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勇者の腕輪

スランプ気味で書くペースが遅くなってます…すみません

 

「アナスタさん勇者装備持ってるんですか!?」


「もちろん持ってますよ。先代勇者は次の世代の勇者のためにパーティメンバーとお世話になった人たちに自分の装備を託したのです。パーティメンバーだった私はこの腕輪を託されました」


 そう言ってアナスタは自分の腕につけていた腕輪を取り、オリトに差し出した。


「私がつけていても全く効果はありません。なにせこれは勇者にしか使えない装備ですから」


「でもさっきも言ったけど僕は勇者じゃないよ?」


「分かっています。ですが先ほどキングオークと戦っていた時、あなたが持つ勇者の剣の力が発動されているのを私は確実に見ました。だから私はあなたにこの腕輪を使ってみてほしいのです。発動してもしなくてもいいのです。ただ試して見てほしいのです」


「……じゃあお借りしますね」


 そう言ってオリトはアナスタから腕輪を受け取り自分の腕につけた。しかし何も起きない。


「……やっぱり反応しないね」


「そうですか…ではなぜ剣の方は力を使えたのでしょうか…?」


 アナスタさんがうーんと首を傾げる。それを僕に聞かれてもな…と思っていると、


「ねぇ、オリト。あなた今能力使ってないよね?」


 とラーナが言った。


「ああ!そうだった!忘れてたよ…」


 自分の能力を忘れるのもどうかと思うのだが、オリトは勇者化の能力を発動した。


 すると腕輪が光始めた。


「反応しましたね。しかし不思議なものですね…能力が『勇者をしじする者』…私も長年生きていますが、聞いたことがありません。もしかしたらあなたは勇者になれる素質を持った人間だったのかもしれませんね」


 アナスタさんは不思議そうにオリトを見つめる。


「オリトさん、その腕輪はあなたに託します。あなたならこの腕輪を使いこなせるでしょう。それに……今のあなたはまだ未完成といいますか…正直に言うと弱いです。キングオークに苦戦するようでは勇者として魔王を倒すことはできませんから」


 なかなか辛辣なことを言うアナスタだったが、実際にその通りなのだ。


「ありがたく受け取ります。僕はもっと強くなります!仲間を守れるように!」


「期待していますオリトさん。また困ったことがあればここに来てくださいね。力になれることがあれば協力しますから」


 アナスタはそう言うとオリト達の目の前から姿を消した。


「じゃあ街に帰ろうか」


 そう言ってオリト達は街に向かって歩き始めた。


 仲間の危機はあったものの、先代勇者の仲間と出会い新たな力を手にオリト達の冒険は続く。



 ◇◆◇◆



 一方その頃カイザール一行はエルフの森からホームタウンに戻ってオリト達を探していた。


「くそっ!あいつらどこ行ったんだよ!」


 ギルドに行ってもオリトのことは誰も教えてくれないし、俺たちがいた宿にもいない。


「ねー、カイザール。オリト探しはやめてクエスト受けにゃい?ネコルもう飽きたにゃ」


「あ?ふざけんなよ。あいつは俺の武器を持って逃げてんだぞ?奪い返さないといけないだろうが!」


 カイザールはオリトがエルフの聖剣を持って立ち去っていることに腹を立てている。


「もう違う街に行ったとは考えられませんか?もう森での一件から3日経っていますし」


 メイアがそう言うと


「なんで誰もオリトを見ていないんだよ!クソが!」


 カイザールは酒場の椅子を蹴飛ばした。椅子は壁にぶつかり壊れる。


「………おい、ガキ。何してくれやがる」


 ドスの効いた声で店主がカイザールに近づいていく。


「あぁ?俺のやることに文句あるってのか?俺は勇者だぞ?俺がやることは全て正義なんだよ。わかったか?」


「………は、笑わせんな。お前みたいなヒョロガキが勇者だと?お前みたいなのは愚か者って言うんだよ」


「なんだと!?お前勇者に逆らうとどうなるか分かってんだろうな?」


「………どうなるってんだ?」


「なら教えてやる!!後悔すんなよ!!」


 カイザールは剣を抜き、店主に斬りかかる。


「………ふんっ!」


 店主は縦に振り下ろされたカイザールの剣をサイドステップでかわし、そのままカイザールの腹部に拳を突き出した。


「グボァァッ!!」


 カイザールは椅子と同じ軌道で吹き飛び、壁にぶつかりその場に落ちる。


「………ヒョロガキが。その程度で勇者名乗ってんじゃねえぞ。分かったら金払ってさっさと出て行け」


 店主はカウンターに戻っていった。


「か、かっこいいニャー!!」


 壁にぶつかり気絶しているカイザールのことなど目もくれず、ネコルは店主を見て飛び跳ねている。


「決めたニャ!私あの店主に弟子入りするニャー!!」


「ちょっとネコル!あなたまで抜けたら私とカイザールだけになってしまうではありませんか!?」


「そんなの関係ないニャ!魔王を倒すための冒険に出ないパーティにいても意味がニャいからニャ!おやじさーん私を弟子にして下さいニャー!」


 そう言ってネコルは店主のもとに走っていった。


「………俺は弟子はとらんぞ?」


「そこをなんとか頼むニャ…私魔王を倒すために強くなりたいんだニャ…」


「………お前さん本気で魔王を倒したいのか?」


「当たり前ニャ!私の住んでいたところは魔王の手下に滅ぼされたニャ。だから生き残った私が魔王を倒さなきゃならないのニャ!」


「………いい目をしてんじゃねーか。気に入った。お前をヒョロガキのもとに置いておくのはもったいない。弟子にするからには店の手伝いはしてもらうぞ?」


「分かったニャ!よろしくお願いしますニャ!私はネコルって言うニャ」


「………そうかい、じゃあネコル。最初の仕事だ。あのヒョロガキを店から放り出せ。金はちゃんと受け取ってからな…」


「分かりましたニャ!」


 ネコルはカイザールの懐から金が入った袋を取り出し、店主に渡した。店主はそこから酒代を取り、再びネコルに袋を返した。


 そしてネコルはカイザールをヒョイっと担ぎ入口から外に放り投げた。


 カイザールはゴロゴロと転がり溝にはまって止まった。


「私も教会に戻ろうかな…」


 メイアは天井を見上げそう呟いた。





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