表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。3 勇者召喚⁉ 狙われているのはうちの魔王様……?  作者: たまご


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/51

一騎討ち。

 魔王は剣を振りかざして、私に襲いかかってきた。


 おっと、よけいな事を考えている場合じゃなかった。


 大鎌を構え直す。


 魔王が使う剣は、ジルコニア王国の王が持っていたものだ。

 装飾は見事だったが、冒険者稼業をやっている私から見れば著しく実用性に乏しい。

 だが、魔王の瘴気を帯び、その刃は闇のように黒い炎をまとっている。


 あれで切られたら、おそらく私の体も火の宝剣で切られた魔王のように焼け爛れ、痛みにもがき苦しむのだろう。


 だが、しかし!


 頑丈さだけは自信があるんだよ。

 うちの猫達に蹴られ噛まれ引っ掻かれ、それでも無傷だからな、私は!


 魔法やスキルは、せりとよつばが無効化してくれる。

 ならば、あとは体力腕力勝負。


 やってやらぁ!!


 魔王と一騎討ちを始めた私に、レオやマリアは呆気に取られているようだった。

 ただ、魔王との戦いで全力を出せず、挙げ句に私に横取りされた形になったせいなのか、くぅが睨んでいるような気がする。


 あとが怖い……。

 いや、でも、あんた達の為にやってるんですけど!?

 くぅ達は、魔王にトドメさせないでしょうが!


 ……うん、知っている。

 猫に正論は通じない。


「くっ……!」


 左腕を切られた。

 頑丈さゆえに傷こそたいした事はなかったが、切られた所が熱を帯び、疼くような痛みと、掻きむしりたいような不快感がある。


 負けるもんか!

 猫達を守るんだ!!


 大鎌を振りかざし、魔王に斬りかかる。

 魔王もまた、私の大鎌により赤く焼けただれた傷が増えていく。


 私が魔王と一騎討ち出来るのは、私が冒険者として鍛えていたからだ。

 対して、魔王の容れ物であるジルコニア王国の王は非力な老人の身体だ。


「◆○△◁■▼!!」


 魔王が何やら聞き慣れぬ言葉で叫んだ。


 何だ? 何を言っている?


 魔王の身体についた赤く焼けただれた傷がめりめりと裂け、まるで昆虫の羽化のように中から別の体が現れた。


 真っ黒く湿ったような羽毛に覆われた巨大な体。

 昆虫の複眼のような黒い巨大な目が、頭らしき箇所に幾つもついている。


「ううぅぅぅ!!」


 せりが魔王に向かって唸っている。


 ……もしかして、これ。

 魔王の最終形態とかのアレか、アレだな。


 瘴気の濃さが段違いに酷くなった。


「コハク、下がって!!」


 マリアを背中に乗せたコハクに指示を出す。


「あっちに参加してくる!」


 高く飛んだコハクの背から、マリアが叫んだ。

 いまだ魔法陣からは有象無象の化け物どもが湧いて出てきて、りゅうたろうやおこん達が奮闘してくれている。

 コハク達は、そちらに向かって飛んでいった。


 さて、問題はこちらだが。


 私は慌てて後ろへと下がった。

 もはや、私の出る幕ではない。


 ゆらりと炎を立ち昇らせながら、くぅがゆっくりと前に出た。

 チャビもそれに続く。


 ……馬鹿だな、魔王。

 人間の姿のままでいればよかったものを。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます! あちゃー……魔王、せっかく猫さんたちが「トドメをさせない」人間タイプだったのに、「獲物として見られる」人間以外のタイプになっちゃうんですねぇ……大きくても猫さんたち的には…
最終形態に変身したら、強くなるかわりに回復力を失うパターンですか。哀れな。 でも多分、どうしようもないんでしょうね。一定ダメージを受けたら自動で変身する場合も多いでしょうし、変身したら不味いと分かって…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ