対カイザール?
3日に1回は更新できるように頑張ります。
「死ねや!」
カイザールがオリトに斬りかかった。以前のオリトであればカイザールの攻撃を回避することはできなかっただろう。オリトがカイザールの剣を避けようとすると
「炎獄!!」
という声とともにカイザールが炎に包まれた。
「あ、あちぃ!!だ、だれか水だ!水をかけろ!」
カイザールがもがき苦しんでいる。
「あなたはしばらくその炎の中で苦しめばいいのよ。どうせ勇者の能力で簡単には死なないんだし。今まで自分のしてきたことを反省しなさい」
「マ、マリーナ!貴様!早く火を消せ!俺に逆らったらどうなるか分かってんだろうな!」
「別にもうあなたとは仲間でもないし、消す義理もないわ」
「くそが!メイア!ネコル!どっちでもいい水を持ってこい!」
今もなお燃え続けているカイザール。すごく可哀想だ。
「ね、ねぇ、マリーナ?もう消してあげた方が…」
「優しいのねオリト。でもね、こいつには少しお灸を据えてやるのが一番いいのよ。少なくとも私がオリトと話している間は燃え続けてもらうわ」
フフフと笑うマリーナ。絶対に敵に回したくない。
「ところでオリト。これからどうするの?」
「ぼく?僕はラーナと一緒に街に行って冒険者になるつもりだよ」
「そう、じゃあ私も同行してもいいかしら?私は自分で言うのもなんだけどそれなりに強いと思うわよ」
「僕は歓迎するけどラーナはどう?」
「……オリトがいいならいいんだけど……」
歯切れが悪いラーナ。
「……ラーナさん?私が同行するのはいや?」
「…そういうわけじゃないけど…」
ラーナの視線がマリーナの一部分に向いていた。それに気づいたマリーナは
「あら、別にオリトはそんなこと気にしないわよ」
「な!なんのことを言ってるの!べ、別に…おっ…のことなんて………もういいわよ、一緒に行きましょう!」
「決定ね!よろしくねオリト、ラーナさん」
こうしてマリーナが仲間になった。(割と強引に)
「じゃあ行きましょう!私たちの新たな旅に!」
「あの、マリーナさん?カイザールの火消してあげようよ…」
「あぁ、忘れてたわ。あまりにも静かだったから」
マリーナが魔法を解除すると炎は消えたが、カイザールはピクリとも動かなくなった。どうやら気絶しているみたいだ。
「あの程度で気絶するなんて…本当に勇者なのかしら」
「いや、マリーナ?あれは…結構燃えてたよ?」
「そうかしら?私イラッとするとついやっちゃうのよね」
「ついって…」
「まぁいいじゃない。カイザールが起きる前に早く行きましょう」
「あ、ああ!ラーナも行こう」
「え、ええ…」
「ところでラーナさっきから自分の胸を押さえてるけどなにかあったの?」
「な、なんでもないわよ!オリト!デリケートなことを聞くのはセクハラよ!」
なぜか涙目で反論するラーナ。僕はなにかしてしまったのだろうか。もしかしたら触れられたくない話題だったのかな…マリーナはフフフと笑いながら前を歩き始める。
「……絶対に負けないんだから……」
ラーナはそう胸に誓った。
◇
「は!俺はなんで倒れてるんだ!オリトはどこに行った?」
目覚めたカイザールは目に入ったメイアに聞いた。
「オリトさんならもう行きましたよ。カイザールさんが気絶している間に」
「はぁ?俺が気絶だと?そんな訳が…あるな!くそ!」
カイザールはマリーナに燃やされていた時のことを思い出した。
「あいつら…絶対に許さねぇ」
「でも今のカイザールにオリトが倒せるのかにゃ?」
「あぁ?ネコル今なんて言った?俺にオリトが倒せないそう言わなかったか?」
「倒せないとまでは言ってないにゃ。でもオリトはパーティにいた時よりも確実に強くなってたにゃ」
「そんなはずがあるか!あいつを追い出してからまだ数日しか経ってないんだぞ?そんないきなり強くなるなんてことがある訳ないだろ!」
「そうなんだけど…」
「あいつが俺よりも強いはずがないんだ!強くあってはならない!なぜなら俺が勇者だからな!分かったなら早くオリトを追いかけるぞ!勇者装備を取り返さなければならないからな!」
そう言ってカイザールは立ち上がり、森を抜けるため歩き始めた。
◇
オリト達が森を抜けた頃にはもう夜になっていた。
「今日はどこか宿に泊まって、明日冒険者ギルドに行きましょう」
「ごめんマリーナ!僕たちお金持ってないんだ!だから宿には泊まれないんだよ…」
「あら、気にしなくてもいいわよ。オリトがお金持ってないこと知ってるし私が出すわよ」
「…ごめんねマリーナ、助かるよ」
「いいわよ、悪いのはカイザールだし…着いたわ」
マリーナは『ホシノ亭』という宿に入った。
「あ、マリーナさん!いらっしゃいませー!」
と女の子がマリーナに声をかける。
「久しぶりね、ホルン。今日部屋は空いているかしら」
「ちょっと待ってね……2人部屋が2部屋と4人部屋が1部屋空いてるよ」
「じゃあ4人部屋でお願いするわ」
「え、マリーナ?僕のこと忘れてない?」
「忘れてないわ。そうね…私は構わないけどラーナさんは困るかしら?」
「こ、困らないわ!私もオリトと一緒がいい!」
「…僕はこま『じゃあ4人部屋でとるねー』…僕の話聞いてもらえませんか?」
「じゃあ部屋に案内するねー!」
ホルンは客室の方に歩いていく。それにマリーナとラーナもついていく。
「……僕の話も聞いてよー!」
オリトの悲痛の叫びが宿に響いた。