黒-3 眩しいモノ
異質の空間に立つ2人の少年
年は、自分と同じくらいだろうか。少し下か。
「フェル」
金の少しくせのある髪に
銀・・・プラチナのようにやたらキラキラとした瞳、装いを持つ少年はフェルと呼ばれていた。
「わかってるだろ。戻ろう。」
もう一人も銀の髪に紫・・・アメジストの瞳がキラキラと輝く少年。
名はわからなかった。彼はどうやらこの場からはやくいなくなりたいらしい。
「フェル!」
「わかったよ」
まって。
そう口から声がでそうになった時
2人の姿は消えていた。
「ま・・・って・・・」
声は掠れて喉からうまくでなかった。
そういえばここ1年ほどほとんど声を出してこなかったから?
「まっ・・・て・・・フェ・・・・ル」
フェルという音を発音すると、
胸が締め付けられるように痛かった。
それと同時に目からこぼれ落ちるものを感じた。
手で触ってみて、それが涙というものだと半信半疑になる。
私が泣いてる?
なんで?
「フェル・・・・?」
今度はちゃんと繋げることができた少年の名前。
消える間際に見えた、心底嬉しそうな笑顔。
あんなに眩しいもの、私は知らない。
「フェル」
静寂な森に、自分の少し枯れた音だけが何度も響いていた。