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東西故郷物語 ~Memories of Hometown  作者: ミサゴ
第1章 分裂列島
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第004話 - 新しい家族

○登場人物○


◆出雲サヤ(仮)♀ - 主人公。東側から闇バスで不法入国した高校生。京都で事故に巻き込まれ、玲子達に救出される。

◇出雲玲子♀ - 帰り道際、事故に巻き込まれたサヤを救出した。偶然にもサヤと同い年。

◇出雲陽三♂ - 同上。小学生らしくやんちゃで活発的。

◇出雲勲♂ - 玲子と陽三の父。妻の死後、2人の子供のために姫路で働いている。

堂々と聳え立つ京都タワー、五重塔。

名前も知らぬ山の方面から空が色づいてくる。

西の方向から上がり始めた太陽が、世界を塗り替える様に古都を照らしてゆく。


昨晩は殆ど寝れなかった。

玲子さんと陽三はこの家に居ても構わないとは言ってくれたものの、出雲家の父にはまだ話をしていなかったのだ。

玲子さんはを納得させるため、父の電話番号をスマホに打ち込み電話をかける。

昨晩、彼女は私の事情を自身の父にずっと話してくれていた。

…陽三のいびきがマイクに入らぬよう気を配りながら。



電話の最中、いきなり玲子さんは片手を指し伸ばし…


グッ!



満面の笑みとともにGoodサインを出す。

説得にかなりの時間を要したが、玲子さんの父は私がここを住まいとすることに承諾してくれた様だ。

すると、玲子さんはスマホをこちらに差し出し…

 「電話代われって。」

全てを人任せにさせて、いきなり自分の番になったからこればかりは緊張した。

 「…もしもし、お電話代わりました。」

 「おぉ、おまえがサヤさんか。…」


改めて私は、自分の記憶にある範囲内の事を全ておじさんに伝える。

彼からしてみれば、私の記憶に残っていることを伝えるには、玲子さんと初めて会話した時よりも致命的と言っていいほど説明不十分だったと思う。

それでも、おじさんは…

 「ひとまず自立生活の目途が経つまで、ずっとこの家に住んどったらいい。」


と、もはやここまでくると異常さを感じるほどすんなりと出雲家の一員として生活することが決まった。


最初、こんな東から来た不法移民の私を受け入れてくれるとは思わず、追い出されてホームレスのような生活をずっと覚悟していた。

少し高い土地にある出雲家の窓から、見える範囲で住めそうな場所を探していたくらいだ。

だからこそ、口と表情では表現しきれないほど感謝の気持ちでいっぱいになった。

私は、玲子さんとおじさんに壊れたラジオの如く何度もお礼を言った。


 「ははは。気にせんでええって、金のやり繰りはこっちで何とかすっから。」

 「私も、サヤが家に居てくれたら楽しくなりそうだし嬉しいわ。」


この温もりのこもった2人の言葉は、たとえ記憶が蘇っても一生忘れないだろう。

しかし、家主に居候を認められても、私は東の国の民。

正式にここに住むには西の国の市民となる他ない。

前の住所も分からず、自分の本当の名前も分からない。

そのことを不安げにおじさんに伝えた。


 「ほな、博多で知り合いが国民センターで働いてるから、そこにも相談しとくわ。」


怖そうな声とは裏腹に、電話を切る最後まで優しさが溢れる人だった。




そして今朝。おじさんの知人が居る博多の国民センターから電話が来た。


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