表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

1話取り巻きの様子が可笑しい

「う、うぅぅぅ。」


目を開けると知らない天井にカーテン。


これがほんとの異世界転生だよな!


てか、夢落ちって事はないよな?


有り得るなぁ。だけど、だったらもっとましな夢を見させてくれても良くないか?




ベッドから立ち上がり机の上に置いてあった鏡を手に取り自分の姿を確認する。




「はぁ……………。まぁ、だよなー。


あの二人の側に居る奴なんて一人しか居ないしな。


それにしたって何でこんな奴に転生しなきゃならねえんだよ!」


このエロゲ世界の寝取り悪役…………の取り巻きの一人、恵那蓮斗えなれんと何かに。


もっと、親友ポジションとかが良かったんだけど!


鏡の前に居るのはあの大男達とは違って少しひょろくて低身長で目つきの鋭い金髪の男が立っていた。


俺がこの状況にがっくりしているとガランと病室の扉が開く音がした。


鋭い目つきで出入り口を睨みつけると。




「あ!もう起きて大丈夫なの?!」


心配そうにベッドまで慌てて駆け寄って来る如何にも優しそうな青年が怪我をしているか確認しているのだろう、俺の体をベタベタと触りまくる。




「や、やめろ!何だお前は」


俺はわざとらしい叫び声をあげる。


俺が蓮斗なのであれば彼等に関わるのは得策ではないだろう、彼等は幸せにならなくてはならないんだ。




「え?……………そっか!自己紹介がまだだよね!


僕は桐生誠司きりゅうせいじって言うんだ、よろしくね!」


面と向かって元気良く挨拶をするとニコッと満面の笑顔を見せてくる。


ぐ、ぐおぉぉぉぉ!


ま、眩し過ぎる。これが主人公なのか?


でも、このゲームの主人公はあんまり幸せそうではないと思うけどね。




「誠司、一応同じ学校だから知ってると思うわよ?」


そして、もう一人扉から入って来る気配がしたかと思えば何度見ても美少女と言う感想しか出て来ない様な女の子が入って来た。




「そうかなー。年上だと思うから知らないんじゃない?」


残念だったな、一応知ってるぜ?


ゲームの話だけどな!


それよりも気になる事がある。




「お前は大丈夫なの……か?結構腫れてるし傷も


多いが入院とかはしなくても。」


かなり酷い怪我だ。絆創膏ではとても隠しきれない様な傷だってある。




「う、うん!少し痛いけど動けない程じゃないよ!


だから心配しないでね!」


うーん。少し能天気過ぎるんじゃないか。


何故、こんなに笑顔で居られるんだ?


あんな事が起きた後なのに、平気で居られる筈が


ない、だけどニコニコと笑顔を絶やさず気安く俺に話かけてくる。




「ど…………して。」




「ん?何か言った?」




「どうして、平気で居られる?何故、俺にそこまで気安く話しかける!理解出来ない。


お前は俺にされた事を忘れた訳じゃないだろうが!


言ってしまえばお前の敵だぞ、そんな奴に良く笑顔で話かけられるな。可笑しいんじゃないのか?」




「……………僕は確かに辛い目に遭ったよ。


けどさ………君はあいつらとは何かが違った。


あの時の君の行動がまぐれや気分何かじゃないって事くらいは分かってるつもりだよ。」










◆◆◆








「……………………………や……………め。」


僕は必死に声を絞り出し手を伸ばす。


けれど………遠い、全く届かない。


このまま全てを失ってしまうんだろうか、そんな事が頭に過ると恐怖で涙がぽろぽろと止め処なく溢れ出る。……………嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!


僕の幼馴染、千依夏ちいかは大切な人何だ。


どうして!どう………して。


彼女が何をしたって言うんだ!千依夏は誰にでも


優しくて相手が誰であっても助けるような素敵な


女の子だ、そんな子がこんな目に遭って言い訳がないんだ!こんなに叫んだってどうにもならない。


でも、この男の暴力に耐え続ければ千依夏は助かるかも知れない。




なのに……………千依夏は僕のせいで媚薬を自分から飲もうとしている。僕が弱いせいだ!


なんで!どうしてこんな理不尽な事が!


僕達は何もしていない、ずっと真っ直ぐな千依夏は曲がった事が大っ嫌いだった。


だから、弱い者虐めをしていたこの三人を注意して教師に報告しただけだ!それの何が悪いんだよ!




僕はこの世界を初めて憎んだし、この三人を本気で《《殺したい》》……………そう思ってしまった。




だけど……………一人だけ………、明らかに様子の可笑しい人物が居た。恵那蓮斗。


この男は何処か二人とは何かが違った。


具体的に言えば表情だ、あの二人は心底楽しそうにしているのに恵那蓮斗は何だか困った様な顔をしていた。それに、彼は一度も僕や千依夏に触る素振りも一切見せなかった。


でも、だから何だと言うんだ。


この大男達に太刀打ち何て出来る訳もない。


もう直ぐ大切な人が消えてしまう、必死に足掻いて必死に手を伸ばしても掴む事が許されない。




絶望で顔を染めた、その時少しだけ視界に入ったんだ、君の行動が。




何故…………ライターを?


恵那蓮斗は大男達の持っていた鞄からライターだけを取り出して何かしようとしている。


だが…………彼がした事は予想外………嫌。


とんでもない事だった。




ブワァ


ブワァ


ブワァ




ライターを床に放り投げたのだ。


…………火を付けたのだ。


何て人だ、まさか全員殺すつもりなのだろうか?


嫌、僕は千依夏さえ生きてくれればそれでいい!


火が部屋中に広がり大男達はその巨体を揺らし慌てふためいている。そして、火をつけた本人は何事も起きていないかの様にとても静かで冷静だった。




「てめえ、何しやがる!馬鹿じゃねえのか!」


恐らく子分であろう学校の有名人。


新嶋許都は火を付けた本人である恵那蓮斗の胸倉を掴んで怒り狂っている。




「ふっ。あんたは所詮は三流だ。


三流のモブは引っ込んでろよ」


良く分からないが恐らく煽ってるのだろう。


カチンと来た新嶋許都は拳を振るってしまった。




「うぐっ。………直ぐに手をあげる所も三流なんだな。」


殴られても煽り続けている。


彼は一体何がしたいんだろうか。


だが、視線が彼に向いている間に僕は這いずりながらも千依夏に近付いていく。


必ず!絶対に千依夏だけは逃がして見せる!


だけど、千依夏に近付く前に




「ピピッ ピピッ、火事です。火事です!」


火災報知器が火の煙に反応して鳴りだしたのだ。


それもあってあっちこっち大騒ぎである。


だが、ホテルの従業員は火災報知器の鳴ってる方向


…………つまりこの部屋に向かって足音が聞こえて来る。




「お、おい。これ不味いんじゃ。


流石に警察にこんな所を見られたら人生が終わっちまうぞ!」




「兄貴、どうすんすかぁ!逃げ場がねえっすよ!」


あっちこっちに人が居るせいで姿を隠す事は出来ないしこの部屋から出たらこの状況がバレてしまう。


涙を流している下着姿の女の子と複数の男がホテルの同室に居たらとてもじゃないが怪しむなと言うのは無理がある話だよ。




「チッ。なら、いっそ最後に楽しんでやる!


クソがあぁぁぁぁ!」


もう、逃げ場のないこの状況でやれる事はないと


悟ったのだろう。しかし、それで終わる様な男達ではなかったんだ!ヤケクソ気味に下半身の方まで脱ぎ出したのだ。


そのまま、千依夏に向かって襲いかかる。




「ぐっ。だめ…………だ!」


僕は必死に飛んで足にしがみついた。




「に……………、げて。」


それでも、千依夏が逃げる事はなかった。


涙を流しながらこの危険な状況を眺めている。


どうして…………逃げてくれないんだ!


そう強く思うが、やはり幼馴染を置いて行くなんてお互い出来る訳がないんだ。


それでもここで逃げなきゃ本当に取り返しのつかない事になってしまうかも知れない。




だけど……………僕が佐藤健二を押さえても後二人居るのを忘れていた。


新嶋許都は物凄い形相で千依夏に腕を伸ばす。




「だめ…………だぁー!」


僕の声は届かない。……………やめてくれ。


お願いだから千依夏を傷付けないでくれぇ!


だけど、そんな僕の悲痛な叫びは届く事何てなくて。無慈悲にもその手は千依夏に迫りくる。


恐怖で身を縮ませ絶望で顔を染める、そんな幼馴染の姿何て一度だって見たくなかったのに。


絶対に守るって…………そう思ってたのに!


口からは血が止まらないが涙も止まらない。


今は、人に見せれる様な顔をしてないだろう。




でも…………何時まで立っても新嶋許都の手が届く事はなかった。




「悪いけどさ………悪役にだって美学があるだろ?


ほら……どこかのアニメキャラのベクトル操作出来そうなわるーい男も言ってたろ?


悪役にも美学ってのはあるんだぜ?」


言ってる事はあんまり理解出来なかったが何故か


仲間であろう恵那蓮斗は襲いかかる新嶋許都と


千依夏の間に割り込んで邪魔をする。




「ぐう!てめえ!何しやがる、そこどかねえと


ぶっ殺すぞ!」


そんな脅迫をされても一歩たりとも譲る意思はないと言わんばかりに見事な仁王立ちをする。






「おい、そこの女!早くそこに居る雑魚野郎と一緒に逃げな。じゃねえと無事じゃすまねえぜ?」


そして、何が起きたのかは分からないが恵那蓮斗は僕達を出入り口付近まで逃がそうとしている。


佐藤健二と新嶋許都は頭に血が昇ってるのか冷静な判断が出来ず彼等のヘイトが一気に僕達から恵那蓮斗に集中する。全て彼の思惑通りなのだろうか?




「ぐっ。………今は考えるのは後………だ!」


最後の力を振り絞り千依夏の手を取って何とか部屋から出る事に成功する。


血でとても汚れてしまったが下着姿よりはましかと思い制服を上から着せて人の居る方向に走る。


助けを呼ばないと!


本当に何だったんだろうか、彼は悪い人だと言う噂は聞いているし実際に話した事もあるが口は悪いし態度も悪いから良い印象何てなかったんだけど。


本当に悪い人があんな事をするんだろうか?








◆◆◆








「と言う訳だから、僕は君は彼等とは違うとそう


思ったんだよね。それに千依夏もお礼を言いたいって聞かないしね。それを抜きにしても僕は君とお話がして見たかったんだ。」


こいつは本気でこう思ってやがる。


だけど……………俺は悪役だ、皆の幸せを願うなら


孤独で居た方が良いに決まってる。


だから………俺は既に決めたんだ。


今まで通り悪役に徹するってな!




「それにしても、本当に心配したんだよ?


君は覚えてないかも知れないけどあの二人に何度か殴られたのか顔に痣が出来てたし。


それで、部屋の中で倒れてたんだよ?」


そうか………そう言えば俺が病院に居るのも不思議で仕方なかったが単純に俺が主人公よりも脆くて


弱いから簡単に気絶したって話か。




それにしても、あの屑共は一体どうなったんだろうな。俺含めてな。なんせ、俺だって部屋を燃やした訳だからな。捕まるんだろうか、そうなれば学校には居られないだろう、ま!そっちの方が皆的にも俺的にも一番良い結末なのかもな!




まぁ、なる様にしかならないよな!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ