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積雪の決意

暫くの間、柴咲家の裏切りは隠されていた。

ばれたのはもう雪も積もり出した頃。

ばらしたのは、まぎれもなく私。

だからこれから何があっても後悔はしない、そう決めた。


「柴咲家を許してはいけません」

蒼太や汐里に届く声。

私には伝わらないようにと、蒼太や汐里は何も言わない。

私が田辺渚に告げたのだから気を遣うことはないのに。

柴咲家が弾劾されるのは当然のこと。

そうやって二人に伝えても、対応は変わらなかった。

日が経つにつれてその事が蒼太や臣下を疲弊させていく。

そうしてまでも私を守ろうとしてくれる皆に、私は…。

積もる雪を窓から眺めて立ち上がる。

その足で汐里の部屋に向かった。


「汐里、力を貸してほしいの」

人払いをしてから静かに口を開く。

もう何を言うのか想像がついたのか、汐里は悲痛な顔で黙りこんでいる。

「蒼太が昼間、外出している時に決行したいと思ってるわ」

だからお願い、そう言っても汐里は黙っている。

まるで私を見定めているかのように。

「これは私の問題よ。私の手で終わらせたいの」

汐里のその手を握り、すがるように頼む。

どんなに誰かを傷つけてもいい。

自分が傷ついたって構わない。

それでも、蒼太や春宮家だけは私を理由に傷付いて欲しくない。

一人では何もできないから、手を貸してほしい。

静かに何も言わずに頷いた汐里は優しく私の手を包み込んた。

「たとえ何があったとしても…私はあなたの味方よ」


すっかり積もった雪に手を触れて、空を見上げる。

空は私の気持ちを映したかのように薄暗かった。


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