完成! 魔王城!!
「は? 魔王城……?」
私の言葉に、女神様はぽかんと口を開けた。
「うん、建てちゃったんだよね、魔王城」
まぁ、正しくはおこんの〈創成魔法〉で出したから建てたワケではないのだが。
冗談半分で、おこんに「魔王城出して」と言ったらポコっと。
どうやら、向こうの世界で私がやっていたゲームが気に入っていたらしい。
……そういえば、よくテレビ画面にじゃれていたっけ、と思い出したのは、どこからどう見ても魔王城なおどろおどろしいお城を見てからでした。
「それで、女神様にお城のまわりに結界を張ってほしいんだけど」
なにしろ、おこんがきっちりゲーム通りに内部まで再現してしまったものだから、殺意ましましのそれはもうご立派な魔王城になってしまったのだ。
好奇心旺盛な子供や血の気の多い冒険者が、うっかり入り込んだりしないように、女神様に結界を張ってもらえるように頼みにきたのだ。
「……女神様?」
女神様がぶるぶると握った拳を震わせている。
怒った? いや、女神様が猫のした事に怒るわけはない。
これは多分。
「す、凄いです! おこんさん!!」
うん、いつものアレだ。
「お城まで出せるなんて! ああ、見たかった……!」
女神様が身悶えしている。
「そうだ! 私の神殿も出していただけたりは……」
やめなさい。信者が泣くぞ。
ただでさえ、神官さん達が猫が絡んだ時の女神様の暴走っぷりに頭を抱えているんだから。
とりあえず、温かい紅茶を飲ませて女神様を落ち着かせた。
ついでに出したチョコレートをほぼ食べ尽くして、女神様はようやくこちら側に帰ってきた。
「失礼しました」
いや、まぁ、もう慣れたけどさ。
「それでは、つかささん達は魔王城に住む事になるのですか?」
「あ、それはムリ」
住めるような所じゃないです、魔王城は。
魔王さん達、あんな不便な所によくいられるよな……。
「だから、せりの〈気配察知〉で魔王城とリンクしてもらって、何かあったら分かるようにしてある」
キングの〈空間転移〉があれば、一瞬で戻れるし。
私達は今までどおり、あっちこっちの国や街の依頼を受けながら移動して歩くつもりだ。
それなら、勇者に不意打ちをくらわせられずに済むだろう。
不意打ちをくらったら猫達が反射的に攻撃してしまうから、勇者の命の保証が出来ないからなぁ……。