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恐怖七十二候  作者: 如月 一
白露(はくろ)
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玄鳥去(つばめさる)

9月15日深夜に届いたメールを見て私は愕然となる

これは、まさか……

何で私にこんなメールが

いや、ダメよダメ

今はダメ

私は震える指でメールをうつ

そして、返信をする

届いて

お願い 届いて

都市伝説のヒロシ君ってご存知?

知らない。ああ、そう。

ある時ね、携帯にメールが来るの。

今からそっちに行くよ、という感じのメール。

簡単に言うと都市伝説のメリーさんの携帯メールバージョンね。

メリーさんの話はご存知?

知らない。

あなた、なにも知らないのね……

あら、ごめんなさい。

馬鹿にした訳じゃないのよ。

気を悪くしたら御免なさい。

そうよね。あなた、まだ若いのだからこれから色々と学んでいくのよね。

まあ、いいわ。話を戻すわね。

メリーさんはね。

ある時、メリーさんと名乗る女の子から電話がかかって来るの。

今、どこそこの駅にいるわ。

見たいな電話ね。

心当たりがないから電話を切るんだけど、直ぐにまたかかって来るの。

それで今度は、○○橋のところとか、なんとかのお店の前よ、見たいな事を言ってくる。

切るとまたかかってくる。

かかってくる度に段々メリーさんが自分のところに近づいて来て……

あら、携帯にメールが来たみたい。

ちょっと御免なさい。メールを確認させてね。


ええっと、何処まで話したかしら。

ああ、段々自分に近づいて来るって所よね。

でね、最後に『お前の後ろにいるぞ!』ってなるの。

ね、怖いでしょう。

え?

それでどうなるのか?

さあ、話はいつもそこまでだから。どうなるかは私も知らないわ。

ふん、ふん。

ええ、そう。

そうよ。勿論、こんな話をするために貴女を呼んだ訳じゃないわ。

本題はこれから。

本題は、都市伝説のヒロシではなく、私たちのヒロシの事よ。

そうよ、私の夫のヒロシよ。

まあ、私としてもね。いきなり自分の夫の浮気相手と話をするのに本題からって勇気がでなかったわけよ。

あら、あら。どうしちゃったのお顔が真っ青よ。

私が知らないとでも?

嫌だわ、そんなことはあるわけないじゃない。

ええ、ええ。貴女達の事は調べさせたわ。

探偵所っていうのかしら。なんか推理小説見たいよね。笑っちゃうわ。

あら、またメール。

御免なさいね。ちょっとメールを確認させてね。

この件に関わる大切な用件だから。


あら、あら。そんなとこまで……

早いわねー。


御免なさい。

とにかく貴女達の事はバッチリ調べがついて……

え?

さっきのは探偵からのメールか?

うふふ。どうかしら。

私がそれを素直に話すと思う?

なんと言ってもこれからの交渉の大切なカードですからね。

ああ、最初に二つだけはっきり言っておくわ。

まず、あの人が何て言っているか知らないけど、私は別れるつもりはないから。絶対よ。

それと、貴女については浮気以外にも色々調べてるってとこ。

何が出てくるか楽しみでしょ。

まあ、長い話になりそうだったから食事をしながらと思ったのよ。

本格的な話は料理を食べてからにしましょうか。

……と、その前にちょっと御手洗いに行ってくるわ。

なんかお化粧が崩れちゃったみたいなの。

では、また後で。




全く、あの小娘が。

何、あの顔。ふてぶてしいったらありゃしない。

ま、それも今夜限りだけどね。

今ごろは、テーブルに置いておいた私の携帯を手に取っている頃よね。

ふふふ。

さっきのメールが『今、お店の前』だったから次がヒロシ君からの最後のメールのはず。

あの女、メールを開かずにいられるかしら。

最後にメールを開いた人がどうなっちゃうか知りたがっていたけど、本当、私も知りたいわぁ。

うふふ、どうなっちゃうのかしらぁ。

 の

  し

   み



2017/09/17 初稿

2017/10/23 誤記訂正


対になる候があったので続編な感じにしてみました。

プロローグ付きも初めての試みです。

主人公はとにかく時間を稼ごうと日時を変えてくれとメールしたら承諾された、という設定です。

何でも諦めずにやってみるものです。


次話投稿は9月23日を予定しています。


次話 雷乃収声かみなりすなわちこえをおさむ

これも対になる候がありますね。続編になるかは未定です。

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