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ゲーセンの輩  作者: 達磨
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第二話・異空間

「新人くん、ガンコンかしてくれる?一応、御手本見せるからさ」


「あ、はい」


 僕はその時。


 深く考えることなど全くなく、腰のホルスターからガンコンを引き抜いて、源本さんに手渡していた。





 《芸夢之塔》はビル丸ごとの多層構造を活かして、各階ごとにジャンル分けする構成で運営しているのだとか。

 僕は今、源本さんに説明を受けながら、フロアを順繰りに案内して頂いている。


 で。


 異変が起きたのは、対戦ビデオゲームがメインの階を回り始めて、少ししてのこと。


 それまでにこやかに話しかけてくれていた源本さんが、突然口をつぐみ、動きを止めてしまったのだ。


 ここで、冒頭に戻る。

 僕からガンコンを受け取りつつ、源本さんは、フロアの一角から目を逸らさない。


 そこには、通路を塞ぐようにして筐体用の椅子に座り、菓子とジュースを飲み食いしながら駄弁っている数人の男性客の姿が。

 食べこぼしや包装紙のゴミがそこかしこに散らばっていて、コンパネに足を乗せている不届き者までいる。


 むう。


「新人くんは、ガンシューやったことあるよね?」


「ええ、もちろん」


「なら大丈夫。基本的には一緒だから」


 はあ。


 なにが大丈夫で、なにが一緒なのかよくわかりませんけども。


「ウチの店はね?ああいう連中には問答無用で対処することにしてるのだよ」


「………」


「だから、見かけたら、こうするのさ」


「!?」


 なんだ?源本さんがガンコンを構えた瞬間、何も無い空間にいきなりポインタが現れた!

 ポインタはやんちゃなお客さんをがっちり捉え…


 ドパン!


「が!?」


 ドパン!


「んば!?」


 ドパン!


「れっ!?」


 ドパン!


「とお!?」


 はああああああ!?


 ぎゅるぎゅる回転しながら吹っ飛び、筐体や壁にぶち当たってばたばたと倒れ伏すお客さん達。

 そこらじゅう血まみれ、大惨事。


「あ、ああああんた、なにななにしてん、人、撃って、う撃って、死ぬ、死、殺」


「まあまあ新人くん、落ち着きたまえよ。ほら、深呼吸、深呼吸」


 ひ、ひ、ふー。


 ひ、ひ、ふー。


「なんでラマーズ法なのか知らないけんども、ほれ、見てみ?」


 あ、あれ?


 あんだけ血が飛び散ってたのに、どこにもない!?


「ダメージエフェクトごときにビビってちゃあ、ここでは勤まらんですよ?」


 だ、ダメージエフェクト?


 どゆこと?


「あ、ドムさん?うん、そそ。今四階。片付けよろー」


 脳内でクエスチョンマークが盛大にラインダンスを踊っている僕の視界に、源本さんがインカムで呼び出したらしい、ボウズ頭のゴツイ男性店員さんが映る。


「ドムさんこっちこっちー!あそこね!」


 ドムさんと呼ばれたその人は、倒れたまま動かないさっきのお客さん達を、ひとりずつずだ袋に詰め込み、ずるずる引きずってダストシュートっぽいところに次々と放り込んでいく。


 あ。


 あーあーあー。


 今日ここに来た時に出入口で見たアレ。

 アレはこういうことだったのか。


 いやいやいや。

 待て待て待てちょっと待て。


 こういもそういうもないよ!

 突っ込みどころが多すぎて、どこから始めたらいいのかわからないって!


「おんや?、対戦格闘の辺りが騒がしいね」


 んえ?


「ウチのお!」


 バキャ!


「!?」


 僕らがいるのとはフロアの反対側、筐体の島の奥。

 ド派手な炸裂音と女性の叫び声が聞こえたかと思ったら、なんか男性客が宙に浮かんでいるのが見えた。


「お店はあ!」


 ド!


「禁!」


 ゴ!


「煙!」


 ズン!


「なんでーす!」


 ガガガガガガ!


「………」


 源本さん程ではないにしろ、割りと小柄な女性店員さんが、踏み込みも出来ない空中を上昇しつつ、拳や蹴りで大の男をぶっとばしながらかちあげていく。

 しかも最後は、華麗な連続サマーソルトキックでフィニッシュだ。


 ねえ?万有引力さん。あなた、どっかに出張でもしてるんですか?


 男性客の人は、エコーのかかった断末魔の叫びと共に床に叩きつけられ、ぴくりとも動かなくなってしまった。

 ドムさんが、「今日は多いな」とか呟きながら、その人をずだ袋に詰めてずるずる運んでいく。が、頑張って下さい。


「ふいー。あ!こころ先輩!」


「やあやあみことちゃん。ナイスエリアル!成長したねえ」


「やははー。お恥ずかしい。ところで、そちらの方は?」


「あ、彼はね、今日からの新人くん。今、店を案内してたところ」


「あ!そうなんですか!はじめまして!天方みことです!わたしもここで働きだして三ヶ月くらいなんですよ?」


「あ、ども。はじめまして」


 おたおたと自己紹介する僕。


 にこにこ笑っている天方さん。………可愛いな。


 ってそうでなくて!もっとほら、大事なことが、ね?


「あの、源本さん?」


「なにかね?新人くん」


「一体、この店はどうなってんですか?」


「ん?どうって、何が」


「や、何がって」


「?」


「なんでこのガンコンで人を撃てるんですか!まき散らされた血はどこに消えたんです?お客さんをずだ袋に詰めるとか!その上ダストシュートにぽい!天方さんのさっきのアレも!空飛んでましたよね?男の人も!物理法則!法律!その他もろもろ!何が?何がと仰いましたか!何もかもですよ!」


 はあ、はあ、はあ。


「………」


「………」


 あ、あれ?


 ねえ。


 ちょっと待ってよ、なんで僕、この二人に可哀想な子を見るような目を向けられてるの?


「まあまあ新人くん、落ち着きたまえよ。ほら、深呼吸、深呼吸」


 あ、え、い、う、え、お、あ、お。


 か、け、き、く、け、こ、か、こ。


「なんで発声練習なのか知らないけんども、どう?落ち着いた?」


「はあ、まあ、多少は」


「いいかい?ここはゲームセンターなんだよ、新人くん」


「知ってます」


「ゲームセンターなんですよ?新人さん」


「だから、知ってます」


「………」


「………」


「………」


 で?


「………」


「………」


「………」


 え?


「あの、説明、それだけですか?」


「他にどうしろと?」


「これ以上ない説明じゃないですか?」


「………」


「………」


「………」


 父さん。


 僕、知らなかったよ。

 父さんとよく遊んだ地元のゲーセンしか行ってなかったし。


 都会のゲーセンは、いつの間にか人外魔境になってたんだね。










 はは。


 ゲーセンだから、か。

 そりゃ、ゲーム的な思考でいけば、全部説明つくよね。


 










 って。

 んなわけあるかあああああああああ!

 操作ミスで毎日更新が途切れるとか、無念。


 目次の掲載順を調整しようとして、コピーを取り忘れて更新回のデータを全消ししてしまいました。


 他の作者の方のやっちゃった話にもありましたが、これは堪えますねえ。


 後程コラムも更新する予定です。かなり後程に。

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