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揺るがぬ想い

私達が発つのは5日後に決まったらしい。

蒼太達の出陣はその翌日だ。

もう、時間がない。

時間がたつのが速すぎて気持ちが追い付かない。

それは皆も一緒らしく、変な焦りが感じられる。

蒼太は限りのある時間を少しでも私と陽太の傍にいようと、常に目の届く距離にいてくれている。

片時も離れていたくないと言って、どうしても自室に居なければならないときは私を連れていった。

「蒼太、休めるのなら少し休んで…。最近少しも休んでいないわ」

私達との時間のために睡眠もとらずに夜、仕事をしている。

「…僅な時間、陽愛と陽太から目を離したくない。それに俺なら平気だ」

その笑顔にも疲れの色が伺える。

「蒼太…」

このままでは倒れてしまう。

このまま戦に行くなんて自殺行為だと思ってしまう。

「どうしても眠らないのなら」

そう言って、彼の肩を押す。

畳に押し倒された蒼太は驚いたように目を丸くした。

「私が寝かしつけてあげるから、少し休んで。

…大丈夫、ここに、傍にいるから」

握った手に力を込めて見つめる。

蒼太は余程疲れていたらしく、私の手を握りこんですぐに瞳を閉じた。

小さな寝息を聞きながら、陽太にするようにその髪を撫でる。

こんなに近くで寝顔を見れるのは私だけだと、こんな時なのに嬉しくなる。 

たとえ、離ればなれになったとしても。

会えなくなってしまっても。

触れ合えなくなってしまっても。

…手の届かないところに行ってしまったとしても。

生涯愛しいと思うのは貴方だけだと胸に誓う。

蒼太も陽太もとても似ている。

必ずこの二人を愛し抜くと改めて誓う。


蒼太の横で、私も久しぶりに心安らかに眠りについた。

温かな陽射しの中、今の幸せを噛み締めながら。

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