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緊急事態?

 火山都市ガーネットに移動し、まずは火の神様に会いに行こうとしたのだが。

 なにやら神殿がざわついている。


 出直した方がいいか?


 だが、私と猫達の姿を見て神官達があきらかにほっとした表情を浮かべた。


「つかさ様、いいところにおいでくださいました!」


 あ、これ、絶対に面倒な事になっているだろ。

 ……帰ろうかな。


 私の考えていることに気づいたのか、神官達は素早く私達のまわりを取り囲んだ。


「お願いです! 火の神様をどうにかしてください!!」


 どうにか、って、いったいどうした?


「荒れ狂っていて、手が付けられないんです!!」


 ああ、なるほど。

 やけに暑いと思っていたが、そういうことか。


「チャビ様やよつば様のお力をお貸しいただければ……」


「え?」


 つまり、火の神様を眠らせたり魅了したりして、とにかく静かにさせろという事か?

 自分達の仕える神様に対して、ずいぶんとぞんざいな扱いだな。


 まぁ、火の神様は人間と恋して子供までもうけた神様だし。

 わりとホイホイ気軽に出歩くし。


 よく分からないが、普段からこんな距離感なのかもしれない。


「サナとナルシはどうしたの?」


「急な討伐依頼があって、お二人ともガーネットにいらっしゃらないんです」


 サナとナルシは、以前一緒にキャラバンの護衛をした冒険者の兄妹だ。

 兄のナルシは無口な大剣使いで、もふもふ好き。

妹のサナはさばさばした性格の短槍使いだ。


 「火の神の娘」の末裔で、火の神様は遠い遠い子孫に当たる2人を溺愛している。

 サナ達がいれば、火の神様もなだめられただろうが。


 ……仕方がない。


「神官さん達は、神殿から離れていて」


「はい!!」


 とてもよいお返事をして、神官達は素早く神殿から立ち去った。


「チャビ」


 茶トラのふかふかの猫に、声をかける。


「〈回復〉お願いね」


 そう言いながら、チャビの頭を撫でる。

 チャビは満足そうに目を細めながら、ごろごろと喉を鳴らし始めた。


 しばらくすると、暑さがやわらいできた。


 うん、火の神様は眠ったみたいだな。

 神様まで眠らせるとか、うちの猫達は本当にどうなっているんだか。


 世界はまぁ簡単に滅ぼせるとして、もしかして、魔王として支配とかできるかも……?


 ふと頭をよぎった考えに、私はすぐさま首を振った。


 いや、ないな。

 だって、猫だもの。


 支配したとしても、せいぜい、よつばが世界中から美味しい物を差し出させるくらいだろう。


 飽きっぽくて気まぐれな猫が、世界を支配とか。

 ないな、うん。











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