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3話 空を仰ぎ見る者とネコミミ軍師





――――――――――――――





「すみませぇーん」


僕は曹操の屋敷の門の前で声を張り上げる。


「何か、ご用ですか?」


中から兵が出てくる。


「すみません。兵糧の納品に来ました」


「あぁ、はい。聞いております。中へどうぞ」


僕は荷馬車を連れて門をくぐる。


今日のお仕事。


――――――お使い。


これを渡して、帳簿に印を頂く。


簡単なお仕事。まだ見習いですから。


その上にいくつもりはないけど……。


どうやら遠征の準備で皆さん忙しいみたいですね。


ではでは早く印を頂き、帰りましょう。


「さて。責任者の方は……?」


僕は責任者を探す。


とは言っても顔知らないんだけどなぁ。


「あ。……あの人っぽい」


僕は責任者らしき人を見つけた。


「あの。すみません」


「……何?」


小さな女の子に声をかけました。


いえ。別に他意はありません。


ネコミミフードに惹かれてません。


「兵糧管理の責任者の方ですか?」


「……そうだけど。それが何か問題があるのかしら?」


いえ。別に毒舌に心、揺られてませんよ。


被虐趣味じゃありません。


この娘もピリピリしてるのでしょうか。


「――もし、問題があるなら、理論的に説明してちょうだい。少しでも破綻してるようなら笑ってあげるからさ」


え?ゾクゾクしてませんよ。


「………」


「何よ、見ないでくれる。妊娠したらどうするのよ」


「―――想像妊娠ってやつですか?」


「はぁ?」


「いえ。こちらの話で。それと糧食のお届けに上がりました。確認の方をお願いします」


帳簿を渡す僕。


「ふん」


奪うように受けとる少女。


あぁ、これがデフォルトなんだな、この娘。


ツンデレ割合、10:0なんだ。


ヤバい、スゴく弄りたい。


「今回は随分と少ないのですね」


「はぁ?何がかしら?」


帳簿を確認する少女に話しかける。


「糧食のことですよ。いつもならこの倍は発注なさるのですが?」


「……それが何?その事が貴方の人生に何の影響があると言うの?」


帳簿から目を外さずに、嫌そうに答える。


「ただの世間話です。もしや、孟徳殿は財政難ですか?」


「そんなわけないでしょ?!曹操さまの納めるこの町で財政難なんてありえないわよ。貴方、馬鹿なの?本当に人間?猿なんじゃないの」


おぉ。まさに罵詈雑言の嵐やぁー。


「そうですね。人は元々猿だったと言う説から考えるに僕が猿であるということは広い意味ではそうであるかもしれません」


うんうん、と頷いてみる。


「………」


あ。無言になっちゃった。


でも物凄く、冷やかな視線を送られている。


だから、ゾクゾクしてませんよ?


「アンタ、何なわけ。いきなり訳の分からないことを言い出して」


「世間話ですよ。……えぇと、お名前は?」


「何で、アンタ何かに教えなきゃならないのよ。私の名前が汚れちゃうじゃない」


「あぁ。僕は役小角と言います、文若殿」


「――なっ!?何で私の名前、知ってるのよ!?」


「帳簿に書いてありましたから」


と帳簿を指さす。


「……あ。ふ、ふん」


失念してましたね。慌てて確認作業に戻りました。


「終わったわよ。ほら、印も押したわ。これで用は済んだでしょ」


シッシッと手を振る。


「はい、確かに。それでご相談なのですが、文若殿」


「なによ、まだ何かあるわけ?」

「もし、よろしければ残り半分、価格を勉強させてもらい、お売りしますけど?」


「別にいいわよ。これだけで足りるんだから」


「そうなのですか?」


「えぇ、そうよ。もういいでしょ?私は忙しいの、アンタなんかに構ってる暇は無いのよ」


そっぽを向かれました。


「――少しよいだろうか?帳簿の提出がまだなのだか、何か問題でもあったのか?」


そこに夏侯淵が来た。


あ。長居し過ぎたか……。


「あ、すみません。帳簿はここに。搬入の者が邪魔をしまして、遅れてしまいました」


僕をキッと睨み付け、夏侯淵に帳簿を渡す。


「搬入の者?……ん?小角殿か」


「どうも、妙才殿」


「本当にあの店で働いているのだな。華琳さまに会われていくか?」


「えぇ。自業自得ですから……。後、仕事中なので遠慮します」


「知り合いなんですか、夏侯淵将軍?」


「あぁ。まぁ、そんな所だ。それではこの帳簿は私から華琳さまに渡しておく」


帳簿を受け取り、去っていく。


「ちょっとアンタ、どう言うことよ。ただの小間使いの男が夏侯淵将軍と知り合いなんて………」


「まぁ、成り行き、です」


「はぁ?成り行きって。詳しく聞かせなさいよ」


えぇと、早く帰りたいです。


「それに曹操さまとも………」


「成り行きで知り合いですね」


「だから、成り行きって何よッ!!」


「成り行きと知り合いって似てません?」


「似てないわよ!」


「鶏と卵、どちらが先に生まれたんでしょう?」


「知らないわよ!」


「海には八本の足を持つ魚が居るそうですよ」


「たがら、なんの話よ!」


「世間話?」


あ。ちょっと楽しい、かも。


いや、そんなことより帰ろう。曹操に会う前に………。


「それでは僕はこれで失れ―――」


「おい、さっきの者。ちょっとよいか?華琳さまが話があるそうだ」


夏侯淵が戻ってきた。


何とか助かったみたいですね。セーフです


「あ、はい」


あれ?少し嬉しそう?


「それと役小角殿も一緒に来てもらえるか?」


はい。アウト。


1アウト。ただし気分が乗らないのでチェンジ!





「責任者を連れてまいりました」


城壁の上に案内された僕と少女。


そこには曹操と夏侯惇が居た。


「ご苦労だったわね、秋蘭。それと久しぶりね、役幺戯」


「えぇ。こんにちは、孟徳殿」


とりあえず挨拶。


そして傍観。


どうやら糧食が指定の半分の量だったようだ。そしてなにやら少女が言い分があるようだ。


しかし、僕は関わりがなさそうなので城壁の端で空を眺めていよう。


あぁ。蒼天だ。高い所から見るのも、これまた中々。



……




…………




………………




「――ふ、ふふふ。あははは」


曹操の笑い声で僕は振り返り、3人と1ネコミミフードを見る。


曹操の鎌が寸止めされている所だった。


その後、少女から真名を受けとる曹操。


そしてこちらへ歩いてきた。


逃げ道としては城壁を飛び降りるを選択するしかない。


「実は糧食の追加を頼もうかと思ってたのだけれど……。どうやらその必要はなさそうなの」


「そうですか。………なにやら、嬉しそうですね、孟徳殿」


「そうね。中々面白い娘だったわ」


その“中々面白い娘”が後ろから刺さるような視線を僕に放ってきます。


「それに貴方を私の物に出来れば、尚嬉しいわね」


「それでは用事は無くなったようなので僕はお仕事に戻ります。それではごきげんよう」


スカートではないので端を摘まんでお辞儀は出来ないので、僕はそのままその場を後にします。


戦略的撤退。

















時間は経過して、遠征の帰り道の途中の曹操軍。


「桂花、何か言い訳はあるかしら?」


荀イクが糧食を半分しか用意しなかったことに対して提示した条件は陳留に戻るまで糧食を保たせること。


そのために荀イクは自らの作戦を採用させ、戦闘、移動時間の短縮をした。


だが陳留へはもう少しかかる道半ばで糧食は尽きそうになっていた。


原因は分かっている。行く途中に出会った、許緒――季衣である。人の何倍も食欲のある彼女を途中から迎えた為だ。


だがそれでも約束は約束である。


「いいえ。不足の事態も予測するのが軍師の務め。この荀文若、如何様な罰も受けましょう」


「……そう」


「華琳さま、前方より商団が来ます」






「どうも、曹孟徳さま。糧食の補充に参りました」


商団から出てきたのは先日、役小角を連れていった劉忠という商人だった。


「糧食の補充?誰がそんなことを?」


おかしい。誰も使いを出した覚えはない。


「……荀文若さまですが?」


「桂花が?」


荀イクの顔を見ると驚きの色を隠せないでいた。


「はい。私はそう“幺戯殿より”聞きましたが………」


「―――あぁ。そういうこと、ね」


やはり、あの人材を野放しにしておくのは勿体ないわね、と1人呟く。


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