12、個人情報は大切に
今日も廉くんと藤森が朝から迎えに来た。
もう、あんなに苦手だった早起きも慣れてしまった。
人間ってなれる生きものなんだなってつくづく思う。
最近朝の登校が、かわりつつあった。
廉くんが、私の腕に抱きついてくるのだ。
男女逆のような気がした。
けど、廉くんならありなのかな。
歩きづらいから、注意したいけど、廉くんがかわいくて言えなかった。
最初はもちろん驚いてどうしたか聞いたんだけど、
「...小田切くんに...負けたくないか...ら」なんて言われた。
まあ、単純に嫉妬っていうか、やきもちってやつかな。
確かに小田切くんはスキンシップが今までの彼氏より多いと思う。
後ろから抱きつくのがお気に入りのようだ。
最初はそんなことをしてくる男子自体いなかったから、それはそれは驚いた。
彼氏っていいても、特に何があるわけではないし友達の延長みたいで深く考えてなかったけど、本当に彼氏が出来た気になるけど。
私のこと利用しているだけってことを忘れそうになる。
忘れるな、自覚しろ。うぬぼれちゃダメだ。
彼氏4人、誰も私のことを好きと言った人はいないのだ。
*********
「なあ、今度の日曜部活休みだろう?よかったらデートしない?よかったら、例のメイクしてほしいんだけど」
宇野くんがデートに誘ってくれたが、デートのお誘いなんて初めてだ。
それに、デートってはっきり言ってるし、お出かけとは違うんだよね。多分。
でもメイクは1時間もかかるからめんどくさい。
宇野くんはどうやらメイクした私の顔が好きらしい。
この前はっきりと言われたばかりだ。
まあ、一応メイクした顔も私であるから嬉しいけど、休日に出かけるのはインドアの私はとにかくめんどくさい。
断ろうと思ったんだけど
「予定ないくせに、なに断ろうとしてるんだよ」藤森に言われた。
「・・・あの、私にも予定があるんだけど」
「予定がないのは古河母に確認済みだし。予定だってどうせ、録画したアニメ見て、漫画の本でも読むんだろう?」
「・・・」
まるで、私の予定をびっくりするほど言い当てられて言葉が出なかった。
お母さんはマジでイケメンに弱すぎる。
娘のプライバシー漏らしてるんじゃないよ。
「ってか、宇野なに抜け駆けしようとしてるの?俺も行くから」
「いや、俺は二人で出かけたいんだけど」
「俺も出かけたい気分だったし、どうせならあの二人も連れて行くか。化粧した古河を見た反応みたいし。絶対笑えるって」
「私出かけるなんて言ってないんだけど。メイクも時間かかるから嫌なんだけど」
「今度の土曜日、古河の好きな声優出てる映画が始まるんだろう?特典欲しいものがゲットできる可能性高くなるんじゃないか?10種類もあるって嘆いていただろう」
「!!!」
確かに。
私が見たいアニメの映画が公開されるのだ。
が、特典が10種類もあって、欲しいのが手に入るとは思えなくて行こうか迷っていた。
そんな話を藤森に言ったけど、よく覚えていたなって思った。
藤森は私と同じ趣味じゃないのに。
本当は美咲達と行きたかったんだけど、美咲達の好きなジャンルではないから誘いづらくて結局誘っていなかった。
オタクといっても好きなジャンルや好きな漫画など沢山溢れているし、趣味や趣向が様々だから、好きでもないジャンルなのにつき合わすのは申し訳ない。
だけど藤森達ならそんなこと気にしなくていいし、特典も欲しいから行くことにしたのだった。
家に帰ってから、映画楽しみだなとしみじみ思って、ふと思った。
あれ?なんか私藤森にうまく転がされているような気がするけど、気のせいだよね???




