二十四話 拷問 ※閲覧注意
グロいため気分を害する事があります。
次話で今回の情報は出るように作りますので、グロいのが苦手な方はそっと閉じて下さい。
陽炎は男を拷問していた。
「お前の名前は」
「……」
黙り込むか。こいつは優秀だな。
「分かった。俺なりのやり方でやらせてもらうぞ」
陽炎は胸元に閉まっている短刀を取り出した。
「まずは爪。嫌だよな?」
こいつ……!!
「まずは名を教えてくれ。それだけだろ?」
「東里……流だ」
「そうか、お前の知っていることをすべて話せ」
「それで話すと思ったか?」
「まぁ思わないな。だが話してもらわないと困るんでな」
「……」
「では宣言通り」
陽炎は胸元からもう一つの箱を取り出した。
「な、なんだそれは?」
「こんな時だけしゃべるんだな。針だよ」
「え……」
流は戦慄した。
陽炎がやろうとしたことが分かったのだ。
こいつ…俺の脳を!
しかしそれは誤解だった。
陽炎は木に縛り付けていた流の右手を持ち上げ、その親指に針を突っ込んだ。
「ぎゃああぁああああ!」
「少し静かにしろ」
陽炎は流の顎を殴りつけ、叫び声を止めた。
陽炎はそのまま黙々と親指に刺した針を引き抜き、人差し指へ刺した。
そして中指、薬指、小指と続けて引き抜き、刺した。
「がぁっ!ぎゃつ!!」
終わった。これで終わりか。
「言いたくなったか?」
「い、いう訳ないだろ…」
「痛みには耐性が付いてきたか。ならば」
陽炎は箱から針を更に九本取り出した。
「一本じゃ…ないのか?!」
流は恐怖し、逃げようと身体をじたばたと動かした。
「動くな」
陽炎の警告も聞かずに彼は動いた。
そんな流を見て陽炎は、彼の右手に短刀を振り落とした。
「あガジャァッ!!」
そして陽炎は固定された右手の指と爪の間に針を刺した。
一本一本自分の指に刺さるたびに流の身体は激しく動き、そのたびに自分で自分の指に
針は深く食い込み、叫び声を大きく上げた。
「はぁ…はぁ…」
「まだ喋らないのか?」
「しゃべ…るわ…けない…だろ」
「そうか」
陽炎は右手から短刀を引き抜き、左手に刺した。
「がっ…」
「次に叫んだらお前の舌を引き抜く。引き抜かれても構わないなら叫べ」
「ひっ!」
やるわけがないだろ?流とやらは拷問慣れしてないな。破宮にも拷問は教えておかないとな。
その後陽炎は左手の全ての指と爪の間に針を刺した。
「どうだ?」
鮮さん、頑張りますよ。あなたに命を救われたんですから。
「いや…だね」
「そうか。『炎龍』!この火鉢を火で炙れ!俺の手は焼くなよ!!」
陽炎は箱から火箸を取り出し、掲げた。
それを「炎龍」は口から火を噴き、加熱した。
そろそろか。
「や、やめて。やめて、ください!」
流の予想は今度こそは間違えていなかった。
ちかづけ…あぁあああ
「ギャアァアァァ!!!」
「これは叫んでも仕方ないか…」
陽炎はこの際だけは叫ぶのを許した。
なぜなら火で炙った火箸を右目に突っ込んだのだ。
それによって目はドロリと崩れ落ちたのだ。
「次は左耳だ。話せ」
「い……や…だ」
ズヌャ
陽炎の短刀は、返事を聞くや否や振り落とされ、左耳は吹き飛んだ。
それと同時に流は失神した。
失神したか。こいつが俺が向かう方向から来たから破宮は生きているだろうな。これは!
陽炎は破宮達がいると思われる方向を向いた。
「これは…舞風のか!!あいつの力は制限知らないからな!」
陽炎はその力を受け、吹き飛ばされかけた。
あいつは木に縛り付けてるからいいとして、結構威力あるな。誰が暴走するようなことしたんだか。敵はいないとして…まぁいいか、こいつを叩き起こして聞き出すか。
「起きろ」
陽炎は流の鳩尾に蹴りを入れ、目を覚まさせた。
「かはっ!」
「一分も寝やがって。お前は今捕虜なんだ。楽なんかしてるんじゃねぇ!」
そろそろ俺自身にボロが出るな。こんなこと言ってたのなんか二十年以上前だもんな…
「い、い…っぷ…ん?うそ…うそだ、ろ」
「嘘じゃないんだな、それが」
嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだ。こんな、こんなじごくのジカンがあぁああ、たすけてくれたやさしいジカンが?一分?イップン?いっ…ぷ…ん…
「あぁああああああ!」
やはりここで人格が壊れ始めたか。あと少しだな。
陽炎は一分と告げたが、これは勿論嘘だった。
流の中の時間を崩すことで、この拷問を陽炎が長時間行っても、流の中では短時間の出来事になるのだ。
「あぁあぁあ…あぁ」
「さてと…続けるか。お前はさっき逃げてきたな」
陽炎は短刀を振り上げた。
「あ、あぁぁあ!はなすから、はなすからやめて」
「なら話せ」
「さっきおれはせ…あれ?誰だっけ??誰かににげるようにいわれてにげてきたんだ」
「生き残りは?」
「かりうすがみなごろし!かりうすすすすうすすううう!」
「もう『希』の対策は取られていたか!」
「かかぁかかあかっかかりりり」
「落ち着くんだ」
ここで陽炎は、初めて荒げた声をやめ、「陽炎団」の仲間に話しかけるような穏やかな声で話しかけた。
「大丈夫だ。俺達は『陽炎団の仲間』だろ?あん…」
「かげ…ろう?ぁあぁぁああぁあぁああ!!」
ちっ!やはり俺の名はもう希たちに知られているのか?!分岐点を間違えたな。仕方ないもう一度拷問をするしか…
「あぁああ……」
陽炎は流の頭を蹴り飛ばした。
それと同時に彼の動きは止まった。
「強く蹴りすぎてなければ軽度の脳震盪で済むんだけどな。久しぶり過ぎて忘れてたな」
陽炎は自分の行動を確認していた。
そして陽炎は再度流の鳩尾を蹴り、起こした。
狂っていなければいいが…
「早く話せ」
「くそ…くらえ」
正気に戻ってしまったか。ぼんやりとした意識の方がよかったが。
「拷問の続きだ」
「い…や…うっ!」
陽炎は流の口に何か突っ込んだ。
これは…まさか俺の耳…!!あぁあ!!
「喰え」
「え?」
嘘だろ?俺が俺のを?
「喰え」
「む……」
「なら話すか。話すのが嫌ならお前のもう片方の耳も斬り落として、口に突っ込んでやる」
「え…」
「それでもって食いたくないならお前の口を裂いて…いや口に手を突っ込んで無理やり押し込むとしよう」
嘘だろ。こいつは…キチガイだよ。人じゃない!!
「どうするんだ。やるのか?やらないのか?」
「わ、わかった。た、食べるよ」
いやだいやだいやだ。何で俺がこんな目に………
「早くしろ」
これは俺のじゃないんだ俺のじゃない。美味い旨い動物の肉。そうだそうだ。
「遅いな」
陽炎は剣を引き抜き、流の右膝に突き刺した。
「遅いからだ」
そしてそのまま振り飛ばした。
「あぁああああああ!」
「後十秒でそれを喰い切ったらこの縄を解いて解放してやるから頑張れ」
「ほ、ほんとう?」
「あぁ」
陽炎は微笑みながら答えた。
よし!これをくいきればたすかる!
そして流は十秒もかからずに自分の耳を喰い切った。
「たべた。たすかるんだ」
「あぁ」
陽炎は縄を解いた。
「やったやったやった!!」
「縄を解いただけだが…」
左足だけで流は必死に逃げようとした。
しかしいきなり片足で歩けるわけなどなく、転倒した。
「にげる。とおくに。みんながむかえに…がぁあ!」
その瞬間、流に激痛が走った。
それと同時に後ろを振り返った。
「あぁああぁぁあああいやぁあだぁあ!」
残っていた左足を陽炎が斬り落としたのだ。
「追わないとは言ってないしな」
「いや…くるな!!」
流は足が無くった。
しかし彼は逃げるために地を這いながら逃げようとした。
必死に地を這うことで進んでいたが、今まで体に痛みを受け続けていたために力のコントロールができなかった。
そして指は、針が突き刺さっていたのがさらに深く食い込み、さらにはへし折れ、変な方向へ向かっていた。
「あぁああ!いやだぁっーーーー!!!」
しかし距離を稼ぐことはできず、すぐに距離は詰められ、流は陽炎に踏み付けられた。
「左!」
ズチャン
「ぁああぁ!」
「右!!」
「あぁああああぁあぁぁぁあぁあああああ」
流は両腕を失った。
そしてそれと同時に痛みと悲しみ、絶望に耐えられずに気絶した。
「さっき間違えたから…」
今度は時間を空けずに流に剣を突き刺して、起こした。
「一分も寝やがって。お前は今捕虜なんだ。楽なんかしてるんじゃねぇ!」
「え?」
「い、い…っぷ…ん?うそ…うそだ、ろ」
「嘘じゃないんだな、それが」
嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだ。
「あぁああああああ!」
ここまでは同じか…確実に脳をいじられているな。ならば!
「さてと…続けるか。お前はさっき逃げてきたな」
「あ、あぁぁあ!はなすから、はなすからやめて」
剣を振り上げなくても話す?!
「なら話せ」
「さっきおれはせ…あれ?誰だっけ??誰かににげるようにいわれてにげてきたんだ」
「生き残りは?」
「かりうすがみなごろし!かりうすすすすうすすううう!」
「落ち着くんだ」
ここまで同じか。
「流、落ち着け。助けに来たんだ。あの男は俺が殺した」
「え…だれだっ…け!そうだ!せんさん!!!」
ここで初めて陽炎は「流」と呼んだ。
これと多量の出血で視点が合わないことが作用し、流は陽炎のことを鮮と間違えた。
「おれ、がんばったんです!ごうもんされたけど!!たえたんです!!」
「よくやった。確認しよう。いつもお前に任せきりだから」
「じゃあまずは希さまについて、あの人は優さまと共に俺たちが所属する『希』を造り上げたんですよ。特に優さまは優しいの優だというのにやることは鬼畜なんですよ」
優か…知らんな。鬼畜ということは強いのか。それともただの小物か。
「俺たちは独立隊で行動しているよな」
「何言ってんですか?俺たちいつもクラベス隊のもとで戦っていたじゃないですか。今回は偶然に分かれて行動しただけでいつもは二十人単位で行動して、退却してるところとか戦闘中のやつらを背後から襲うじゃないですか」
「すまない。前の所属と混じっていた」
「めずらしいですね」
「大丈夫か。あとはあいつらの能力だな」
「なんでそんなことを?」
「いや、今度能力の連携利用を考えていて」
「おもしろいことかんがえますね…」
「大丈夫か。ぼっとしてきているが」
「すこしつかれたんですよ。くらべすさまののうりょくは『きゅうしゅう』そしてそれのおうよう…すこしやすんでも…」
「駄目だ!希の能力だけ教えてくれ!」
「わかりました。のぞみさまののうりょくは…そく…」
「おい!どうした!!どうした流!」
陽炎は流を揺らした。
「死んだか。お前はとても勇敢だったよ。すまない」
それと同時に「炎龍」を呼び出した。
「こいつを焼いてくれ。この勇敢な男をな…」
そして「炎龍」はそれを理解し、流を焼き払った。
陽炎は流を喰おうかとも考えた。
しかしあそこまで拷問を繰り返し、痛みに耐え切った流を称えた。
最後に自分を鮮と誤解し、情報を話してしまってもだ。
「この勇敢な戦士を称えよ!そして歓迎せよ!また一人強者は増え、皆を護る守護者となることを!!!」
陽炎が唱えたのは死者を称え、弔う歌だ。
そしてそれと同時に陽炎の右頬に涙が伝った。
すまない。これからもお前は敵として活躍したのだろう。さっき殺した男南赤と違って自分の命を懸けて戦っていたな。怨め、憎しめ、呪え。俺は一度破ってしまったあの日の約束は次こそは守り抜く。そのためなら俺は修羅に堕ち、外道となり血を流そう。「陽炎団の仲間達」のために。
陽炎は涙をぬぐった。
「さぁ『炎龍』、破宮達を迎えに行こう」
「炎龍」は陽炎を心配そうに見つめていた。
「大丈夫だよ少し敬意を払っていただけだから」
英霊の召喚獣までに心配されているようじゃ駄目だな。強くなりたいな…なぁ不知火。
「『炎龍』、今日はお疲れ。もう戻ってくれていいぞ」
そういうと同時に「炎龍」は消えた。
破宮達が心配するからこれは秘密だな。あいつも褒めてやらないとな。
そんなことを考えながら陽炎は歩いて行った。
読んでいただきありがとうございます!
今回の話は重く暗くなってしまい申し訳ありませんでした。多分この作品は全体的に暗い中でもトップを競う位暗いです。




