表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。3 勇者召喚⁉ 狙われているのはうちの魔王様……?  作者: たまご


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/50

古き祈り。

「私は相田つかさ。レオの知り合いで、マリアを捜しに来たんだよ」


「では、勇者様もご無事なのですね」


「うん、大丈夫」


 少女は私の顔を見あげた。


「申し遅れました。私は修道女見習いのベルと申します」


 細いしなやかな金の髪はよく手入れされ、着ているものは修道服だから簡素ではあるものの、上等な織物で作られているようだった。

 話し方といい、それなりの家の出なのは確かだろう。


「時間がないから、率直に聞くね」


「なんでございましょう?」


「ベルは、この国の古い言葉を知っている?」


「古い、言葉……?」


 ベルが首を傾げた。


「アレを止めるのに必要なんだ」


 アレ、と言いながら私はちらりと化け物達の群れを振り返った。


 りゅうたろう達が奮戦してくれているが、やはりキリがない。

 取り逃がしたやつはサナ達やエルフ達が対応してくれているが、それも次第に疲弊していくはずだ。


 今までの経験からいえば、終わりの見えない戦いは精神的なストレスから疲労度が高い。

 逆に「ここさえ、しのげれば」という予測がつけば乗り切れる事も多い。


「……古い、祈りの歌なら存じています」


「祈りの歌?」


 ベルは青褪めて白くなった顔で、こくりと頷いた。


「王族や貴い方が天に召される時に歌います」


 天に……。鎮魂歌みたいなものか?


「悪いけど歌ってみてくれる?」


 この惨状の中で歌え、というのも酷な話だろう。

 だが、どうしても必要な事だ。


「ベルの事は、私達が守るから」


 そう言いながら、私は大鎌を取り出して身構えた。


「は、はい。大丈夫です、歌えます」


 ベルは周りを見回したが、すぐに目を逸らした。

 体を強張らせるベルに、せりとよつばが体を擦り付けた。


「……皆様をお送りするのは、私の役目なのでございましょう」


 ベルは立ち上がり、胸に手を当てた。

 血の気の失せた唇から、か細い歌が紡がれ始めた。


 やはり聞き覚えのない言葉だったが、なんとなく意味は理解できるような気がした。


 歌声はやがて大きくなり、次第に場を覆い始めた。


 ……いや、待て。

 大きすぎないか、これ?

 人間が出す声にしては……。


 どういう事だ、と見てみれば、相変わらずせりとよつばがベルに体を擦り付けている。


「…………」


 もしかして。


 さっきからのアレはベルを励ましていたわけじゃなくて、魔力をベルに注いでいたのか!?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここの猫さんは、即物的というか現実的というか。そっと寄り添う暇があるなら、効果のある対策をするべきと思ったんでしょうねせりさんとよつばさん。仲間が戦っているわけですしね。 現実的な対処は、つかささんの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ