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少しの変化

汐里ちゃん目線のお話

「陽愛はそろそろここでの生活に慣れてきたか?」

蒼太郎様が私に聞く。

「それは私ではなく陽愛様に聞いた方がよいのでは?」

率直に申し上げると蒼太郎様はその強面に似合わない困ったような微笑を浮かべた。

「陽愛に聞いたら正直な気持ちは話してくれんだろう。お前から見てどう思うかが聞きたい」

蒼太と陽愛は確実に距離を縮めてきている。

陽愛も来たばかりの時よりは表情を表に出すようになってきたと思う。

「私から見ても最初の時よりは慣れてきてくれていると思います。

それに、蒼太さまとも打ち解け出しているように見えます」

最近の陽愛は蒼太に貰った簪を毎日付けているし、微々とではあるが笑顔や困ったような顔を見ることもある。

「そうか、今後も陽愛を頼むぞ」

その言葉に頷いてから部屋をそっと出る。

蒼太も陽愛も傍目にもわかるほどお互い好き同士なのに、二人とも鈍感にもほどがある。

さて、陽愛の警護に戻ろうと部屋に近付くと会話が聞こえる。

昼間に蒼太が来るなんて珍しい。

「…陽愛、陽愛はここに来て良かったか?」

蒼太が不安そうに聞く声が聞こえる。

「私は、春宮の家に来たおかげで人と一緒に居ることがとても安心するってわかったよ。それに、あんなに楽しいお出掛けも初めてだった」

陽愛のその返事に安心しながら部屋から離れる。

どうせ今から天然で特に意識しないまま甘い言葉を吐くのだろう。

私はそれを聞くべきではない。

さて、陽愛はいつ自分の気持ちを自覚するのだろうか。

それは自分で気付かないと意味がないと知っているから、見守るに限ると空を見上げた。

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