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オリト会

読んでいただきありがとうございます!

 

 オリトは朝の日差しで目を覚ました。

 女の子と同室という初めての経験にオリトは緊張して寝られないかと思ったが、思いのほかすんなりと眠りにつけた。


 うーんとのびをしベッドに手をつく。


 ムニッ


 オリトは何か柔らかいものに触れた。


「…今の感触は何だろう…」


 横を見るとマリーナが寝ている。オリトのベッドで。


「なんで僕のベッドにマリーナが!?」


 思わずオリトは叫んでしまう。


「…なによ…朝からうるさいわね…」


 向かいのベッドでラーナが目覚める。そして僕の方を見る。


「………なにしてるのよ!オリト!」


「えー!なんで僕!?」


「だってあなたマリーナのベッドに……いや違ったわね。そこはオリトだったから…マリーナ!!」


「ん…おはよオリト。いい朝ね…」


 マリーナはのそっと起き上がり腕を上げのびをしている。非常に落ち着いている。


「マリーナ!なんでオリトのベッドで寝てるのよ!」


 ラーナはベッドから立ち上がり僕らの方にくる。下着姿で。


「ちょっ!ラーナなんで服着てないの!?」


「そんなことはどうでもいいの!それよりもマリーナよ!」


 どうでもよくない。だが冷静さを失ったラーナはオリトなどどうでもいいようだ。


「…いいじゃない別に。私が誰と寝てようがラーナさんには関係ないでしょ…?」


「オリトと寝るのは関係あるわよ!だってオリトは…私の…私の…!」


「私のなにかしら?」


「………って言えるわけないじゃない!!」


 しばらく2人の言い合いは続きそうだ。そう思ったオリトは部屋をそっと出ることにした。


「…早く終わればいいな」


 そう思うオリトであった。



 ◇



 朝の一悶着から一時間後、オリトたちは冒険者ギルドに来ていた。ラーナの冒険者登録と新たにパーティ申請をするためだ。


「あ、マリーナさん。オリトさん。お疲れ様です!今日はカイザールさんたちとは一緒じゃないんですね」


 受付に行くと受付嬢のラライが声をかける。


「私たちカイザールのパーティから抜けたのよ」


「ええっ!なんでですか!?」


「いろいろと理由はあるけど…一番はカイザールが鬱陶しかったからね」


「………僕はクビになっただけです」


「そうなんですか…最近カイザールさんたちギルドに来ないからどうしたのかなと思っていたのですが、そういうことだったのですね…」


 ラライは納得したように頷き、


「では今日は新たにパーティ申請ですか?」


「はい、それと彼女の冒険者登録をお願いします」


「はーい……ってあなたもしかしてエルフ…?」


「そうよ、何か問題がある?」


「いえ!そんなことはありません!ただ初めて生エルフを見たもので…少し驚いてしまっただけです。ではこちらに必要事項をご記入ください。あとパーティ申請のことなのですが、リーダーは…マ『オリトよ』…オリトさんですね。分かりました」


 以前のオリトを知っているラライからすればパーティリーダーになるのは当然マリーナと思ったのだろう。マリーナがオリトがリーダーと言った時、きょとんとしていた。


「新たなパーティになるのでランクは一番下のGランクになります。マリーナさんやオリトさんには物足りないクエストばかりになると思いますが一応決まりなので申し訳ありません。そしてラーナさんの冒険者登録も完了しています。これが冒険者カードになります。身分証がわりになりますので取り扱いには充分気をつけてくださいね」


「分かったわ」


 そう言ってラーナはカードを受け取る。


「最後にパーティ名なのですがいかがされますか?」


「……考えてなかったな…どうしよう?」


「オリト会」

「オリト会」


「…うん、もちろん却下だよ。なんで2人ともそこは息があうのかな…」


「ではオリト会で登録しますね」


「いや!ラライさん!やめて!お願いですから!」


「はい!登録が完了しました!」


「うそっ!?」


 オリトは冒険者カードを見る。するとパーティ名に『オリト会』と刻まれていた。


「そんなぁ…」


 ここに新たなパーティ『オリト会』が誕生した。


 がっくしと膝をおるオリトであった。



 ◇



「………じゃあとりあえずクエスト受けようか…」


 オリト達はクエストボードの前に移動する。


「僕たちはGランクだから…ゴブリン討伐とかしかないね…」


 オリト達が勇者パーティで受けていたのは最上級のSランククエストだったので、最低ランクのクエストは実力も報酬も見合わない。


「えー、そうなの?私もっと強いやつと戦いたい」


 ラーナがそう言う。ただしギルドのクエストはランク以上のクエストを受けることができない。特例もない。


「それは仕方ないんだよラーナ。みんな通る道だからね…コツコツランク上げるしか…」


「……あるじゃない、オリト。ランクを一気に上げる方法が」


 マリーナがそう言った。


「え?そんな方法あったっけ?」


「…クエスト中に()()()()出くわした上位モンスターを討伐するればいいのよ。それで討伐の証をギルドに持っていけばランクアップできるわよ」


「…それってありだっけ?」


「…偶然なら仕方ないのよ。そう偶然ならね」


 ニヤッと笑うマリーナ。


「で、私的にはこの『カナリア山脈のゴブリン討伐クエスト』がいいかしらね。あそこなら…偶然キングオークに出くわすかもしれないし」


 キングオークはBランクのクエストだ。少し厄介な敵だが倒せばBランクまで上がることが出来る。


「じゃあ…それ狙ってみますか…」


 オリトはマリーナがオススメしたクエストを受注することにした。ゴブリン討伐(目的キングオーク)クエストの開始だ。





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