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勝利!そして…

読んでくださりありがとうございます!


「か、勝った…のか?」


おっさんはピクリとも動かない。


「「うおおおお!」」


運搬車の中から叫び声が上がった。


「やりやがったぜ!あの人間!!」


「マジかよ!俺たちが全く歯が立たなかったやつをたった1人で倒しちまうなんてな!」


運搬車からは歓喜の声が上がる。

倒したの?僕が!?


「オリト!!」


ラーナが抱きついてきた。


「う、うわぁ!ちょ、ラーナ!痛い!痛いって!」


「ありがとうオリト!ありがとう…!」


ラーナは僕に抱きつき泣き始めた。

ぼ、僕はこんな時どうしたらいいんだ…?

とりあえず背中をさする。


「ボス、さっきから大きい音がしてますが…ってボス!!なんで倒れてるんですか!!」


まだ残党がいるみたいだ。


「ラーナ大丈夫?立てる?」


「ええ、大丈夫よ!じゃあ残りを片付けてしまいましょうか!!」


僕たちは武器を手に残党狩りを始めた。

手始めに民家から出てきた男を倒す。

そして民家の中に入り、酔っ払った男たちを倒す。


「お、俺たちが悪かったから!許して…ぎゃあぁっ!」


「許すはずないじゃない…」


僕たちは残党を全て倒した。


「私たちの勝利よ、オリト!!」


「ああ!あ…………」


バタン…


「オリト!?」


僕はその場に倒れてしまった。

そして意識がなくなった。


ーーー

ーー




光が目に当たる。眩しい。


「…ん、んん…」


おでこに何か乗っている。冷たくて気持ちがいい。


「……ト…」


女の子の声が聞こえる。


「…リト…?」


ああ、ラーナの声だ。


「……ラ、…ラーナ…」


「オリト!?目が覚めたのね!よかった…」


とラーナが僕の腹部に飛びつく。

そのまま僕に乗っかる。


「ぐふぅ…重い…」


「ちょ!今私のこと重いって言ったでしょ!!」


「病人に飛びつかないのラーナ!傷が開いたらどうするの!?」


「…はぁい…」


僕の上から降りるラーナ。

ちょっと顔が怒っている。


「ラーナ、僕は…どのくらい寝ていたの?」


「3日間眠っていたわ。身体中ボロボロだったんだもの。生きてるのが不思議なくらいよ!」


「…でもあんまり体に傷がないけど…」


体を見てもほとんど外傷もない。


「それは精霊様の力を借りたからよ」


「精霊!?いるの?」


精霊なんておとぎ話でしか聞いたことがない。


「ええ、エルフの村にはいるわよ。でもねいつでもいるものじゃなくて、1年に一度だけこの村に来て願いを叶えてくれるの」


「……え?もしかしてその1年に一度の願いを僕のために使ったってこと?」


「ええ、そうよ」


「えぇ…それってまずいよ…僕はこの村に何も返せないよ?」


お金もないし…

すると入口の方から


「…貴殿のために使わずして、何に使えようか」


と声がした。

声の方を見ると、男のエルフが入ってきた。


「村長!」


ラーナが駆け寄る。


「もう大丈夫なの?」


「ああ、もう歩けるようになったよ。ラーナよくやってくれた!」


よしよしとラーナの頭を撫でる村長。


「さて、オリト殿。私はこの村の村長であるライナだ。この村を、村人たちを救ってくれて本当にありがとう」


ライナさんが頭を下げる。


「いやいや!こちらこそ治療とかしてもらってありがとうございます!貴重な精霊へのお願いも使ってもらって…」


「はっはっは!気になさるな!先ほども言ったが命の恩人のために使わずして、何に使えようか!村を救ってくれた勇者のために使えたのだ!有効な使い方だろう!」


「オリト、これは村の総意なのよ!だから気にしないで!」


「……では、ありがたく受け取ります」


うむと頷く村長。


「して、オリト殿。体の調子はいかがかな?」


「まだ万全とはいきませんが、動くぐらいはできそうです」


「そうか、ならば明後日村でささやかながら村の勇者誕生を祝う式典行おうと思うのだが…大丈夫そうだな」


「ゆ、勇者!?僕が!」


「はっはっ!なに大したことはせんよ。村の勇者にエルフの村に代々受け継がれている聖剣を渡すための式典なのだからな!」


「聖剣…ですか?」


「ああ、君に受け取って欲しいんだ。どうだろう?」


僕が受け取ってもいいのかな…

ラーナを見る。


「もらっときなさいよ。あなた武器持ってないんだし」


そんな理由でもらってもいいのかな…

でも…


「…僕でよろしければありがたく承ります!」


「うむ!では明後日また会おう!それまではしっかり体を休めてくれ」


「はい!ありがとうございます!」


村長は部屋から出て行った。


村の勇者か…ちょっと恥ずかしいな…


「まさかあなた自身が勇者になるなんてね。面白い話よね!」


ラーナがそういう。


「僕もそう思うよ。もし仮に勇者パーティをクビになってなかったら、こんなこともなかったんだろうなってね」


あのままパーティにいたらカイザールにこき使われ続けていただろうし、手柄を立てても全部横取りされていただろうな。


「じゃあオリト、私隣の部屋にいるから何かあったら声かけてね!」


そう言ってラーナは部屋から出て行った。


僕はもしかしたら勇者パーティをクビになって良かったのかもしれないな…


そう思いながら僕は再び眠りについた。










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