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情報通。

 一晩ゆっくりと休み、さて、これからの事だが。


 せりに確認したので、魔王城の方は変化なし。


 となると、昨日の馬車の男か。


 重大な任務と言っていたが、まぁ、勇者か魔王がらみといったところか。

 国や都市との交渉なら、もっと口のうまい人間が当たるだろう。


 うーん、どこに行こうか……。

 知り合いの中でも、情報に早いとなると。


 以前、護衛したキャラバンの隊長さんの顔が真っ先に思い浮かんだが、どちらかといえば商売や物流が専門だからな。


 勇者か魔王がらみとなると、やはりギルド関連か。

 餅は餅屋というしな。


 猫達と朝ごはんを食べ、テントを片づけて出発する。

 目的地までは、キングの〈空間転移〉で一瞬だ。


「おはようございます!」


 冒険者ギルドの扉を開けて挨拶すると、中にいたギルドマスターがこの世界の文字で「臨時休業」と書かれた札を受付カウンターの上に出した。


「当ギルドは、本日臨時休業です!!」


「またまたぁ」


 にへらと笑って、札を放り投げる。


「頼むから来ないでくれよぉ」


 ギルドマスターが両手で顔をおおう。


「〈竜殺し〉が、うちみたいな弱小ギルドに何の用があるんだ……」


 ギルドマスターの言う通りここは小さな町の冒険者ギルドで、ギルドマスターと受け付けの女性の2人で運営していた。

 普段は町の困りごと等を受けている。


 だが、ギルドマスターというのは基本引退した冒険者の中でも優秀な者がなるのだ。

 田舎の小さなギルドほど、実は現役時代活躍していた者が多い。


 ナニか事が起こった時に、騎士団や警備隊が存在しない村が頼れるのはギルドだけだからである。

 近くの街から騎士団や冒険者が応援に来るまで、最低限の被害で済ませられるくらいの能力が必要だ。


 ギルドもないような本当に小さな村などは、応援が来る前に全滅してしまう事も少なからずある。


 ここのギルドマスターには、以前〈黒のキャラバン〉という犯罪者集団を捕まえた時に何かと世話になった。


 情報と判断の早さには、今でも一目置いている。

 現役時代も諜報や偵察をメインにしていたのではないだろうか。


「ジルコニア王国について聞きたいんだけど」


 私がそう言うと、ギルドマスターは顔を上げた。

 「なるほど」と呟いて、椅子に座り直す。


「勇者召喚……は、もう知っているのか」


 頷いてみせると、ギルドマスターは片手で顎を撫でた。

 なにやら頭の中で情報を整理しているようだ。


「各国や都市との交渉は、概ね決裂」


 だろうな。

 この世界では、国と都市でもほぼ対等な立場にある。

 ジルコニア王国の価値観が受け入れられるわけがない。


「その時の情報を元に考えると、ジルコニア王国はおそらく武器を探している」


「武器?」


「ああ、魔王を倒せる武器だ」


 ……うちの魔王様を倒せる武器?


 存在するのか、そんなモノ。

 くぅなんか〈魔法無効〉と〈物理無効〉の完全ラスボス仕様だぞ?


「だとすると、ジルコニア王国が接触しようとしているのは……」


「多分、ドワーフだろうな」


 となると、火山都市ガーネットか。


「ありがとう。また来るね!」


 にこやかに愛想よく笑ってみせたのに、ギルドマスターはものすごく嫌そうな顔をして言った。


「2度と来るな!」


 ひどい!

 今度、猫達がドラゴンを狩った時は、ここのギルドに持ち込んでやるからな!

 覚えとけ!!







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