気の利く赤色カーペット
最期ぐらい、静かにして。
終わりなんですから。
終わったんですから。
観たでしょう?
視えたでしょう?
何故でしょう、目の前がとてもとても紅いのです。
私は、生暖かい液体の上に、うずくまっております。
身体の下は硬い床のようですが、木の床なのか冷たさを感じず、然程辛くはありません。
頭は熱く、指先は冷えているようでほとんど動きません。
「――――!」
おや、私を呼ぶ、貴方様のお声が聞こえます。
しかし、其のお声も、霞がかけられたようにはっきりしないのです。
「!」
正直あの方のお声が小さくて、安心しております。
……嗚呼、其のように悲しそうなお声で、私を呼ばないで下さませ。後生ですから。
私と貴方様は遠い昔に切れた身なれど、私は未だ貴方を愛しているのですから。
とてもとても、辛いのです。
「わか、」
あの方の御声が、段段と遠くなって参りました。
これで、ようやく眠ることがます。
前髪の代わりに、瞼を下ろしました。
「では、おさきにしつれい」