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東西故郷物語 ~Memories of Hometown  作者: ミサゴ
第5章 小さなヒーロー
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第042話 - 小さな成果


佐久市の国境騒動の件から4日が経った。


彼女らの拠点地である、こ

こ横浜に例の場所から「小さな視察団」が帰還してきた。

このまだ幼い彼ら、彼女らは皆震災と壁で家族と離れ離れに…酷いものは亡くしていた。


「お疲れ様。よく頑張って行ったね。」


そう一人ひとりに声を掛けて回るのは一ノ瀬だった。


「こんなのへっちゃらさ!」

「…これで、パパに会えるのかな…?」

「団長さんも、むりしないでね。」


子供たちの反応は様々だった。



一ノ瀬一派は、800名以上の孤児を関東から中部、北陸から保護していた。

一ノ瀬もまた、その1人なのだと自分で理解していた。

今回の国境騒動は、彼らにとって母であり姉のような存在である一ノ瀬の提案だった。

発案は「どうすれば今居る孤児たちに笑顔を回復させることが出来るか」。



「一人ひとつ、メッセージの書かれた紙飛行機を飛ばす」。



この行為が意味する本当の意味はまだ不明瞭だが、これだけは明確だった。


子供たちに少しだけだが、笑顔が戻り始めたのだ。

西側へて超えてゆく紙飛行機に、さぞかし胸いっぱいの想いを載せていたに違いはないだろう。


でも、そのために壁の近くまでわざわざ向かわせた訳では無い。

もうひとつ、彼ら「小さな視察団」の果たした役割。


「壁の現状と その許で警備を強いられている者達の心情理解」だ。


今、人口急減による政策で「徴兵制」なる古来のシステムが採用され、北海道から長野まで様々な人が国境警備兵に「狩り出されて」いる。


一ノ瀬は、まだ壁を越えるという無謀な行為に少しでも望みが無いかと探り始めていた。

負けず嫌いで、諦めのつかない彼女らしいと言ってしまえばそこまでだが、実際にこちら東側が人体埋蔵型の個GPS個人情報カードを全国民に導入しても、越境者が絶えないという情報が耳に入ったからだ。



でも、所詮は半ば強制的に連れてこられた警備隊による監視。

西側にはもはや警備や監視は殆どないと言われている。

その目線さえ回くぐり、今回の視察調査は成功した。


何となくではあるが、彼女の頭には壁がギシギシと音を立てているのが想像出来た。





東の民の負担は、まだまだ深くのさばり続けている。

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