第六話・ある意味魔改造
「くの!待てえい!おりゃ!」
「………」
いるよね、3D系のゲームで遊んでると、画面上の視界につられて身体が動いちゃう人。
すみれ姉さんが今、フライト系の3Dシューティングをプレイ中なんだけど、後ろから観察していると、なかなかに愉快な光景である。
自機の動きに合わせて、右や左に身体を傾けたり、前屈みになったりのけ反ったり。
ゆるゆるタンクトップにぴちぴちのショートパンツという謎でラフな組み合わせの格好で、せわしなく動いているために、いろいろと大変なことになっているのだが、そこんとこどうなんですか、すみれ姉さん。
なかなかの質量を誇るメロンがちらちら姿を見せたり、布地がよじれて真っ白な桃が半ばまで見えてたり。
大学の連中は、僕の住環境を羨んだり妬んだりしてくれるが、日常茶飯事でこれだと、女性に対しての印象が少し変わると思うよ?全く色気を感じないチラリズムも存在するのだ。
さて、レポートの続き、と。
★
気まずい。
非常に気まずい。
プリクラのロール紙が切れたらしいとのことで、呼ばれて対応しているのですが。
その。
お客さまがコスプレ衣装に身を包んでいらっしゃいまして。
バニーガールにナースですか。今時、下手なAVでもそのチョイスは避けるでしょうに。
しかも。
男性二人で。
「罰ゲームなんだ」
「はい?」
「だから、罰ゲームなんだよ!本意じゃない、断じて!」
「はあ」
や、別にお客さまの事情は詮索したりしませんよ?
「ついてないよ。さっさと終わらせるつもりだったのにさ、なんでエラーになんだよ」
そんなこと言われましてもねえ?
平日とはいえ、駅そばの立地にあるこの店で、夕方以降のプリクラコーナーとくれば。
まあ、彼らを、くすくす笑いながら、ちらちら見て、ひそひそと何かお話しされてるお客さんが、複数組いる程度には人がいるわけで。
「っと、終わりました。これで…」
げぶふう!?
補給後にマシンが復旧して、無事にプリントされて出てきた。
で、なんでこの二人キスしてんの!?
「だから罰ゲームなんだ!」
「違うからな、そっちの趣味はねえよ?」
僕からプリントをひったくるようにして奪うと、二人はそそくさとその場を後にした。
ひどいめにあったなあ。
★
気まずい。
非常に気まずい。
「………見ちゃった?」
「不可抗力でして、その」
「忘れてくれると嬉しいかなあー?」
「鋭意努力しますです、はい」
おうふ。
またしてもですよ。
ロール紙の補給を終えて、プリントが出てくる段になって、お客さんが妙に慌ててて。
その訳はすぐにわかった。
さっと取り上げられて見たのは一瞬だったけど。
なんともあられもない姿でございました。
「プレイの一環でね」
「プレイ、ですか」
「いろいろあるのよ、男と女って」
「は、はあ。そんなもんですか」
「んじゃね」
見られたこと自体はやっぱり恥ずかしかったらしく、少しばつがわるそうに苦笑いしながら、綺麗なおねえさんは去っていった。
「………」
ふむう。
世の中いろいろあるんですね。
★
「なんで一緒に入れとくかなあ?」
「馬鹿ですよねえ?」
こころさんと、落とし物の財布の中身を確認した時に、プリクラのプリントが幾つか出てきた。
免許証で判明した落とし主らしき男性が、仲良く女性と写っている。
ただ、それぞれ別々の女性とであり、落書きメッセージによれば、それぞれの女性とラブラブらしい。キスとかしてるし。
「同時に付き合ってるんだとしたら、このプリクラだけで三股してることが判明してるよねえ?」
「ですね」
『こころさん、新人さんがさっき財布拾ってましたよね?』
「あ、うん」
『落とし主らしき方がいらしてます』
「お?そうかね。そこにいてもらってよ。持ってくから。それから、手間省きたいから、幾つか情報確認しといてくれるかな?」
『了解です』
早速届けに行こう。
で。
「………」
「………」
「あれ?どうしたんですか?二人とも」
「また別の女性ですかね?」
「なのかなあ?」
「え?え?なんですか?」
みことさんに事情を説明する。
「うわ、事実ならさいてー」
「もしもそうだとすると、いったい何股してるんですかねえ?」
「さあ?」
落とし主の男性と、しなだれかかるようにして腕を組んでいる、どのプリクラにも写ってない女性は、談笑しながらプリクラコーナーへ向かったっぽい。
「またあの財布の中に追加されるのか」
「どうなんでしょ?」
「ま、あたしらには関係のない話だね。さあさあ、仕事に戻ろう!」
★
「………」
新機種のプリクラを設置し終えて、テストで正常に動作しているのか確認のため、こころさんとみことさんが何枚か試し撮りしてみたらしく、事務所の奥の休憩スペースに放り出されていたそれをなんとなく見てみた。
「この目を大きくしたりとか、肌を白くしたりとか、よくわからないんですよね、僕」
「はははー。ちょっとやってみたのですが、新人くんには受けなかったようだね!」
「えー?おもしろいじゃないですか!おめめぱっちりで可愛いでしょ?」
そうかなあ。
「お二人とも素のままで十分可愛いんですから、必要ないでしょ」
「ほえ?」
「ふあ!?」
「?」
「………」
「………」
「…何か?」
「さらっと言いおったね」
「しかも、無意識、無自覚っぽいです」
へ?
ちょっと短め。




