現代版 静かに思へば
めちゃくちゃ短いです。
静かな時間にぼんやりしていると過ぎてしまった過去の出来事が恋しくなってくるのは仕方がないことなのだろう。
他の人がみんな寝て静かになった長い夜。ひまつぶしでもういらなくなった日用品の整理整頓をしようと思いついた。
書き損じの紙とそうでない紙を分けたり、携帯電話の未送信メールを消したり。その捨てようとした紙の中には今はもう生きていない人が生前に落書きしているのもあった。
それを見ると、昔のことが思い起こされる。いつの時、いつの年、だったのだろうか。
あの人と散歩に行ったのは。
あの人と神社に行ったのは。
あの人に餅をご馳走してもらったのは。
あの人に弓を教えてもらったのは。
あの人に手紙をもらったのは。
あの人に手紙を書いたのは。
色々なことが生きているうちに起こった。私はそれをしみじみと趣深く思っている。
手紙でさえ時が経ち、風化していっているのに、使い慣れた日用品は使っている人がいなくなっても物は変わらずずっとそこで使われている。
私はそのことがたいそう悲しいと感じる。
これで完結となります。短編集みたいなものですが、読んでいただけて幸いに思います。ブックマーク・評価等も待っています。よろしくお願いします。
また、「神聖の転生者」の方もよろしくお願いします。