表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/138

第七話 VS連合軍①


 ――セシル視点。


 現在クルトが率いるヨルバウム帝国軍東軍は小国ワナゼンダ国との国境で連合軍と戦っている。


 ヨルバウム帝国軍東軍の数は三万。それに対し連合軍は一万五千と倍の差がある。


 にも関わらず戦況は良くない。

 敵兵達があの紫色のドーピング薬を使用しているのだ。

 しかも副作用がなくなったみたいだ。


 ドーピング薬を服用した敵兵は皆好戦的になり、味方の兵士が押されている状態だ。


 クルトの采配でなんとかドーピングしている敵兵達と拮抗している状態だ。


 お父様とお祖父様はフェブレン家が率いる三千の兵の後方で指揮をしている。


 指揮はお祖父様とお父様に任せ、俺は雷迅化して敵兵を斬りながら戦場を駆け回る。


 この戦いには光迅流当主のメルト先生と娘のナーゼさんやグラシウスなどの光迅流門下生も参加している。


 他に知っている顔は、東軍の左翼をコールメル侯爵家の当主になったウリス先輩が指揮している。

 ウリス先輩は魔法学院を卒業した後、すぐに家を継いだらしく若くして侯爵となった。


 魔法学院時代から頼りになったウリス先輩が居るのは心強い。


 クルトは東軍の司令官なので、本陣でカイルやゼルバが護衛をしている。


 光迅流の剣士達が先陣をきって敵兵を切り倒していく。


 流石は剣の四大流派だけの事はある。

 ドーピングしている敵兵に遅れをとっていない。


 だがそれでも連合軍を退かせる事が出来ない。


 理由は二つある。


 一つはオルファースト王国の名軍師――ラライド·セプシアンが連合軍を率いている。


 好戦的になった兵士達をラライドは上手く指揮している。

 ラライドの大局を見た流れるような指揮のおかげで翻弄されて攻めきれない状況が続いているのだ。


 そしてもう一つの理由が連合軍の傭兵部隊を率いるバーン·マグナスの存在だ。


 バーン·マグナスは残虐的な性格のせいで十二星王に入れなかったが、実力は十二星王に引けを取らないと言われている。

 ついた異名が『傭兵王』。

 十二星王ではないのに王の名が入った異名をつけられた化け物だ。


 そんな化け物の相手はメルト先生が引き受けてくれている。


 もしメルト先生が居なければ、傭兵王に味方の兵士達は蹂躙されていただろう。

 

 俺は少しでも有利になるように雷迅化で敵を切り倒していくが、敵兵は殺さない限り切っても切っても向かってくる。

 言うなれば狂戦士(バーサーカー)だ。

 敵兵士達は身体能力も向上しているのか、重そうな鎧を着込んでいるのに動けている。

 その重鎧のせいで致命傷を与えづらくなっている。


 振るう剣は刃こぼれし、疲れで腕が重くなってきた。


 味方の兵士達にも疲れが見え始めているが、敵兵士達に疲れはないようだ。


 くっ、一度退いて体勢を立て直すべきか。


 そう考え始めた時後方から放たれた赤き閃光で敵兵士達が吹き飛んでいく。


 後ろを見ると空中に浮かんでいる少女が。


 大賢者イルティミナ様だ。


 だが魔法はまだ放たれる。


 巨大な光の大剣が敵兵士達を貫き吹き飛ばす。


 放ったのはチェルシーだ。


 確か二人は北の戦場に行った筈。なのに何故ここに居る?


 疑問に思っていると、紅き巨大な炎の塊が敵兵士を飲み込み焼き殺していく。


 その魔法を放ったのはここに居る筈が無いステラだった。


 魔法学院に居る筈のステラが何でここに? 待て。ステラが居るということは。


 そう思った矢先、俺の横を白き光が通り過ぎていく。


 白き光は俺の周囲に居た敵兵士達を一瞬で斬り殺した。


 白き光の正体はもちろんルートヴィヒだ。


 「助けに来たよ、セシル!!」


 白きオーラを纏っているルートヴィヒは笑顔でそう告げた。


 

            ◆◆◆



 私達がヨルバウム帝国軍東軍と連合軍の戦場へと着いた時、ヨルバウム帝国軍東軍は押され始めていた。


 まずはクルトが居る本陣へと向かい現状を聞いた。


 「なっ!? ステラ!? それにルートヴィヒ、チェルシーに大賢者殿もどうしてここに!?」


 

 「助けに来たんだよ!! それよりも現状は?」


 私達がここに居る事に驚いたクルトだったけど、今はそれどころじゃないと思考を切り替え、沈痛な表情で現状を教えてくれる。

 「···あまり良くはない。味方兵士達に疲れが見え始めて、徐々にではあるが押され始めている」

 

 「そっか、分かった。それなら私達は前線へと向かうよ」


 本陣から去ろうとした私達にクルトは「頼む」と頭を下げた。



 前線へとやって来ると味方の疲弊がよく分かる。


 だがよくここまで保たせたものだ。


 「さぁ、敵兵士達にドカンと一発派手な魔法をぶち当ててやるべさ!!」


 イルティミナは上空に飛んでいくと手に魔力を込め、敵兵士達に向かって赤き閃光を放つ。


 続いてチェルシーがレヴァンティンを放ち敵兵士を吹き飛ばす。


 私は大きく深呼吸をし、火属性の最上級魔法であるプロミネンスを敵軍のど真ん中に解き放つ。


 紅き炎の塊は数え切れない程の敵兵士達を焼き殺していった。


 私は目を逸らさずにその光景を見ていた。

 これは私がした事。だからちゃんと見る。


 ルートヴィヒはレヴァンティンを自分の身体と剣にエンチャントして最前線へと駆けて行った。


 遠くの方にセシルの姿がある。たぶんセシルを助けに行ったのだろう。


 イルティミナ、チェルシー、私の三人は味方に被害が出ないように魔法を放ち、敵の数を減らしていった。


 私達の魔法で多大な被害を被った連合軍はワナゼンダ国の方へ撤退していく。


 どうやら私達は勝利したようだ。間に合って良かった。

 

読んで頂きありがとうございました。

面白いと思って頂けたならブックマークと評価をお願いします。

つけてくれると作者の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ