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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。3 勇者召喚⁉ 狙われているのはうちの魔王様……?  作者: たまご


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勇者。

 いったん引くしかないか。


 あーもー、女達が来る前に少年が勇者だと分かっていれば話がスムーズだった、の…に……。


 あれ?


 勇者が一人だった時は、猫達が反応していない。

 遠巻きにはしていたが、それは猫特有の警戒心からだ。

 なにより、せりの〈気配察知〉が発動していない!


 どうなっている?


「うなぁぁぁぁぁおぅぅぅぅぅぅ!!」


 くぅがうなり声をあげる。

 空気がびりびりと震え、妙に息苦しい。

 〈威圧〉のスキルが発動したのだ。


 女達が顔を歪める中、勇者の少年だけは何も影響を受けていないようだった。


 なるほど。

 本当に勇者なんだな、この子。


「勇者様! やつらを倒さなくては!」

「世界をお守りください!!」


 いや、確かにその通りではあるけどな。

 そもそもの原因を作ったやつらが何ほざいてんだよ!


「…………」


 勇者が剣をかまえた。

 だが、まだどこかためらっているようにも見えた。


 まぁ、無理もない。

 私を魔王だと思っているとしたら、その相手がただの人間にしか見えていないだろうからな。

 実際、ちょっと頑丈なだけが取り柄の普通の人間だし。

 化け物みたいな相手なら、ためらったりはしなかっただろうが。


「聖女様のためにも!!」


 女の一人がそう叫ぶと、勇者の顔色が変わった。

 剣を握りしめ、私を睨みつける。


 だが。


 ああ、その目は見覚えがある。


 辛くて、苦しくて、悲しくて。

 けれど、助けをあきらめている目だ。

 誰も手を差し伸べてくれないと絶望している目だ。


 うちの猫達が私に拾われる時に、そんな目で私を見ていた。


 雪の降る中、姉弟で身を寄せ合って。

 おなかをすかせて動けなくなって。

 うまく動かない足をひきずりながら逃げようとして。


 それでも生きようとしていた、小さな生き物達がしていた目だ。


 …………。


 ちっ、と私は小さく舌打ちをした。


「キング、〈影魔法〉で勇者を拘束!」


 キングの影が長く伸び、勇者の身体に巻き付いた。


「勇者様!?」


「おこん、そいつらに〈引っかき〉! 邪魔させるな!」


 私やくぅに気を取られ、小さなおこんの存在に気がついていなかったのだろう。

 女達は、あっさりと麻痺して動けなくなっていた。


「みんな、戻って!!」


 私の気迫に押されたのか、猫達は素直に私の側に来た。

 全員いるのを確認し、私は勇者を肩に担ぎ上げた。

 もちろん、〈身体能力強化〉レベル8のおかげだ。


「キング、〈空間転移〉!」


 目的地は魔王城!!






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