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第二十五話 復活


 ――セシル視点。


 扉が開き、黒いエネルギー体がステラの身体に入ったと思ったら、ルゥがステラに刺された。


 何がどうなっている!?


 俺とナギさんは、慌ててルゥの元へと駆けつける。


 まずい、この傷はすぐにでも回復魔法をかけないと死に至る。


 アイテム袋から回復薬を取り出して傷口にかけるが、あまり効果がない。


 ルゥが瀕死の状態だというのにステラは笑みを浮かべたままユルゲイトの方へと向かう。

  

 ステラの身体はおそらく古代人の神の魂に乗っ取られているのだろう。


 「待て!! ステラを返せ!!」


 肩を掴もうとしたが、ステラの身体に入った者が手をかざしただけで俺の身体は吹き飛んだ。


 「ぐっはっ!? 何だあの力は!?」


 こちらを気にもせずにステラの身体に入った者はユルゲイトの所まで歩いて行く。


 「復活おめでとうございます。僕が貴方の封印を解いた者です」


 喜ぶユルゲイトをステラに入った者は笑顔で見つめる。


 「ええ、扉の向こう側で見ていたわ。流石は私の造った子供ね」


 「おぉ、光栄の極みです。それで何とお呼びすればよろしいですか?」


 「アルジュナ。かつて私はアルジュナと呼ばれていたわ」


 「アルジュナ様ですね。アルジュナ様、これからどうなさいますか?」


 「扉の向こう側で話を聞いていたのだけれど、同胞はもう居ないのよね。なら新たな私の国が欲しいわ」


 「国ですか? そんな物でよろしいのですか?」


 「ふふっ、いずれは全ての国を私の国にするわ。そして優秀な者だけを手元に残すの。あなたの様なね。ふふっ、素敵でしょ?」


 「ええ、アルジュナ様の望みは分かりました。このユルゲイトが貴方様の望み必ずや叶えましょう」


 古代人の神アルジュナとユルゲイトが会話している中、弓王が口を開く。


 「待て、優秀な者だけを残す? それ以外の人間はどうなる!」


 アルジュナは邪悪に笑う。


 「ふふっ、もちろん殺すわ。私の力になれない者は殺すに決まっているでしょ?」


 「···俺はガゼット皇国の民の為に戦ってきた。ユルゲイトに対する恩は確かにあるが、俺の守りたい者を傷つけると言うのならお前を野放しにはできん」


 弓王がアルジュナに向けて構えをとる。


 「ふふっ、魔力は殆どなくて傷も負っているのに勝てると思っているの?」


 そう、弓王はルゥの斬撃を受けている。


 戦うのは厳しい筈だ。


 「狂牙!! そいつらを逃がせ!!」


 「おいおい、俺もそいつと戦ってみたいんだけど?」


 「お前が戦っても死ぬだけだ。それよりもそいつらと逃げろ!!」


 「···ちっ、あんたには以前助けてもらった恩があるからな。分かったよ!!」


 狂牙キルハはそう言うと駆け出してジアスの首を締めているクローンを蹴り飛ばす。


 「げほっげほ」


 「おい、お前ら。と言う訳で一時休戦だ。さっさっと逃げるぞ!!」


 さっきまで敵だったこいつの言う事を聞くのは気に入らないが、今はそれが最善みたいだ。



 「ルゥは俺が背負う!! 皆、ここから脱出するぞ」


 俺の声に、ナギさん、パラケルト様、ジアスは頷いて出口へと向かう。


 「で? あなたはどうするの?」


 アルジュナに見つめられ冷や汗をかく傭兵王。


 「金をくれるならあんたとユルゲイトにつくぜ」


 「ふふっ、私を目の前にして強欲ね。気に入ったわ。好きなだけお金ならあげる。だから逃げ出すネズミ達を狩って頂戴」


 「了解了解」


 傭兵王は双剣を構えながら追ってくる。


 「ちっ、一人通したか」


 弓王はアルジュナとユルゲイトと戦いを始めた。



 俺達は、クローン達を蹴散らしながら来た道を戻る。


 傭兵王が追ってきてるが、パラケルト様が魔法によって傭兵王は足止めをくらっている。


 その間に地上へと出ると、遠くから近付いてくる人影が。


 イルティミナ様とチェルシーだ。


 「くっ、その様子だと遅かったべさね」


 ジアスが必死な様子でルゥに回復魔法をかけている。


 「今は逃げるのがよさそうべさね」


 イルティミナ様は手に魔力を込め、何もない空間に黒い渦を出現させた。


 イルティミナ様の転移魔法だ。


 地下から傭兵王が出てくるがもう遅い。


 俺達はイルティミナ様が生み出した黒い渦に飛び込んだ。


 

          ◆◆◆



 んっ? 何か苦しい。ここは何処だ?


 目を開けると、私は水の中に居た。


 息が出来ずに苦しいのに、ガラスに阻まれて外に出れない。


 私は手に魔力を込めて、ガラスに向かって魔法を放つ。


 ガラスが割れ、私は外に出れた。


 「ごほっごほっ!!」


 息を整え、周囲を確認すると、前世のマンガとかで見た培養カプセルの様なものが並んでいる。


 どういう事? 私は確か古の扉を開けて、それから黒い光の塊が私の中に入ってきて···ルートヴィヒが泣きそうな顔で私を見つめていた。


 それが最後の記憶。


 あれから皆どうなったんだろう?


 どうして私は裸で見知らぬ場所に居るの?


 いくつもの疑問が頭に浮かんでいると、目の前にある扉が開いた。


 「おぉ、遂に二体目の成功作が生まれた。ユルゲイト様もさぞ喜ぶだろう!!」


 ユルゲイトを様と呼ぶということは敵か!!


 「ぐぎゃああっ!?」


 私は咄嗟にライトニングの魔法を放ち、目の前の老人を気絶させる。


 老人の服を剥ぎ取り、着させてもらう。


 ん? 何か胸がある。

 それに十歳の感覚で着たのに、服は少し大きい程度。


 疑問に思いながら培養カプセルのガラスに映る自分を見ると、凄く成長していた。


 見た目十六歳といったところか。



 不思議に思いながらも培養室っぽい場所から出る。


 中々広く、迷いながら出口を探していると下の方から物音が。


 警戒しながら階段を下りると、鉄格子をかけられている部屋に手枷と足枷を付けられた銀髪の女性が。


 何処かで見覚えがある。


 銀髪の女性は私を見て警戒しているけど、とても懐かしい···。


 そうだ、赤ん坊の時に私をゴミ捨て場に隠した女性にそっくりなのだ。


 「ねぇ、もしかしてあなたは十年程前に私をゴミ捨て場に隠した人?」


 尋ねると、銀髪の女性は目を丸くさせ驚いている。


 「もしや貴方はあの時の!?」


 「うん、あなたが抱きしめていた赤ん坊よ」


 「···色々と聴きたい事はあるのですが、あなたのお名前を聞かせて頂いても?」


 「私? 私はステラ。ステラ·バンシールよ!!」 


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