第十二話 新人冒険者が集まる村
ミサイドの町を救った翌日、僕達はC級ダンジョンに潜った。
三十階層のダンジョンだったけど、モンスターは弱く、広いダンジョンでもなかったので簡単に踏破出来た。
最下層にあるダンジョンコアをステラが吸収したら、ダンジョンを作れる個数が増えたらしい。
新たな能力解放には至らず、残念そうにしているステラを元気づけながら、ミサイドダンジョンと名付けられたC級ダンジョンから脱出した。
次の目的地は、E級ダンジョンのあるホエセ村だ。
ミサイドの町を出ていく際に、町民達が盛大に見送ってくれた。
僕達は照れながらミサイドの町を後にした。
ミサイドの町からホエセ村はそこまで遠くなく、魔導自動車で一日走って着いた。
ホエセ村に入ると、革の防具を着けた新人冒険者らしい人間を多数見かけた。
こんなに駆け出しの冒険者が居るのは、たぶんE級ダンジョンがあるからなのだろう。
ホエセ村には小さいながらも冒険者ギルドがあり、そこでE級ダンジョンの場所を確認する事にした。
冒険者ギルドに入ると、駆け出しの冒険者と見てわかる者達の視線が僕達に向けられる。
僕達の見た目と装備している武器や防具を見て、成金の新人冒険者と思ったらしく、不快な視線を向けてくる。
そんな視線にも構わずステラはカウンターへと向かい受付嬢に話しかける。
「E級ダンジョンに潜りたいんだけど、どこにあるのかしら?」
「···E級ダンジョンですか? すみませんが冒険者カードを見せてもらってもいいですか?」
受付嬢も若い僕達が高ランク冒険者が装備している様な武器や防具を見て不思議に思ったみたいだ。
言われた通りに冒険者カードを受付嬢に見せると、目を丸くして僕達と冒険者カードを見比べる。
「え、Aランク冒険者が三人に、Sランク冒険者が一人!? しかもSランク冒険者の方はあの錬金王のパラケルト·スミス様!?」
受付嬢の驚きの声を聴いて冒険者ギルドに居る冒険者達がざわつく。
ステラは皆の驚きの視線が嬉しいのか笑顔で胸を張っている。
「それでE級ダンジョンの場所は教えてくれるの?」
「し、失礼しました。E級ダンジョンは村から南西に十分程歩いた場所にあります。しかし、E級ダンジョンは駆け出しの冒険者達が潜るダンジョンです。Aランク冒険者以上の皆さんが今更潜る必要はないと思いますが?」
「い、いいのよ。私達は多くのダンジョンを踏破した実績が欲しいだけだから」
「そうなんですね、わかりました。皆さんは大丈夫でしょうけど、一応お気を付けて」
ステラの咄嗟の誤魔化しを鵜呑みにした受付嬢は笑顔で見送ってくれる。
僕達は冒険者ギルドを後にしてE級ダンジョンへと足を進めるけど、後方から一組の冒険者パーティーがついてくる。
彼らもE級ダンジョンに潜るのだろうか?
そう思っているとその冒険者パーティーが近付いてきた。
「おい、お前ら!!」
近付いてきた冒険者パーティーの中でリーダーっぽい十代後半の男性が睨みながら声をかけてきた。
「···何よ」
睨まれているのが癪に触ったのか、睨み返すステラ。
「冒険者ギルドで聴いてたぞ。···お前達がAランク以上の冒険者? とてもそうには見えない。その高そうな装備からしてお前達貴族だろ。それで権力や金の力でAランクやSランクの地位を手に入れたんだろ!! だいたいこんな所に十二星王のパラケルト·スミス様が居るわけないんだ。大方、錬金王様の名を騙っているだけだろ!!」
「いやいや、冒険者カードの偽装は重い罪になるのね。私は正真正銘のパラケルト·スミスなのね」
「嘘だ!! お前の様なバカそうな女がパラケルト様!? そんな訳ないだろ!!」
バカと言われてショックなのか涙目で口をパクパクさせながら男性を右手で指差し、ステラの服の裾を掴むパラケルトさん。
「なんて酷い事言うのよ!! パラちゃんは確かに一見駄目人間っぽいけど実は凄いんだから!!」
ステラはフォローしたつもりみたいだけど、フォローになっていない。
ステラの言葉でいじけて地面に座り、人差し指で地面をつついている。
「と、とにかく、お前達の様な偽物がE級ダンジョンに潜っても死ぬだけだ!! 今の内に引き返すんだな!!」
そう言うと仲間からジョウと呼ばれていたリーダーっぽい男性は僕らを抜かしてE級ダンジョンへと向かって行く。
大盾を持った大柄な短髪の男性一人と、ナイフを腰に差した黒ショートヘアの女性、弓を持った金髪ポニーテールの女性、杖を持ってローブを着た紫色の髪をした女性は慌ててジョウの後を追いかける。
追い越す際に紫色の髪をした女性はぺこりと申し訳なさそうに僕達に頭を下げた。
どうも僕達に不満を抱いているのはリーダーのジョウだけみたいだ。
リーダーがあんなだとついていく仲間は大変だなと思いながらE級ダンジョンへと向かう。
なお、ステラの失言でいじけたパラケルトさんの機嫌を治すのに苦労した。
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