぶす」
「俺達も第四拠点を潰し次第、そちらへ向かう」
「待っているぜ!死ぬなよ!!」
「お前こそな!!」
柊隊と別れた葉宮隊は、第二拠点に着いて、拠点に居た敵を倒していた。
「左だ!」
「おう!!」
葉宮の指示の元、葉宮隊は奮起していく。
「た、たすけ……」
(マズイ!!行くにもこの距離じゃ!)
敵に押し倒されて剣を刺されそうになっている男を少年は救おうと様々な案を出し始める。
(どうする?剣を投げれば……いやそしたら外れたときは)
しかし少年の心配は杞憂に終わる。剣を刺そうとしていた敵の首に木の幹が巻き付いていたのだ。
「時間稼ぎナイスだ!葉宮!!」
それを確認した少年は勢いよく走りだし、剣を敵の心臓に突き刺す。
「がぁっ」
「これで……うっ!」
(またか。治まれ……治まれよ!!)
少年は自分を襲う感覚を治めることに集中していた。
「後ろだ!」
「この馬鹿が!!」
葉宮は少年へ叫ぶ。
(クソ!反応が遅れた!!!)
少年は即座に右に避けたが、完全に避けきることは出来ず、肩に傷を受けた。
「このクソが!!!」
しかし、傷に怯むことなく冷静に敵の足を蹴り飛ばし、地面に転がしてから喉元に剣を突き刺した。
「し……ね……がふっ!!」
「お前がな!」
吐き捨て、少年は即座に剣を引き抜く。
「ありがとう。助かったよ」
「別にそれほどの事ではないさ」
「さっきのが最後だな。お疲れさま」
「これで第二拠点を制圧したな」
「そうだな。次は遂に第五拠点だ」
「柊隊の援護は期待するなよ」
「大丈夫ですよ!この森に包まれた地形は葉宮隊長の得意地形じゃないですか」
「能力を使うと異常に疲れるんだぞ…」
「次に行く際に警戒は解かないようにしないとな」
「あぁ、確実に襲ってくるだろう」
水無月の冷静な判断に少年は同調する。
「面倒になるな」
「それなら俺が先頭を切るとしよう」
「いや、やめとけ」
葉宮の提案を少年は否定した。
「お前は数少ない能力者だ。一番大切な人材だろ」
「だからって仲間がやられるのを見るくらいなら俺は……」
「俺がやるよ」
(別に家族や恋人がいるわけでもないし、悲しむ人も少ない、いつでも替えが効くような存在だからな)
「分かった。その代わり無茶はするな」
「無茶なんてしないだろ?」
「いつも無茶して死にかけているだろ!!」
「そうかな」
「命は大切にしろよ!!」
「あぁ、分かったよ」
そして再度葉宮隊は、少年を先頭にして進みだす。
読んで頂きありがとうございます!!
今回の話では、「鋼帯」奪還のための戦いが繰り広げられています!
次回は、敵の能力者が現れます!!
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