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託された約束

朝起きるとすでに義父は旅立っていた。 

誰も見送りに来させず、ただ一人使いをつれて出ていったらしい。

汐里さんは少し寂しそうに笑って私に伝えた。

窓の外で少しずつ色付く木の葉が、風に揺れていた。


「陽愛、ちょっといい?」

汐里がそっと手を引いて私を部屋から連れ出す。

連れてこられたのは雪乃さんの部屋。

「蒼太郎様から預かったものがあるの」

そっと腰をおろして汐里を見つめる。

懐から出したのは真っ白な柄の懐刀。

「これは元は雪乃様の物だったの」

言いながら汐里は私の膝の上に置かれたその小さな刀を愛しそうに撫でる。

「亡くなってからは蒼太郎様がお守りとして身に付けていたわ」

そっとその刀に触れてみる。

冷たいはずの刀は熱を持ったように暖かく感じた。

「それはあなたに託すと、蒼太郎様は置いていかれたの。

それで自分の身を守りなさい、とのことよ」

汐里はいつものお日様のような笑顔で、優しく私の肩を叩いて部屋を出ていった。

一人残された私はこの刀を見つめて考える。

私も、結婚して家を出る際に懐刀を渡された。

それは柴咲家の障害を消すようにと言われて渡されたもので、

決して私の身を守る為の物ではなかった。


「私は必ず…何があったとしても蒼太と春宮家を守ってみせる…!」

真っ白な懐刀を握り締めて、小さく決意を呟いた。

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