解決策。
猫達に見捨てられた以上、自分でどうにかしないといけないわけだが。
こ、これをどうしろと……。
目の前でチャビとくぅが睨み合っている。
ぶわぶわと尻尾を太くし、背中の毛はさかだっていた。
あー、うん。無理だわ。
だって魔王×2だぞ!?
うっかり手を出そうものなら……。
ちらりと、おそらくでっかい虫さん、もとい魔王であっただろう焦げ跡を見る。
ヤダー! まだ死にたくない!!
「いたっ……!」
じたばたとしたはずみで、身体中の痛みを思い出す。
魔王につけられた傷は、じゅくじゅくと爛れ熱を持っている。
掻きむしりたいような不快感と、おぞましい傷跡。
さっきまで必死だったから、忘れていた。
まぁ、チャビもいなかったから〈回復〉できなかったからな。
ん? 待てよ。
あ、これならイケるか。
「あ、いたっ。痛いぃー」
呻きながらうずくまる。
あまり大げさにやり過ぎると駄目だしな。
というか、普通に痛い。
不自然な方向を向いていたりゅうたろうが、こちらを振り返った。
「痛いよー、痛いー」
慌てたように、りゅうたろうが駆け寄ってきた。
後ろにせりやキングもついてきている。
ふさふさのしっぽを揺らしながら、よつばが私の顔を覗き込む。
「にあん?」
「うん、大丈夫だよ。……あー、でも、痛いなー」
よつばが前足をちょいちょいと動かした。
痛みが和らぐ。
やはり、呪いのようなものも付属していたのか。
放置すれば、いずれ腐り落ちていたかもしれない。
そういや、あれ魔王だったな。
うちの猫達にとっては、ただのデッカイ虫さんだったが……。
くぅは先程から唸るのをやめ、しっぽをぶんぶんと振りながら私の方を見ている。
「チャビ、痛いよー」
そこで、ようやくチャビが正気に戻ったようだ。
私のところへ駆け寄ってくると、ごろごろと喉を鳴らしながら体を擦り付けてくる。
傷が、跡形もなく消えていく。
私は小さく息を吐いた。
身体が楽になった。
自分で思っていたより、ダメージを受けていたのか。
世界滅亡の危機を回避した安堵感もある。
だが。
「福助! おこん! あんた達、ちょっとくらい心配しなさいよ!」
我関せずを貫いている福助達に向かって叫ぶ。
泣くぞ!?




