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夢
明らかな異常事態。
死にゆく人を足蹴にする観衆。
死体を前に過行く日常。
暴力の横で客呼びをする肉屋。
危険だから出会歩くなという。
枯れ木のような老人が物乞いをする。
棍棒を持って跋扈する鬼。
痛ましげに見る男。
侮蔑を乗せる店員。
異常を知らせると、奇怪な目を向けられる。
恐ろしい。
恐ろしい。
己の正しさが疑わしい。
己の倫理が通用しない。
恐ろしい。
恐ろしい。
この異様な町の中で、正常なのは己なのかあの鬼らなのか。
つま先から痺れるような恐怖がせりあがってくる。
声をあげれば、道に転がるのは私だ。
どうか救いを。
祈り。