蝶ガ散ル
虫は好きでもないんですけど(笑)
翅ヲ散ラシタ蝶タチノ夢
ステンドグラスの破片の海
掬いあげる掌はなく
蹂躙る靴底だけか
きみがたどり着きたい花があったのなら
連れてってやりたかったけど
ひとはつむじ風にばかり 勇ましい名前をつけて
そよ風には何もくれてやらない
穏やかな凪に腰を浮かせては
吹き荒ぶ嵐に居座りを決め込む
翅ヲ散ラシタ蝶タチニ問ウ
尻切れ蜻蜓の行方は彼我?
曳いてまわる尾は はじめから
はえちゃいないと忘れたか
きみが描いて遺した歌を口ずさんで
太陽へ飛びたかったのに
ひとはつむじ風をばかり 畏れては震えあがるよ
そよ風など誰も気には留めない
浅はかな知恵に指を鳴らしては
厳かな真理にだんまりを続ける