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第二十一話 誕生日パーティー②


 う〜、どうもこの華やかさは苦手だ。


 現在、私とローナとジアスはパーティー会場の隅で縮こまっている。


 パラちゃんとナギさんは緊張していないみたいで、テーブルに並べられている料理を美味しそうに食べている。


 セシルは伯爵家の子供なだけあって堂々とした佇まいで来場している他の貴族と話している。


 ルートヴィヒは貴族の御令嬢達に囲まれている。


 世界魔法大会でも優勝し、戦争でも活躍して貴族の仲間入りを果たしたルートヴィヒの名は、広まっているらしく、御令嬢達だけでなくマダム達の視線も集めている。


 流石は美少年にして私の兄。

 だが、気安く触るな小娘達。それは私のだ。


 ルートヴィヒに群がる御令嬢達を睨んでいると、二人の少年が近付いてきた。


 「おいおい、相変わらず兄貴が好きなんだなぁお前は」


 「あまり怖い顔をしない方がいいですよ。他の出席者が挨拶するのを躊躇っているみたいですから」

 

 話しかけてきたのは、クルトの取り巻きをしていたゼルバとカイル。

 二人は儀礼用の軍服に身を包んでいる。


 「久しぶりね二人とも。元気そうで嬉しいわ」


 「俺達もお前が元気そうで安心したよ。クルト皇子が喜ぶ」


 「ええ、クルト皇子はあなたの事を心配してましたからね」


 そっか、クルトは心配してくれていたのか。

 


 「おっと、噂をすればクルト皇子のご入場だ」


 ゼルバの視線を追って会場の扉を見ると、皇帝陛下や他の皇族と共にクルトが現れた。


 王族専用の白い儀礼服を着たクルトはパーティー会場の前方へと進んでいく。

 その際、クルトと私の視線が合い、クルトが微笑んだ気がした。


 「本日は我が息子クルトの成人の祝いに集まってくれた事を感謝する。今日はゆっくりと楽しんでいってくれ」


 皇帝陛下の言葉に会場中から拍手が巻き起こる。


 皇帝の挨拶が終わると、皆クルトに挨拶する為に行列を作っていく。


 皆、祝いのプレゼントを渡す為だろう。


 私達も並ばなくちゃ。


 ルートヴィヒ、セシル、パラちゃん、ナギさんと合流して列に並ぶ事三十分。


 ようやくクルトに会えた。


 「本日はクルト殿下のお祝いをささやかながらさせて頂きたく、参りました。こちらは祝いの品です。お受け取り下さい」


 一番貴族の位が高いセシルが代表して挨拶をする。


 クルトは私達のプレゼントを受け取ると、中身を確認して笑顔になる。


 「杖とローブか。ありがとう。大事にする」


 会話はそれで終わった。


 ゆっくりと会話も出来ずに後ろで待っていた他の出席者と交代する事になった。


 話したい事がいっぱいあったのに。



 意気消沈してテーブルに並んでいる料理を食べていると前方にオーケストラの集団が現れ、曲が流れ始める。


 すると、男女がペアを組んで次々と前の方で踊り始める。


 女性は皆男性に手を差し出されている。それが社交界のマナーだ。


 私の前にも手が差し出された。

 その手の先の男性はルートヴィヒだ。


 「僕と踊って頂けますか?」


 もちろんと頷き、ルートヴィヒの手をとって前へと向かい踊る。


 社交ダンスはフェブレン邸に居た頃に習っていたから踊れる。


 若干ミスもしたけど、ルートヴィヒがフォローしてくれた。


 ルートヴィヒとの踊りが終わると、次はセシルと踊り、ルートヴィヒはローナと踊っている。


 ローナは社交ダンスが苦手なのかぎこちないけど、ルートヴィヒがサポートしているので問題なさそう。


 セシルと踊り終わると、ジアスが緊張した顔で私の前に手を差し出す。


 「ステラ嬢、ぼ、僕と踊って頂けますか?」


 私は緊張で震えているジアスの手を笑顔でとる。


 ジアスは緊張でステップを間違えるけど、私がカバーしてなんとか形になった。


 その後も他の男性と踊り、最後の一曲を迎える事になった。


 まだ踊っていない男性達が近付いてこようとしてたけど、一人の男性が近付いてきたのに気付いて皆道を開ける。


 「バンシール嬢。俺と踊って頂けますか?」


 戦争の報奨の際に私とルートヴィヒに与えられた貴族名を呼んだのはクルトだった。


 私は笑顔でクルトの手をとって踊り始める。


 最後の一曲は、皆踊らずに私達のダンスを見ている。


 「ステラ、今日は来てくれてありがとう。プレゼントの杖とローブも嬉しかった」


 クルトは踊りながら私の耳元で囁く。


 「それは良かったわ。あの杖は、錬金王パラケルト·スミスに作ってもらったんだから」


 「そうなのか? 父上が驚いていたよ。ステラの隣に錬金王が居るんだから。その事も後で席を設けるからゆっくりと話そう」


 私達は会話を止め、ダンスを楽しんだ。


 中々上手く踊れたと思う。


 曲が終わると、歓声と拍手が会場を包み込んだ。



 貴族の御令嬢達の羨望の眼差しを感じながらクルトと共にお辞儀をしてダンスは終わった。



 その後は、色んな貴族の男性に話しかけられ、中には求婚してくる男性も居たけど、私はまだ十歳だ。丁寧にお断りした。


 パラちゃんやナギさんも大勢の男性に声をかけられていた。

 やはり皆、胸が大きい女性が好きらしい。


 ローナも会場の隅で何人かの男性に声をかけられていた。

 うんうん、わかるよ。ローナは可愛いもん。

 


 ルートヴィヒとセシル、ジアスの三人は、女性に囲まれていた。


 年上のお姉様方に囲まれて赤面しているジアスは可愛いかった。


 蓋を開ければ楽しかったパーティーもおしまいの時間となり、皆パーティー会場を後にする。


 私達は、クルトに呼ばれているので、メイドの案内で別室へと移動する。


 部屋に入ると、クルトが笑顔で待っていた。


 クルトにパラちゃんやジアス、ナギさんが新たな仲間に加わった事と近況を話しながら再会を楽しむ。


 その際に杖やローブの事をクルトが気に入ってくれたのがわかり、皆で笑顔になった。


 喜んでもらえてなによりだ。


 昔話にも花が咲き、深夜まで会話を楽しんだ。


 


 

 

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