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現代版 徒然草  作者: different easy night
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現代版 丹波に出雲といふ所あり



日本の島根県に出雲市という所があるが、兵庫県にも出雲というところがある。なぜなら、島根県にある出雲大社の神霊を移して神社を立派に建立したからだ。










その兵庫県の出雲は志田なんとかとかいう人が市長をやっている所なので、ある秋の頃、市長の友人で他の市の寺の住職をしている聖海さんが観光もかねて知り合いをたくさん誘い、出雲大社へと牡丹餅を食べに行った。





「さあ、行きましょう、出雲を拝みに。牡丹餅をみなさんに御馳走しましょう。」


そんな掛け声とともにそのツアーはスタートした。










出雲大社に着くと、各自自由に拝み、聖海さんのごり押しで連れてきたツアー客は出雲大社を深く信仰するようになっていた。


集合時間になり、ツアー客が全員集まったところで聖海さんは前を見て気づく。御前にある獅子と狛犬が反対を向いて、後ろを向いて立っていたことに。ツアー客にはわからなかった感動が聖海さんだけに押し寄せてくる。



聖海さんはうんうん、と頷き、ぼそりと呟いて徐々に大きな声で叫ぶように言う。



「ああ、すばらしい!!excellent!!この獅子達の立ち方とても珍しい。深い理由があるのだろうな・・・。」



キョトンとした顔をしている自分の連れに、涙ぐんでしまった聖海さんは言う。



「みなさん!!獅子が後ろ向きに立っているこのすばらしい様子を見て、何も気づかないのか!それはあんまりだ。君たちは芸術がわかっていない!!そもそも芸術というのは・・・」




この後、10分以上聖海という名の素人が思う『芸術』について聞かされるが、ツアー客にはそんなことよりも先程屋台で買った菓子やら何やらが気になってしょうがない。が、面倒なので聖海さんの言っていることを聞き、不思議に思う。




「確かに他とは違っているなあ。これは帰ったときの土産話に語ろうかな。」

ツアー客の内の1人が言う。



誰が発端かは知らないが、俺もそうしよう、私もそうしよう、という声が頻発する。しかし、聖海さんは違った。そこで終わらせておけばいいのにこの話を深く掘り下げようとしたのだ。



聖海さんはもっと知りたいと思ったので、側で掃き掃除をしていて年配であり、何かを知っていそうな顔をする神官を呼んで聞いた。




「この神社の獅子の立ち方はきっと歴史のあることなのでございましょう。少しその歴史とやらをお聞きしたいのですが・・・。」



「そのことでございますか。すいません、子供たちのいたずらでこうなってしまったのです。本当にけしからんことでございます。」




そう言って獅子に近づいていき、本来他の神社でも見るような普通の向きに置き直されてしまった。




















結局聖海さんの感動の涙は無駄になってしまった。


市長は古文で言う領主のことです。

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