この世界の説明書 「用語集 登場人物(四)」
吸血鬼
千二百年頃に起こった流星の異常観測後に存在が確認された。伝記などに書かれている「吸血鬼」とは違い太陽の下でも活動でき、十字架は効かない。ニンニクなどは以てのほかである。
吸血鬼と人間を見分けるのはとても難しく、死んでも再生するところ以外には見分けがつかない。
破宮などの身体能力が異常に高い系統の吸血鬼は、すぐ見分けることが可能。
再生には個体差があり、一度だけしか再生できない者もいる。しかし、一度は必ず死んでも再生する事ができる。
身体の成長は遅く、五百年は確実に生きられると研究で分かっている。
不知火は別ケースで、剣を造り出す際に自分の命を使うという特殊な例であり、実験を行われた事なども重なり早死にした。
吸血鬼の存在を知る者は少ない。
吸血鬼について詳しいのは柊一族のみである。そのため他の一族から情報を狙われている。
英霊
召喚獣の別名。流星の異常観測後に存在が確認された。大抵が人間に協力的だが、人間を嫌い、襲いかかってくるものもいる。契約の儀式を結ぶ事で使い魔として、従わせる事になる。
精神面で繋がっている事が多く、信頼関係を持つ事で力は向上するが、使い魔が攻撃を受けたり、死んだ際に自分の精神まで壊れるという事が発生する。
陽炎などは自分の能力で強化している為、別例になる。
「炎狐」は、最も召喚獣で存在を知られている。また生命力が無い分、死んだ際に術者の精神面にダメージが少ない為、囮に使われる事も多々ある。
五月雨を庇って死んだ「炎狐」は、自発的に五月雨を庇っている。そこから五月雨の面倒見の良さがよく分かる。
使い魔でありながら対等の関係であり、一方的に契約を破棄される事があるので、嫌がる行動を取るのはお勧めできない。
使い魔として召喚獣を使っている中で信頼関係を持つ事で、「血印」というものを結ぶことが可能。互いの身体に「血印」を押し、使い魔もしくは術者のどちらかが死んだ際、そのどちらかも共に死ぬ事になるというリスクの大きいものになる。
しかし、使い魔の本来の力以上のものを引き出し、新たな能力を覚醒させる事もある。
この契約を破棄することはできない。
またこの契約を結べるのは、三匹までである。三匹以上と契約すると精神が振り切れ、死ぬことになる。死なずとも植物状態になる。これは今のところ十三例確認されている事から判明している。一名のみ植物状態、他は皆死んでいる。
「血印」を押すことで、呪言を使って呼び出す事で本来の力を出させるという必要が無くなる。
能力者
流星の異常観測後に存在が確認された。
何も無いところから火を発動させるような化物から、空気中の水分を利用して水を生み出す者まで多々いる。
能力のランク分けがされており、
S 科学的に証明不可能な特殊能力
A 科学的に証明不可能な危険な能力
B 科学的に証明可能な危険な能力
C 危険性無し
の4つに分けられている。
Sランクには破宮の「投影」、陽炎の「蜃気楼」、修一の「雷光」などが挙げられる。破宮と陽炎の能力は、両陣営共に知らない。陣営の判断では、五千人隊で対処するように言われている。
Aランクには時雨の「一心」、雪風の「破弾」、谷風の「龍飛」、舞風の「反発」、荒潮の「水湖」などが挙げられる。陣営の判断では、千人隊で対処するように言われている。
Bランクには慈悲の「磁界」、黒潮と親潮の「火華」などが挙げられる。Aランク同様千人隊で対処するように言われている。
Cランクには時雨と雪風の「治癒」、陽炎の「流動」、磯風の「索敵」などが挙げられる。戦闘に関係ない能力が多いが、戦闘のサポートに回れる能力が多く、殺すのでは無く、生け捕りにするように言われている。
AランクとBランクの危険度は同じだが、Bランクの方が対策を練りやすい為、このようにランク分けがされている。
剣が能力を持つ事の理由は未だに分かってはいないが、柊一族が剣に吸血鬼の力を宿す事に成功した事で、能力持ちの剣の原材料は吸血鬼なのではと考えられている。
呪言
召喚獣を召喚する際に使うもの。また、能力者が能力の発動時にも使うものでもある。
呪言無しでも召喚獣の召喚は可能だが、召喚獣本来の力を引き出す為には呪言で召喚する必要がある。能力者の能力使用の際も同じである。
召喚獣でも能力でもその効果に纏わる呪言を述べている。
召喚獣の場合は、召喚してから解除するまで。
能力発動の場合は発動から一日は持つと獄は言っていたが、それは彼だけである。実際には自分の精神面での疲労が最大限に達するまでである。
能力は想像を利用して生み出すものが多い為に呪言を唱える事で、発動する事を前提に掲げ、能力の発動を活発にさせる。その際に時間が経つに連れて、想像をする精神が疲労を起こす。これに能力者は気付く事がない為、急に能力が発動できなくなる。
精神面に疲労が酷くなると身体が動かなくなるので、そこから無理矢理身体を動かそうとしなければ、能力がいきなり発動しなくなる事は無い。
同族喰い
吸血鬼が同じ吸血鬼、能力持ちの人間などを喰べる事。
能力持ちの人間と吸血鬼を同族として扱うかは議題になっている。
喰べる事で相手の力を自分の中に取り込むことが出来る。しかし、取り込む際に精神下での戦闘を行う事になり、そこで殺す事で力を奪い取れる。その際に負ければ、精神は死に至り、身体は奪われる。破宮は獄が倒してくれている為、戦ってはいない。
獄は殺す際にその人物の記憶を奪い取るが、今の所重大な情報は得られていない。
鮮の場合は別例で、抵抗の意思が無い場合は「共存」と言う形で喰った者の意識下に消えていく。「同族喰い」を行ったものが死にかけたり、死んだ際に顔を見せることがある。
破宮を除く「同族喰い」を行う者は、精神的に傷付くと精神下で倒した相手が蘇る事がある。野分がその例である。
魔術
流星の異常観測後から全ての人間が使える様になった。
使う条件は頭に使いたい魔術を思い浮かべるだけであると考えられている。しかし実際は違う。それが違うと発見したのは修一である。
実は人間の身体に魔術回路というものが存在している。その魔術回路が身体に多々形成されていればいるほど、使いたい魔術を思い浮かべるだけで使うことができる。
しかし魔術を使う際には、周りの環境を利用して行う者が多く、能力の様に使い勝手が良いわけが無い。
また特殊魔術を使う者の利用している物は自分の心臓である。そしてそれには術者は気づいていないことが多い為注意が必要である。
「魔術の理」著作 柊修一の一部引用。
以上が修一の見解である。
特殊魔術の使用者として唯一知られているのはクラベスだけである。
クラベスの特殊魔術は「構造破壊」。
触れたものを破壊する魔術とまでしか分かっていない。
紋章
魔術を使う際に利用される物。
魔術の威力を大幅に増加させることができる。その弱点に挙げられるのは、手間と時間である。
紋章は複雑な形をしており、少しでも書くものを間違えれば魔術の効果を増加させることはできない。
また時間も多くかかり、戦場などでは使えない。使う場合にはその地を占領してからである。
紋章の中で最も簡単なのは「結晶化」の紋章である。
紋章の作成者の自己主張が出てしまう為、紋章に同じ部分があるなどという癖を確認できる。そのため作成者の特定は意外と簡単である。
「結晶化」の紋章は、修一が研究で人が一番死に至り、災害の被害が最も大きいと言われている「優美」という地域を訪れた際に見つけたものである。
しかしこの紋章が吸血鬼の「結晶化」に関わるかは確信を得ていず、その地域を調査した際に見つけた赤色の石の成分が吸血鬼の血の成分と一致した事で、「結晶化」の紋章と考えた。そして実際その仮定は合っていた。
修一はこの事を時雨にしか教えていない。
その理由は、この事で柊一族の吸血鬼の実験がさらに悪化することを危惧しているからである。
修一は柊一族の実験に反対しており、吸血鬼の命を利用して行う実験に憎悪を感じている。
記憶紋章
紋章作成の時短の為に柊一族によって生み出されたものである。
その方法は「干渉」の精神タイプの能力者の手によって、術者の精神に紋章を焼き付けるものである。
精神に紋章を焼き付けられた者には想像し難い激痛が走り、それによって精神障害や植物状態化、最悪な場合では死に至る。これも八例の実例から判断されている。
時雨には八個の紋章が無理矢理焼き付けられている為、いきなり倒れる事などがある。
獄
破宮を支える男。正体は死神。
能力持ちで、鎌で命を刈り取った者の記憶を読み取る事ができる。傷付けただけでは記憶は奪えない。
獄の記憶がしっかりと残っているのは空を落ちてきた時の事からである。
その後血が足りずに暴走を起こしていた破宮と出会い、破宮に自分を喰わせる覚悟を決めた。
その際に自分の命を「デスカルマ」で刈り取り、記憶を取り戻すも誰かと戦い負けたという記憶までしか覚えていず、それから先の記憶には霞がかかっている。その人物が誰なのかも分かっていない。
何故自分が破宮の中で生きているのかは、自分でも分かっていない。
能力は「破壊」。
手に持った物に能力を憑依させる事で使える。この世の全てのものを破壊できる。弱点は無い。
愛刀は「デスカルマ」。剣ではなく、鎌である。実物は無く、獄が望む事で鎌を呼び出せる。収納場所は獄の身体の何処か。
読んで頂きありがとうございます!
今回は獄の設定公開と今まで曖昧に表現されていた用語を詳しく掘り下げました!
そして次回からは三章突入となります!
三章ではいきなり作戦会議が始まり、そこで破宮の心の声を利用して、三年間の各々の成長を書いていきます。
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