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第十一話 万能


 私とパラちゃんの話が終わったので、ルートヴィヒ達を中に入れると私達が仲良くなっている事に驚いている。


 いや〜、今まで転生の事は隠していたから話せる人間ができて嬉しい。

 それはパラちゃんも同じらしく、私達はすっかり意気投合した。


 パラちゃんと仲良くなれたのは嬉しいけど、今後の方針を決めなくちゃ。


 皆で話し合った結果、私とルートヴィヒ、セシル、パラちゃんは今までと同じで、近場のダンジョンを攻略してダンジョンコアを手に入れる事になった。


 イルティミナとチェルシーは、ユルゲイトの狙いを掴む為に第一次魔法大戦で連合側についたガゼット皇国を調べにいくらしく、ひとまずお別れだ。


 「イルティミナ、チェルシー、今までありがとう。二人には沢山助けてもらったね」


 私が素直にお礼を言うとイルティミナが照れ臭そうに鼻を指でこする。


 「へへっ、弟子を助けるのは当たり前だべさ。パラケルト、私が居ない間ステラ達を頼むべさ」


 「任せるのね!!」


 パラちゃんが胸を張っている横で、チェルシーと抱き合う。


 「···すぐに調べて戻ってくる」


 「うん、すぐにまた会おうね」


 暫し別れを惜しんだ後、イルティミナとチェルシーは北へと向かった。


 

 二人を見送った後、私達は賢者の塔の最上階の部屋で地図を広げ、攻略するダンジョンにいくつか目星をつけた。


 ガラルホルンの南の方にC級ダンジョンとE級ダンジョンがあり、更に南下した先にあるフランツェル王国にA級ダンジョンが一つ、イルシュミット共和国にD級ダンジョンとF級ダンジョンの二つ、バルツァー王国にはS級ダンジョンが一つある。


 この六つのダンジョンを攻略する事を目標にして私達は首都オウデンを出た。


 賢者の塔を出る際に多くの研究者達にパラちゃんは引き止められていたけど、なんとか振り切った。


 色々な魔道具の開発に携わっているパラちゃんが賢者の塔を留守にするのは研究者達にとって痛手だろう。


 申し訳ないと思いつつ、私の事をわかってくれているパラちゃんがついてきてくれて嬉しい。


 まずはガラルホルンの南にある町ミサイドのC級ダンジョンを目指す。


 移動はパラちゃんが作った魔導自動車。


 パラちゃんが魔法陣を描いて現れた魔導自動車の中は広く、椅子もふかふかで柔らかく、楽に旅ができそう。


 運転はパラちゃんがしてくれているのだけど、中々ワイルドな運転でセシルとルートヴィヒが酷い車酔いになった。パラちゃんが出した酔い止めの薬でそれも治ったみたいだけど。


 夜になると、パラちゃんが魔法陣を描いて木造の家を出した。


 中にはキッチン、冷蔵庫、洗濯機、お風呂、ベッドが完備されていて快適な夜を過ごす事が出来た。


 食事はパラちゃんが作ったマヨネーズやケチャップ、醤油などの調味料のおかげで魚や野菜、肉を美味しく頂けた。

 この世界にはケチャップ、マヨネーズ、醤油の他にも地球の食べ物が存在するけど、どれもパラちゃんが普及させたらしい。


 こんなに快適な旅は初めてだ。パラちゃんに感謝しないと。


 時折モンスターが現れたりしたけど、私達の敵じゃなく、三日程でミサイドの町に着いた。


 町に入る際にミサイドの町の門番に聖属性の魔術士は居るかと尋ねられたので二人居ると言うと、破顔し喜んで私達を中へと入れてくれた。


 門番をしていたジョセフさんが町を案内してくれているのだけれど、人が居ない。


 全く居ない訳ではないけど、町の規模に対して人通りが少な過ぎる。


 疑問に思っていると、ジョセフさんは町の教会へと私達を連れてきた。


 教会の扉を開けると、何十人もの人が床に寝かされて、神父様やシスター、医師が看病に奔走していた。


 寝かされている人達は皆顔が赤く、高熱にうなされてるみたい。


 私とルートヴィヒはすぐに回復魔法をかける。


 かけたけど、症状が多少緩和された程度で完治には至らない。


 風邪程度の病気なら瞬時に回復出来る筈なのに治らない。


 町の医師に聞いてもどのような病気なのか特定できていないらしい。


 流行病なのは間違いないけど、病名がわからない。


 私達が沈痛な面持ちの中、パラちゃんは患者一人一人を診察して笑顔で戻ってくる。


 「病名がわかったのね」


 「本当ですか!?」


 さっきまで暗い表情だった町の医師は凄い勢いでパラちゃんの肩を掴む。


 「お、落ち着くのね。病名はナナセク病なのね」


 「ナ、ナナセク病ですと!?」


 一筋の光明を得たような表情をしていた医師は再び表情を暗くする。


 何故表情を暗くしたのかは医師の話によってわかった。


 「ナナセク病は二百年程前に流行した病気です。症状は風邪に似ていますが、回復魔法は効きません。二百年程前に発見された治療薬も珍しい薬草をいくつも配合しなければならずこの町では作る事は不可能です」


 私も魔法学院で魔法薬学を習った人間だ。


 医師に配合しなければならない薬草を聞くと、どれもそう簡単に手に入る薬草ではなかった。


 絶望している私達をよそにパラちゃんは魔法陣を描いて薄緑色の液体が入った瓶を五つ出現させる。


 「···パラちゃん。それは何?」


 「ん? 何ってナナセク病の治療薬の原液なのね。この原液を水で十倍に薄めた物が治療薬になるのね」


 「「「なっ!?」」」


 パラちゃんの言葉に皆驚きを隠せない。


 「皆、ボーッとしてないでさっさっとこの薬を患者達に飲ませるのね!!」


 パラちゃんの言葉で我に返り原液を薄めた治療薬を患者達に飲ませていく。


 すると、高熱で苦しそうにしていた患者達の熱が次々と引いていく。

 

 その光景を見て神父様やシスターが泣きながらパラちゃんに頭を下げる。


 町の医師も感謝しながらパラちゃんの名前を尋ねる。


 「ん? 私はパラケルト·スミスなのね」


 パラちゃんが名乗ると医師だけじゃなく、神父様やシスターまでも目を丸くする。


 「あ、貴方様があの錬金王パラケルト·スミス様なのですか!?」


 「うん、そうなのね」


 町の医師は物凄く興奮している。


 何故かというと、二百年前に流行したナナセク病を鎮めたのが何を隠そうパラちゃんだったらしい。


 「ああ、あの時は薬草集めが大変だったのね」


 懐かしそうにパラちゃんが語る中、その場の町の人間達が頭を下げる。


 「「「ありがとうございました、錬金王様!!」」」


 「照れるから頭を上げるのね!!」

 

 パラちゃんは頬を赤くさせて照れていた。



 その後、町中に薬は広まり、ミサイドの町は流行病から救われた。


 町長がお礼を渡そうとしたけど、パラちゃんは受け取らずにこう言った。


 「町の皆はまだ体力が回復していないのね。だからそのお金で滋養のある物を食べさせてやるといいのね」


 この言葉に町長は滝のように涙を流し、このパラちゃんの言葉はすぐに町中に広がり、町民達も涙を流した。


 この後パラちゃんは町を救った英雄として語り継がれる事になる。


 れ、錬金王って万能じゃね?

 


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