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第十二話 雷迅


 Aブロックの試合が終わり、闘技場を修復する為に大会は一時中断している。


 と言っても土魔法ですぐに修復出来るので数十分の休憩だと思えばいい。


 次はBブロックの戦いが始まる。

 ウリス生徒会長とクルト皇子の出番だ。


 負けたのは悔しかったけど、気持ちを切り替えて応援しよう。



 数十分後、闘技場の修復は終わり、Bブロックの一回戦が始まった。


 ウリス生徒会長は第二試合で、クルト皇子は第九試合。


 ウリス生徒会長は持ち前の防御の硬さで勝利。


 クルト皇子は一生懸命に魔法の練習をした成果が出たのか使えるようになった短縮詠唱で堅実に勝利した。


 その後も二人は勝ち進み、決勝へと駒を進める。



 しかし、時間の都合上Bブロック決勝は二日目に持ち越しとなった。



 闘技場を出て私達は食事処天の恵亭にて夕食を取ることにした。


 夕食を食べながら明日のBブロック決勝戦の話になる。


 「まさかウリス生徒会長とクルト皇子がBブロック決勝戦でぶつかるとはね」

 

 ウリス生徒会長がクルト皇子に視線を向ける。


 「クルト皇子、明日は手加減しませんよ」


 「望むところだ」


 ウリス生徒会長とクルト皇子は静かに火花を散らす。


 院内大会ではウリス生徒会長が勝った。でもあれから約二ヶ月。人が成長するには充分だ。


 何よりクルト皇子は今日の試合を見てもわかる通り強くなった。

 私にはどっちが勝つのか分からない。


 

 

 ――翌日。

 

 大会二日目はBブロック決勝から開始だ。


 今日も観客は多い。


 魔導拡声器での場内アナウンスがなり、試合が始まろうとしている。


 『さぁ、まもなくBブロック決勝戦が始まります。先に入って来たのはヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院三年生ウリス·コールメル選手。二年前の世界魔法学院大会には当時一年生で出場を果たした才媛。闇魔法の名手がBブロックを制するのか? 対するは同じくヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院一年生クルト·ヨルバウム選手。ヨルバウム帝国の第三皇子にしてまさかの同院対決だ。フェイさんはどちらが勝つと思いますか?』


 『う〜ん、難しいですね。ウリス選手の闇魔法は鉄壁です。対するクルト選手は堅実な戦い方ですが、威力のある上級複合魔法のフレアサイクロンが使えます。どちらが勝っても不思議じゃないですが、経験の差と無詠唱が使えるウリス選手がやや有利という感じでしょうか』


 『なるほど。中々見応えのある試合になりそうですね。それでは試合が始まります』


 ウリス生徒会長とクルト皇子は握手したあと所定の位置へ。


 審判の始めの合図で同時に動く。


 ウリス生徒会長が無詠唱でシャドーランス八連発を繰り出す。


 対するクルト皇子はガイアウォールを球状に展開し、防御に徹して隙を窺っている。


 ウリス生徒会長は痺れを切らして闇属性上級魔法ダークローズを無詠唱で放つ。


  ガイアウォールに黒い茨が絡みつき締め壊す。


 だが、ガイアウォールの中にクルト皇子は居ない。よく見ると地面に穴が。


 ウリス生徒会長が気付いた時にはもう遅い。


 土属性魔法で穴を掘ってウリス生徒会長の後方へと飛び出るクルト皇子。


 そのまま渾身の魔法を放つ。


 「フレアサイクロン!!」


 咄嗟に防御魔法を展開するウリス生徒会長だけど、近距離からのフレアサイクロンを防ぐことが出来ずに防御魔法は破壊されて炎の暴風に吹き飛ばされて倒れる。


 すぐに審判が試合終了の合図を出し、ウリス生徒会長に回復魔法をかける。


 『勝負あり!! 勝者クルト·ヨルバウム選手。まさかあんな方法で勝つとは驚きですね、フェイさん』


 『ええ、素晴らしい奇策でした。経験値の差をあのように覆すなんて感動です』


 『と言う訳で、Bブロック代表はクルト·ヨルバウム選手に決定です』


 闘技場は歓声に包まれてその中に居るクルト皇子とウリス生徒会長は握手をしている。


 二人とも良い試合だったよ。



 Bブロックの試合が終わりCブロックの一回戦が始まる。

 セシルの出番だ。


 一回戦第五試合がセシルの出番。


 『さぁ、Cブロック第五試合はヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院一年生セシル·フェブレン選手対ガゼット皇国魔法学院二年生バズ·ドート選手です。セシル選手は光迅流初伝の腕前。対するバズ選手は槍の使い手。これは近接戦になるのか!?』



 大勢の観客の中セシルは落ち着いている。だが対峙しているバズ選手の様子がおかしい。

 目が充血していて、肌が赤い。あれ? これ何処かで?


 ···そうだ!! フィリップが薬を飲んだ時と同じだ。


 セシルが危険だ。早く試合を止めなくちゃ!!


 だけど試合は始まってしまった。


 バズ選手は槍に炎を纏わせセシルに高速の突きを放つ。


 セシルは避けるので精一杯みたいだ。バズ選手は明らかに身体能力も向上している。


 セシルは防戦一方で槍が頬を掠める。


 セシルは後方に飛び、バズ選手から距離をとる。


 「これはまだ残しておきたかったんだがな」


 セシルがそう呟くと、左手に紫電が迸る。


 「迸る雷帝よ、迅なる雷帝よ、我に大いなる雷を与えたまえ!! エンチャントライトニング!!」


 セシルは剣と身体にライトニングを付与した。

 

 紫電を纏うセシル。えっ何それ!?


 バズ選手がセシルに再び高速の突きを放つけど、突きは空を切る。セシルの姿が消えた。


 と思ったらいつの間にかバズ選手の後ろにいる。


 バズ選手は振り返り槍で薙ぐけど、再び空を切る。


 セシルはまたバズ選手の後ろにいる。速い。移動が速すぎて見えない。


 業を煮やしたバズ選手は槍に火の魔力を注ぎ込み、槍が更に燃え上がり蒼炎となる。


 蒼炎を纏った槍をセシルに向かって振り下ろす。


 だがセシルはまた消えて、気付いた時はバズ選手の後方に居て剣を鞘に収めていた。


 「光迅流伍ノ型散迅華応用技、散迅雷華」


  紫電を纏ったセシルがそう呟いた瞬間バズ選手の全身から血飛沫があがる。


 バズ選手はそのまま倒れる。


 審判がバズ選手の状態を確認し、試合終了の合図を出した。


 僅か三分の出来事で試合を止める間もなかった。


 『試合終了〜!? 速すぎて何がどうなったかよくわかりません。フェイさんはわかりましたか?」

 

 「速すぎて僕にもよく見えませんでした。わかったのは尋常じゃない速度でバズ選手を斬ったとしか』


 『とにかく勝者はセシル選手という事ですね!!』


 適当なアナウンサーは無視しつつ、セシルのあまりの変貌に驚きを隠せない。

 いやいや確かにセシルにライトニングを教えてくれって言われたから教えたよ!? でもそれがどうやったらそんなに強くなる訳!?


 

 この日、セシルに『雷迅』という異名がついた。

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