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第一話 伊賀忍 風

舞台は最初の孫四郎君の世界から約二十年前、将軍は足利義輝の頃です。


最初は少なめの字数ですが徐々に増えていきます。ですが長くても五千字までに収まるように頑張ります。

天文十七年 (1548年) 九月 伊賀国 伊賀郡 (かぜ)




この時代に転生して早三年。今でも夢ではないかと思っているが、何度寝て起きても元の時代には帰れない。最近は里の皆と一緒に忍びの鍛錬を一緒に行っている。


私の名前は風。転生前の記憶はほとんどない。ただ、この時代で今後何が起こるかは大体だが覚えている。その中でも織田と浅井、この2つの家については特に詳しく覚えている。将来、大名に仕えるのであればこの2つの家であれば苦労せずに生涯を送ることが出来そうだと思う。


転生してきて驚いたことは自分が歴史に残っていない忍びの一族に転生したということだ。色々な歴史転生小説を読んできたが、大体は有名な戦国武将、或いは貴族や商人に転生するという設定が多かった。私も最初は家の雰囲気や畑を見て農民に転生したのだと思った。だが、話を聞いていくにつれ半分間違いだということがわかった。一年前のある日、父が山へ出かけると言ったまま帰ってこないことがあった。心配になった母がその日の夜に様子を見に行ったが二人とも帰ってこなかった。翌朝、友達の父親がその山に向かったところ、二人の若者が山で何者かに短刀で刺されている状態で発見された。母は即死。父は見つけられた時は意識があったが、里に帰って私を見つけた後すぐに容態が急変しその日のうちに亡くなった。その時、父にお前は忍びになるな。生きていれば何でもいい。幸せに生きろと言われた。だが、私は許せなかった。父と母を殺した犯人を。犯人は今も見つかっていない。あの時、私は決めたのだ。いつか必ず二人の仇を取ると。それ以来、私は里の皆と一緒に忍びの鍛錬を一緒に行っている。


「風、順番だぞ」

「あ、すみません。すぐに吹きます」

「……やはり上手いな。お前の父さんよりも上手いんじゃないか?」


今日は吹き矢の練習をしている。一応、三歳なのだがこの里では本人の意思があれば三歳からでも鍛錬に参加することは出来る。ただ、実際に任務に出られるのは八歳からだそうだ。最初に聞いた時は驚いた。忍びの里に生まれたからには物心がつき始めた時には強制的に鍛錬に参加させられるのではないかと思っていたからだ。だが、()()()里長の頃に多くの子供たちが任務に行ったきり帰ってこなかったということが起こって以来、この里では忍びになりたくなければ民として暮らすことも許されている。だが、私は両親が死ななかったとしても民として生きる道は選ばなかったと思う。伊賀の土壌は他の地域に比べて悪い。そのため、収穫はあまり見込めず、それだけで生きることは難しいと考えたからだ。生きるためには金を稼いでその金で米を買った方が良い。その金を稼ぐために忍びとなって任務をたくさん熟そうと皆は日々頑張っている。


「……恐れ入ります」

「皆も風に負けるなよ。まだこいつは三歳だからな。抜かれたら―」

「風には敵わないっすよ。やり方を教えただけで何でも熟しちゃうんですから」

「そうそう。逆に俺たちが教えてほしいですよ」

「……お前ら、本当に生き残ろうと思っているのか?」

「そのために風に教えてもらった方がいいんじゃないかなって」

「師匠よりも風の方が教え方上手いですし」

「な、何だと⁉」

「「「ハハハ」」」


皆、笑っている。私は()()()から腹から笑った覚えがない。たまに空気を読んで愛想笑いをすることはある。だけどその度に師匠からは無理に笑わなくていいんだぞと言われている。皆、私を可哀想な子と見ているから大人と話すことが苦手になりつつある。鍛錬の仲間は私に何も遠慮せずに話しかけてくれるからこちらとしてもありがたい。


「……そろそろ終わるか。皆、また明日な」


師匠がそう言うと皆、それぞれの家に帰っていった。私も帰ろう。帰って畑仕事も少しだけやって今日はゆっくり休むか。




さて、小さな鍬を持って今日もやろう。


「風、また無理してるでしょ?」

「……椿(つばき)


椿は先ほど話した死んだ両親を発見した方の娘だ。彼女は忍びというものに興味がないらしい。椿の家も代々忍びの技が受け継がれているのだが両親は彼女の考えを尊重し自由に育てている。聞いた話だと私と椿は許嫁らしい。私の父と椿の父さんは家が隣同士ということもあり、仲が良かった。父が死んだとき、椿の父さんは助けられなくてごめんと私に謝った。私はあなたのせいではないよと言ったのだが椿の父さんは私のために何でもすると言ってくれた。それ以来、衣食は椿の家にお世話になっている。住はすぐ隣ということで自分の家で一人で寝ているけど、たまに椿も付いてきて二人で寝ることもある。最初は反対した。子供二人で寝るなんて危険だと。だけど椿は私の言うことを聞かなかった。風を一人で寝させるわけにはいかないって言ってね。何度言っても聞かなかったから椿の母さんに相談したら何かあったらすぐに駆け付けるからと言って許してくれた。それ以来、私と椿は兄妹…双子…何て言えばいいんだ?とにかく、それぐらいの関係と言うことだ。最も私と椿は二歳で必要最低限のことが出来ていたから許されたのであって私たちの家族以外の人から見たら異常な光景だと思う。


「今日もたくさん鍛錬したんでしょ?水やりは私がやったから休んでも―」

「草取りを忘れてるよ、椿」

「え、あ…。ごめん、忘れてた」

「別にいいよ。これぐらいすぐ終わるし」


そう言いながら作業を始める。大人になったら中々農作業や家事を行うことが出来ない。なるべく避けたいがもしかしたら将来、彼女に任せっきりになってしまうかもしれない。出来る今だからこそ彼女を働かせるなんてことはあまりさせたくない。……なのに。


「よいしょ、よいしょ」

「……別にいいって言ったのに」

「一緒にやればすぐに終わるよ?」

「……ありがと」

「…?」

「……今日の晩飯、お義母さん何を作ってた?」

「ええと、焼き魚と雑穀米と菜入りの汁物だったかな」

「……」

「果物がなくて不満?」

「いや、そういうわけじゃ…」

「本当に?」

「……椿、いつかこの国にある美味しい果物をたくさん食べさせてあげるよ」

「…!本当に⁉」

「うん、約束するよ」

「約束ね!」


守りたい。この笑顔を守りたい。椿の笑顔が私は好きなのだ。

最初の主人公は風くんです。風くんは特にチートスキルは持っていません。(忍者の時点でチートだろと言う指摘は許してください…)


まだ北近江要素は何もないですね(それどころか伊賀要素もそんなに感じられないですが)。本作の目的は段々変わりますが風くんの目的は一環として両親の仇を取る、椿の笑顔を守る。この二つが主になります。


前日(3/24)の寝る前にミスが発覚したので投稿間に合うかギリギリでしたが何とか間に合いました。(これを書いているときはまだ活動報告もご案内も書けていないのでまだ焦ってはいますが)


明日からも徐々に進んでいきます。四月からのペースは三十一日に報告させて頂きます。

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