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第八話 ちらつく不穏


 院内大会が終了し、私は注目されるようになった。


 まぁ、世界大会の代表に選ばれたのだから注目されるのも当たり前か。皆の羨望の眼差しが心地よい。


 私とクルト皇子は前のような険悪な関係ではなくなった。

 かと言ってめちゃくちゃ仲良くなった訳でもない。


 まぁ、普通に会話するぐらいには仲良くなったかな?


 院内大会も終わり、普通の授業内容に戻る。


 


 授業が終わり、寮に戻って夕食を食べた後寮の裏の林に行くとやっぱりクルト皇子が居た。


 居たからと言って仲良く喋る訳じゃない。黙々と魔法の訓練をするのだけれど、今日は珍しく話しかけてきた。


 「···ステラ。そのお願いがあるんだが」


 「お願い?」


 「ああ、短縮詠唱の仕方を教えて欲しいんだ」 


 「別に教えてもいいけど感覚でやってるから為にならないかもしれないわよ。それでもいいなら教えるけど」


 「ああ、頼む!!」


 こうして放課後はクルト皇子に短縮詠唱を教える事となった。


    

            ◆◆◆

 


 ――七月になった。季節は夏。セミがミンミンとうるさい中、僕とステラ、セシル、クルト皇子、ウリス生徒会長は港町サザランへとやって来ている。


 何故サザランに居るかというと、世界魔法学院大会は八月中頃に魔導大国ガラルホルンで行われる。西大陸にあるガラルホルンには船でないと行けない。なので船に乗る為にここに居る。


 中央大陸にあるヨルバウム帝国から西大陸にあるガラルホルンまで一ヶ月かかるから世界魔法学院大会の出場者である僕達五人は授業を免除されている。


 と言っても宿題が出されているので楽にはならない。


 引率として付き添っているソフラ先生について行き、港に停まっている船に乗り込む。この船は火の魔石をコアにして動いている魔導船である。

 魔導大国ガラルホルンが開発に携わった最新鋭の船らしい。

 魔法工学の授業で習った。


 魔導船はガラルホルンに向けて出港した。


 寝泊まりする部屋に荷物を置き、甲板へと出る。潮風が気持ちいい。


 セシルとクルト皇子は甲板でステラに魔法を習っている。


 僕は一人で船からの景色を楽しんでいると、ウリス生徒会長がやって来た。


 「暇なの。話し相手になってもらってもいいかしら?」


 丁度いい。ウリス生徒会長には聞きたい事があった。


 「その後フィリップ先輩はどうなりましたか?」

  

 「親御さんの意向で自主退学という形になったわ。あの状態じゃ学校に通えないしね」


 フィリップ先輩はステラとの試合の後、飲んだ薬の影響で廃人状態になってしまったらしい。


 「フィリップ先輩はあの薬をどうやって手に入れたんでしょうか? 一生徒が作れる代物ではないですよね?」

 

 「ええ、恐らく何者かに与えられたのでしょうけど、あの状態じゃ聴き込む事も出来ないし、親御さんも知らないみたい」


 「そうですか」


 フィリップ先輩は自業自得かもしれないけど、あの薬は危険だ。

 何か嫌な予感がする。


 考えにふけっているとウリス生徒会長が話を変える。


 「それよりも私の模擬戦の相手をしてくれない? ステラちゃん達を見てたら私も訓練したくなっちゃった」


 「ええ、いいですよ」


 フィリップ先輩の事件はこれ以上考えても仕方ない。今は世界大会に向けて頑張ろう。

 


 

 約三週間で魔導大国ガラルホルンの港町シュペッゼに着いた。


 ここから約二週間かけて大会が開催される首都オウデンへと向かう。

 

 移動はガラルホルンが開発した魔導自動車である。


 魔導自動車も魔導船と同じく火の魔石をコアにして動いていると魔法工学の授業で習った。


 魔導自動車は馬車よりも速く快適だ。  


 野宿したり、宿に泊まりながら移動する事二週間。


 やっとガラルホルン首都オウデンに着いた。


 まずは宿に向かう。


 部屋を借りて荷物を置き、世界大会の会場となる闘技場の下見をしに行く。


 人通りが多い。首都というのもあるのだろうが、世界魔法学院大会の開催があるのも大きいのだろう。


 僕らの様に開催前より早く来ている人もいるだろうし。


 宿から歩いて三十分の距離に闘技場はあった。


 遠くから見ても大きいと思ったけど、近くで見ると迫力がある。


 闘技場のエントランスの受付で出場者は事前に登録しておかないといけないらしい。


 五人とも受付を済ませて闘技場を見学する。


 闘技場はドーナツ型になっている。


 観覧席に出て戦う場所を確認する。


 これだけ広ければ魔法での建物への損傷はあまり気にしなくてもよさそうだ。


 それに試合する際に観覧席に結界が張られるらしいので客席への被害も気にしなくていい。


 観覧席にはちらほら人が居る。僕らみたいに見学の人だろう。


 個人戦とタッグ戦がある。


 タッグ戦は二対二の対決となる。息の合い具合が勝利の鍵となるらしい。

 タッグ戦には僕とステラのペアだけが出る。急造のペアでは息の合った戦いは出来ない。その点僕とステラは兄妹だ。長らく一緒に生活しているので、阿吽の呼吸で動ける。


 個人戦はもちろん全員が出る。


 トーナメント戦になっており、トーナメント表は大会当日に発表されるみたいだ。


 一通り闘技場を下見できたので宿へ帰る事になった。


 観覧席から出る時に視線を感じた。


 振り返ると観覧席の反対側に見覚えのある人影が。


 すぐに観覧席から去って行ったのでちらりとしか見えなかったけど、その人影は桃色のショートヘアに空色の瞳をしていた。


 髪型こそ違うけど、その人影は目の前に居るステラに酷似していた。

 

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