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拒絶された世界の中で  作者: ヒグラシ
12/55

十一話 狂気

読んでいただきありがとうございます!


感想お待ちしています!!

 


「なんだよ!あいつは!!!!」

 慈飛は動揺を隠せていなかった。

 今まで玩具のよう遊びのネタにしていた少年が、少しの間で急激な成長を遂げていたからだ。

「あいつ……絶望して…なお戦う意思があるのか?!俺に勝つ気があるのか…」

 そして慈飛は、勝手に空想を推し進めていった。

「あははははっははは!!勝つだって?いいよ!何度でも何度でも殺してやる!」


「あいつ……勝手に自己満足しているな」

 少年は慈飛を蹴り飛ばした方向へ、全速力で向かっていた。

 柊さんのあの効果は凄いな…ここまで動ける。

 そして遂に少年は慈飛を発見した。

 ここで終わらせてやる…だから亮、陽炎待っていてくれ。俺があんたらの分の仇はとるから。

「来たのか?!!!来たんだな!!今殺してやるよ!」

 慈飛も少年を見つけたらしく、いきなり少年を「吸引」で自分に近づけようとした。

 来たか!!!!

 そしてその瞬間、少年は最初のように引き寄せられる方へ、地面を強く蹴り飛ばした。

「またその作戦か…」

 慈飛は、少年の攻撃への対策を考えていた。

 一度「反発」を使い、威力を押し消してから再度少年を引き込もうとしたのだ。

「くっ!!」

 慈飛の読み通り、少年の勢いはかき消されてしまった。

 そして再度慈飛は「吸引」を行い、少年を引き寄せた。

「それしか作戦はなかったの?馬鹿だな!!」

 慈飛は剣を少年に向かって振り落とした。

 また身体が真っ二つになるな。次はどんな味がするんだろう。

 しかし少年は剣を振り落としている腕を思いきり蹴り飛ばした。

「なっ!!!」

 痛みと呆気にとられたことにより、慈飛は剣を落してしまった。

「畜生!!だがどうするっていうんだ!!お前は武器一つ持っていないだろう!」

 慈飛は少年へ向かって、手を向けた。

 亮たちを襲った時のように剣を集めようとしたのだ。

「武器?ここにあるだろ?」

「…え?」

 少年は慈飛の右腕を引っ張り、右肩の関節付近に喰らい付いた。

 ヌチャッガシュッ

「がぁぁあぁあああ!!」

 慈飛は、「吸引」の能力を止めるのを忘れていたため、少年を更に近づけてしまっていたのだ。

 しかし、慈飛も冷静だった。

「このくそがぁ!!!離せ!!!!」

 即座に「吸引」を止め、「反発」を行った。

 しかし少年は、慈飛の右肩に喰らい付いて離さなかった。

 そのため慈飛の右腕は次第に嫌な音が鳴り始めた。

 ど…どうする!!

 慈飛は解決策を練ろうとした。

 しかしその時間を少年は与えることなく、慈飛の右腕を噛み砕いた。

 そして「反発」の力を受け、右腕を銜えたまま地面に落下した。

「あぁああああ!!俺の右腕!!!返しや…」

 慈飛は、自分の右腕を奪われた恨みを少年にぶちまけようとした。

 しかし慈飛はその言葉を言い放つよりも先に驚愕のものを見てしまった。

 少年が、慈飛の右腕を喰べていたのだ。

 狂っていやがる!!こいつどうしたんだ!!!!!

 慈飛は動揺を隠せずに唯々混乱していた。

「意外と美味いんだな…」

 慈飛が混乱をしているうちに少年は右腕を喰べきっていた。

「すごいよ…力が湧き出てくるんだもんな」

「うっっ!!うぁああああああああああああああああ!!!!!」

 慈飛は逃げていた。

 ただ遠くに!!!!とにかく逃げないと!!!!死にたくない!!!

「今までとは逆転していんな!!」

 少年は慈飛を追いかけた。


「水無月!!!!ズタボロの男が」

「こいつ…生きているのか?」

 葉宮隊の隊員の一人が、男を見つけた。

 その男は無数の剣に身体を貫かれていた。

「不知火か?そんな訳…ごふっ…ないな」

「生きているなんて…どんな身体しているんだよ」

 水無月は驚きを隠せなかった。

「なぁ…何であんたらはここに来たんだ」

 男はか細い声で水無月に聞いた。

「葉宮隊長を探しているんだ!!」

「っ!!お前らの隊長はここじゃない!」

 そしてその男はまっすぐの方向を指さした。

「俺は戦ってここまで飛ばされてきたが、葉宮はあっちの方に置いてきた!」

「お前まさか隊長にあったのか?!」

「あぁ…お前らの隊の少年ともな」

「っ!!!おいみんな集まれ!!!」

「「なんですか!!!!!」」

「隊長はこっちじゃない!!俺たちは間違えてこっちまで来ちまったんだ!!」

 葉宮隊の中では動揺が起こった。

「本当に済まない…今から移動する!ついてこれる奴だけでいい!ついてきてくれ!」

 こんな隊長の命がかかっている際に間違えたやつについてきてくれる奴はいないな。

 水無月はついてきてくれる隊員は少ないと思っていた。

 しかしその予想は外れた。

「「分かりました」」

 隊員たちは、文句一つ言わずに水無月の命令に従った。

「ありがとう…本当にありがとう」

 水無月は泣きながら感謝していた。

 隊長…あなたは本当にみんなに好かれていますよ…


「五月雨さん!葉宮隊です!」

「何!!今すぐ合流するぞ!」

「了解!!」

 五月雨は、葉宮隊と合流した。

「こっちには隊長はいなかった!!あっちにいるぞ!」

「っ!!!柊隊長があっちに行っている!!」

「……」

 この時二人は柊との差を痛感していた。


 少年は慈飛に追いついていた。

「早っ!!!うっ!!」

 少年は、慈飛の残っていた左腕を掴み、自分の方へ引き込んだ。

 そしてそのまま蹴りを腹に目がけ、そして食らわせた。

「がはぁっ!!」

 慈飛は蹴りの衝撃を緩和することができず、飛ばされた。

 どうしてだ!!どうして!!さっきまで!嫌だ!!いやだ!!いやだだっぁあ

「終わらせてやる」

 少年は慈飛を喰い殺すために飛びかかろうとした。

 しかしその瞬間少年を無数の剣が襲った。

 なんだ!あいつはもう戦えないまで絶望させたはず…!!!!まさか…!

 そこで少年は気づいた。

 そうかあいつが絶望にこだわっていたのは!俺を絶望の力でどんどん強くしたうえで喰う為だったのか!だから俺もさっきより力を手に入れている!

 ヒュッッ!!!

「チッ!!」

 少年は飛びかかろうとした際に体勢を崩していた為、剣を避け切ることができなくなっていた。

 これじゃまた死ぬか…畜生!油断した!

 少年は自然と死を受け入れていた。しかしその瞬間、少年の前を何かが遮った。

「うっ!!!」

 それとともに少年はもう一度赤い感覚に捕らわれた。


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