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龍化

更新ペースが上がらない…すいません


「終わりにしようか!少年」


「だめー!!おにーちゃんはキーが守る!!」


キコの叫び声とともに辺り一面が光に包まれる。


「なんだこれは…?」


カッペリーニア国王は腕で顔を覆い光から目を守っている。

そしてようやく光がおさまると、そこには1匹の小型の龍が姿を現した。


「ふはは!!龍化か!!素晴らしいぞ少女よ!ますます欲しくなった!」


『おじさんみたいな変態さんのものになんかならないもん!』


「俺を変態扱いとは笑わせる。良いぞ良いぞ!俺は欲しいものは力づくでも手に入れる。どんな手段を使ってもな!だからお前も殺さぬようにいたぶった後に、鎖で繋いでゆっくりと洗脳していってやるからな!」


『キコ負けないもん!』


見た目が龍なのに喋り口調はキコのままなのは少し違和感だ。

オリトは薄れる意識の中で、自分を守るために立ちふさがった小さな龍に小さく微笑んだ。


自分よりも幼いキコに守られて…いやそれだけじゃない。

普段はラーナとマリーナにも守られている。

自分は本当に弱い。

誰かに守られないと戦えない。

そんな自分が嫌だ。


『だったら変わればいいじゃない』


ふと頭の中で声が聞こえる。

以前エルフの村で聞いた声だ。


「でも僕は偽物だ。勇者の力の真似事ができるだけの…」


『ならあなたが本物になればいいじゃない』


本物…なれっこないさ。

この世界に勇者は1人しかいない。

カイザールという勇者しかいないのだ。


『たしかに勇者は1人しかいない。でもあなたは勇者の本当の意味を理解しているはずよ?だったらなれるじゃない。あなただって本当の勇者に』


勇者の意味…

そうだった…僕は忘れていた。


『分かったなら立ち上がりなさい。そして目の前であなたを守ろうとしている小さな「勇者」に力を貸してあげなさい』


「分かりました!ところであなたは…?」


『ふふっ、いずれまた会えるわ。その時まで私の正体は内緒よ』


声が聞こえなくなると今まで動かすこともままならなくなっていた体に力が入る。

そして国王とキコが戦う音が聞こえる。


「ははははは!!龍とはその程度か!弱い弱い弱い!!」


キコの大ぶりな攻撃は速度が売りの国王には全くヒットしない。

また国王の攻撃もキコの鱗に阻まれ致命傷を与えるまでは至っていない。

しかしそれは時間の問題だろう。


オリトは立ち上がる。

自分を守ろうとしてくれた勇者を今度は自分が助けるために。


「まだ立ち上がる力が残っていたか少年」


「守られてばかりなのはもう嫌なんだ。僕がみんなを守る。だからお前は僕が倒す!」


「いい目になったじゃないか少年。だがボロボロのお前に何ができる?俺はまだまだ早くなるぞ?」


そういった国王は瞬間移動かのごとく立っていた場所からオリトの背後に移動し、横薙ぎに剣を振るう。

しかしその刃がオリトを捉えることはなかった。

甲高い音とともに剣が弾かれる。


「まだだ!」


態勢を立て直し今度は剣を真っ直ぐに突く。

黄金の剣が一直線にオリトの背中を捉えようとするがその剣は虚空を突き出すのみだった。


「背後からの攻撃を完全に見切っているだと!?」


「国王がさらに早くなるなら…僕もその速度についていく!しかもそれだけじゃない!キコっ!!」


完全にオリトに集中していた国王は視覚外から飛んできたキコの尻尾を回避することができなかった。


「ぐっ!!」


国王は壁際に飛ばされる。

すかさずオリトは国王のもとに駆け出し、壁に衝突した国王の腹部を蹴りあげた。


「ぐはっ!」


国王はズルズルと壁を伝って地面に落ちる。


「これで終わりだよ!カッペリーニア国王!」


「…まだだ!天下無双の俺がこの程度でやられるかよ!!」


立ち上がろうとする国王。

その国王に向けてオリトは剣を突き出す。

その剣を国王は片手で掴む。

刃物を掴んだのだ。

手は赤色に染まっていく。


「捕まえたぞ…少年」


「な、何してるんですか!?」


「何って殺されそうになったんだから死なないようにしたまでだ。この程度かすり傷だからな…」


国王は強がっているようには見えない。

本当にかすり傷だと思っているのではないかと思うくらい平然としている。

オリトはその気迫に一瞬力が抜けてしまった。


その隙を見逃す国王ではない。

瞬時に立ち上がり、剣を押し返しオリトの態勢を崩す。


バランスを崩したオリトはそのまま尻餅をつく。

(やばい!)


だが国王の追撃はない。

立ち上がった状態で肩で息をしている。


そのまましばらく睨み合いが続く。

視線で互いを牽制し、攻撃の隙を伺う。


しんとした空間が部屋の中に広がる。


その時、部屋の入り口の扉がいきなり開かれた。


「おやめください!!」


と。




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