似て非なるもの
殺人鬼とアイドルという正反対の全く似ても似つかない二つの顔を持った軽海愛人と別れたぼくは街路地を歩きながら物思いに耽っていた。
あいつはいつ捕まるんだろう....。
いつか捕まえてくれる人が出てくるんだろうか。
まあでも捕まらない、あいつは。
そんな気がする。
それにしても本当に人を殺したいだけなのだろうか?
人を殺したいやつが殺せなかったやつを見て笑うだろうか?
ぼくを殺せなかったあいつは本当に嬉しそうな顔をしていた。
俺でも殺せないようなやつがいるって、そんな表情だった。
いい加減飽きているのかもしれない、人生に。
まあぼくも似たようなもんだけど。
そういやあいつは人を殺したいんじゃなくて息をするように生きるように人を殺すやつだった。
まったく....ひねくれたもんだよ。ぼくたちは。
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悪運の強いあいつと別れた俺は街路地を歩き物思いに耽っていた。
あー失敗しちまったなあ。
そんなことを思いながら笑う。
殺しにいったのにそれを読まれていた。
普通の人間なら殺れていただろう。
あいつはどこか普通じゃないっていうのか?
運動能力も並々だった。
いや普通なのが普通じゃないんだ。
この個性のある誰でも個性を持っている世の中で普通なのが。
まあきっとあいつは根本的におかしいんだな。
そう結論づけることにした。
おっと、それは俺もだった。
まったく....気の毒なもんだぜ。俺たちは。
無意識に人を壊す人間と
無意識に人を殺す人間は
別々の道を歩きながら呟いた――――。
「これからよろしくな俺。」