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第二十二話 大会終了、そして謁見


 闘技場に戻るとガラルホルンオウデンの憲兵がヨーグ達を連行していた。だが全員廃人状態に見える。

 何か聴き出すのは困難だろう。


 何故闘技場から出ていったのか聞かれたけど、フードを被った仮面の女性がいたので追いかけたけど、逃したとだけ言った。

 仮面の女性がステラと似ていた事は伏せておいた。ステラにあらぬ疑いがかかると思ったからだ。機を見て話すことにする。


 中断していた決勝戦だけど、チェルシー達が棄権した。


 なんでも中断されずにあのまま戦っていれば負けていたからという理由らしい。


 決着がはっきりとつかない勝利はなんだかモヤモヤするけど、ステラが喜んでいるので良しとする。


 タッグ戦の表彰式が始まる。


 一位の僕とステラのペア、二位のチェルシーとマリア選手のペア、ベスト四のラダンさんとイレーヌさんのペア、ナギさんとミスズ選手のペアが表彰され、表彰状と順位が刻まれた水晶のトロフィーを頂いた。


 ステラは水晶のトロフィーを貰った事が嬉しいのか、水晶のトロフィーを頬でスリスリしている。


 表彰式はこれで終わりではない。


 最も活躍した魔法学院に表彰状とトロフィーが贈られるみたい。


 今年は僕らヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院が選ばれた。


 個人戦では全員がベスト八に入り、クルト皇子がベスト四、僕が優勝した。タッグ戦も僕とステラが優勝したので選ばれたのは当然の結果と言えるだろう。


 代表してウリス生徒会長が表彰状とトロフィーを受け取った。


 観客からの拍手喝采が闘技場を包む。


 ウリス生徒会長、クルト皇子、セシルも嬉しそうにしているが、特にステラが喜んだ。


 こうして表彰式は終わり、閉会式が始まる。


 各国の魔法学院の選手達が闘技場の舞台へと集まり、大会委員や各国のお偉方が挨拶をして世界魔法学院大会は幕を閉じた。


 大会が終わった後、仲良くなったラダンさんやイレーヌさん、ナギさん、チェルシー、他の国々の選手などとお別れの挨拶を済ませ、闘技場をあとにしようとしたが、護衛を引き連れた一人の男性に呼び止められる。


 「ヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院の諸君。今回の世界魔法学院大会での成績は実に見事なものだった。皇帝もお喜びになられるだろう。皇帝に謁見する場を設けよう。シュライゼムに戻ったら使いの者を送るので城まで来て欲しい」


 それだけ言うと男性は去っていく。

 確か開会式と閉会式の時にヨルバウム帝国代表で挨拶していたノメルド外務大臣だ。


 皇帝に謁見できると聞いてステラが凄く喜んでいるが、その横でクルト皇子も喜んでいるのが印象的だった。


 僕らは魔導自動車に乗り込み、ガラルホルンの港町シュペッゼへと向かう。


 これでオウデンの街ともお別れだ。多少の寂しさを感じながらオウデンの街を出た。


 約二週間かけて港町シュペッゼに到着し、魔導船に乗り込んでヨルバウム帝国港町サザランを目指す。


 船旅は順調に進み、約三週間かけてサザランに到着した。


 ここからは馬車の旅だ。

 馬車の旅は魔導自動車に慣れたせいか、非常に辛いものだった。

 皆馬車酔いを我慢しながら二週間かけてようやくヨルバウム帝国王都シュライゼムに到着した。


 

            ◆◆◆


 季節は秋。十月初頭にシュライゼムへと私達は戻って来た。


 シュライゼムの門を通過して馬車で魔法学院まで向かう。


 魔法学院に着くと、ソフラ先生と別れ、寮へと向かう。


 すれ違う生徒達は皆世界魔法学院大会の結果を知ってるみたいで、皆祝福の言葉をかけてくれる。


 中にはルートヴィヒの事を『光の君』と呼んで頬を赤らめる女子生徒も居た。

 皆の異名まで広がっているみたいだ。

 残念なのは大会で私の異名がつけられなかった事だ。

 結構活躍したんだけどなぁ。


 まぁ、いずれつけられるだろうから楽しみにしておこう。


 寮へと着き、皆と別れて寮の自室に入るとローナが笑顔で出迎えてくれた。


 「ステラ、お帰りなさい! 聞いたよ。個人戦ベスト八でタッグ戦では優勝したんだって? 凄いよ、おめでとう!!」


 「でヘヘ、ありがとう」


 ストレートに褒められて照れる。


 ローナとは大会の話や、私達が学院にいない間の事を話した。


 その後、風呂に入り夕食を食べて自室のベッドに寝転がると一瞬で寝た。疲れていたのか熟睡した。


 

 学院生活の日常に戻り一週間経った頃、私、クルト皇子、セシル、ルートヴィヒ、ウリス生徒会長は学園長室に呼ばれた。


 内容は皇帝への謁見の場が整ったので放課後城に行くようにとの事だった。


 学園長は大変喜んでおり、私達をべた褒めした。


 放課後になり、ソフラ先生に引き連れられて城へ向かう。


 門番に止められるが、詳細を話すと快く通してくれた。


 城に入り、大きな扉の前でしばし待つように言われたので待っていると、扉が開いた。


 豪華な美術品が飾られた部屋の壁際には兵士ときらびやかな服を身に纏った貴族がずらりと並んでおり、床には赤い絨毯が敷かれていてその先には玉座に座っている皇帝が居た。


 「近くに来るがいい」


 皇帝の声でソフラ先生が赤い絨毯を進んでいく。ソフラ先生に続いて私達も進む。


 皇帝との距離十メートル程になってその場で膝をついて頭を垂れるソフラ先生。

 ソフラ先生のまねをして膝をつき、頭を垂れる。


 「顔を上げるがいい」


 皇帝の言葉でソフラ先生が顔を上げたので私達も顔を上げると玉座には赤髪紅眼のイケオジが座っていた。


 年齢は四十代に見える。渋くてカッコイイ。それにクルト皇子に少し似ている。さすが親子だ。


 「余がヨルバウム帝国皇帝グルンガル·ヨルバウムである。此度の世界魔法学院大会での結果は実に見事なものだった。まず、ルートヴィヒ。個人戦で優勝し、タッグ戦でも優勝したと聞いた。その若さで光迅流中伝の位を持つ剣士だとか。その剣の冴えいつか見てみたいものだ。大儀であった」


 「ありがたき幸せ」


 皇帝の言葉に頭を下げるルートヴィヒ。



 「続いてルートヴィヒの妹ステラ。個人戦ではベスト八に入り、タッグ戦では兄と共に優勝。まだ七歳という若さで魔法の才能に秀でていると聞いた。いずれはこの国の魔導師になってもらいたいものだ。大儀であった」


 「ありがたき幸せ」


 ルートヴィヒの真似をして頭を下げる。


 「他の者も個人戦ベスト八に入ったと聞いた。大儀であった」


 「「ありがたき幸せ」」


 セシル、クルト皇子、ウリス生徒会長も頭を下げる。


 「最後にクルトよ」


 「はい」


 「個人戦でベスト四に入り、その戦う様から『不屈の皇子』という異名まで貰ったそうだな?」


 「はい」


 「実に見事。よくぞ王家の威信を示してくれた。お前の不屈の姿見てみたかったぞ。誠に大儀であった」


 その言葉には先程の私達への言葉と違い家族への温かみを感じた。クルト皇子に聞いていた話と違う。ちゃんとクルト皇子を意識している。


 「ありがたき幸せ」


 クルト皇子は声を震わせながら頭を下げている。

 クルト皇子のその姿を見て優しい笑顔を向ける皇帝。


 「皆の者大変大儀であった!!」



 こうして皇帝との謁見は終わった。


 城を出て魔法学院の寮に戻っている途中でクルト皇子に声をかける。


 「クルト皇子。お父さんあなたの事に無関心じゃなかったじゃん。あなたを見ている時優しい笑顔をしていたよ」

 

 「そうなのか? 顔を下げていたのでわからなかった。だが父上が俺の事をちゃんと見てくれているというのは伝わった。これもお前が魔法を教えてくれたおかげだ」


 「いいえ、全てあなたの頑張りの成果よ。私はほんの少し手伝っただけ」


 「···ありがとう。それからこれからは俺の事はクルトと呼び捨てにして欲しい」


 「え?」


 「駄目か?」


 普段ツンツンしている美少年がデレている。可愛い!! ギャップも相まって超可愛い!! 返事はもちろんイエス!!


 「わかった。これからはクルトって呼ぶ。これで良いクルト?」


 「ああ、これからもよろしくステラ」


 クルト皇子の満面の笑みを見たのは初めてかもしれない。


 こうして私とクルト皇子は友達になった。

 



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