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第五話:会議、危険な役割

午前はスパーロと供に子供達と遊び、あっという間にすぎた。

時は昼の時間になる。


「ウィンお姉ちゃん、スゥ兄ちゃん、ばいばーい!!」


大きな声で、別れを告げる子供達。

お昼を食べるため、それぞれ家に帰っていった。


「さてっ、俺たちも家帰ってメシにするか!!」


「昼はちゃんと“自分の家”でたべるのか?」


「ーー♪」


わざとらしく尋ねると

案の定、何も答えを返さずに口笛を吹きながら

先へ行ってしまうスパーロ。

この調子じゃ、また家にくる気だ…。



…そんな予想は当然の事のように当たった。

スパーロ共々、ジャクさんも申し訳なさそうに来たのである。

ジャクさんはいいとしても

スパーロはもう少し遠慮と言うものを身に付けるべきだ!

そう来るたびに毎度思うのだが、もうアイツの性格上

諦めざる終えない…。

世間一般的に言う”ずうずうしい”と言う分類の奴だ。

朝と同じく4人で昼食をとる。


「ウィリー、そろそろ皆で話し合いがしたいんだが…」


「あ、あぁーそうだな。

 午前はゆっくりしたし、めんどーだがやるかぁ」


やるせないと言った感じで、あくびを一つ。

まったくのん気というか気楽と言うか…。


「面倒とか言うな。

 長のお前が指揮とらずに誰がやるんだ?たくっ…」


「すいません、不肖の父がいつもいつも」


「いや、いいよ。もう慣れてるからな…」



本当に申し訳なくなってくる。

これがいつもの事と処理されてしまっているから、なおさらだ。

本来なら、拠点に着いてすぐにでも

食料地の確保やら、場所の安否などなど…

色々と調査して話し合わなければならない。

それなのに長がこのぐーたら親父だから、なにかと後々になっている。


「午後にはちゃんとやれよな!!」


「わ、わかってるって!ウィン。

 そんな父さんの事、睨まないでおくれっ」


「睨まれるほどの事をやってる

 …と言うか、”やらない”のがいけないんだ!!」


「ウィンちゃ〜ん」と気色悪いくらいの声を出している親父を無視し、

「哀れだな…」とのスパーロの意見もサラッと流して、昼食を続けた。


「それじゃ〜そうだな…食事が終わったら、皆をここに徴集して

 会議という訳でいいか?ウィリー」


「あぁ…それでいい」


さっきの、私が無視した余韻が残ってか返事が沈んでいた。

だから…毎度のことなんだから、それくらいでヘコまないで欲しい…。

こんな感じで昼食は終わった…。



「全員集まったようだな。

 それじゃ〜始めるぞ!」


午後、ようやく会議が開かれた。

子供以外は全員集まり、皆来たようだ。


この議題と言うか、報告は

それぞれの役割に沿って調べた、周辺の様子を皆に発表する。

だいたい、親父が二日酔いで、うなされていた間に皆調べてきたみたいだ。

さすが…というか、まともと言うべきか。

いかに、長なのに親父が動いていないかがわかってしまう…。

近年、親父が長になってからはお馴染みの事なので皆は特に言わない。

親父は本当に司会進行役をやるだけ。

事柄はすべてジャクさんが記録するので本質、あまり働いていない気がする。

たぶん、気のせいではないのだろうが…。


そんな駄目親父報告は置いといて。

各自の報告がだいたい終わった所を見計らって、私は挙手した。


「ウィンか、何かあるのか?」


「人間の事で…お話したいことが」


一瞬で空気が変わる。

場は張り詰め、皆は私の言うことに緊張感を覚えたようだった。


「ふむ。どういう事だか話してくれ」


「はい。

 先ほどの報告の食料が豊富な区域A1で人間を見つけました」


張り詰めた空気が、ざわめきに変わる。

動揺を隠し切れないようだ。


「静粛に!

 皆、落ち着くんだ…」


「続けてくれ…ウィン」


ジャクさんの一喝で、先ほどと同じ緊張感という名の静まりにもどる。

そうすると、親父が話をうながす。

私はコクンと無言でうなずいて話を続けた。


「一人だと思われますが、はっきりとはわかりません。

 その人間は、A1から南西へ約2,3km離れた場所の教会に出入りしている模様です」


「例の教会か…ジャクから事前に受けたぞ

 良く見つけたな」


「たまたまです」


あんな不快森に囲まれたところなんて簡単に見つかる訳がない。

私は運良く、かすかな鐘の音を聞いてたどり着けたのだから…。


「…惜しいですが、そこのA1はあまり近づかないほうがいいでしょう」


悔しそうな感じでジャクさんは、状況結果を言った。


「そうだな…。

 なるべく、他の場所で食料は補おう。

 もし…それでも足りない場合では…誰かに行ってもらわねば。」


「その時は、私が行きます!!」


「ウィ、ウィンっ?!」


隣で聞いていたスパーロが私の答えに驚きを漏らす。

まさか、ウチが立候補するなんて思わなかっただろう。

辺りもそう思ったのか、また一気にざわめきがした。


「ウィンちゃん、やめといた方がいいよぉ」


「そうだ。何も、若いモンが行くまでもない。

 ここは大人に任せて…」


「そうだぜ!ウィン、皆の言う通りだってっ」


辺りが言う中、私の意志は変わらなかった。


「ウィン、何故お前が、行こうとする?」


「私は一度行ったことがあります。

 そのA1区域にも教会にも…周辺の地形はわかっています。

 …それに、私は皆の役に立ちたい!!」


「…そうか。じゃぁ、任せるぞ?」


「はいっ、お任せを」


「よっし…これでだいたいは決まったな。

 あとは各自、問題点があったら私の所かジャクの所へ知らせに来るように

 以上だ!会議を終了する」


こうして、会議は慌しく終わっていった。



その後、私は昼食の食器を洗っていた。

これが終わったら荷物整理をしないとな…などと考え事をしながら。



「本当に大丈夫なのか?!

 なんなら俺もついてくぞ!!」


「…はぁ、大丈夫だって

 そんなに心配されるほど危ない所じゃないって」


「だってなぁー?!

 人間がいるんだぞ?あぶねーだろ!」


「そーだけど…」


手を動かしながらも、スパーロの問いに答えを探していた。

一人と私は断定したが、それが合っているとも限らない。

例えそれが合っていたとしても、その人物が何を持っているかわからない訳だ…。


「でも、2人も行ったらバレる可能性が高くなるし

 やっぱり単独で行った方がいいと思うんだ」


「そーだけど!!」


「大丈夫。

 そんなに心配しないでくれ、スパーロ。

 私はやりたいと思ったし、あんな親父も信頼して私に任を任せてくれた

 この役、まっとうしたいんだ…」


「……わかった。

 ウィンがそこまで言うんなら…」


「ありがとう、スパーロ」


「けどっ、無茶は禁物な?

 一人で危ないのは確かだからな!」


「あぁ、わかってる」


「ふぅ…しょーうがない。俺が折れますか」


不満はまだありげだが、なんとか納得してくれたみたいだ。

よかった…。


「あっ、でも!近くまでは同行するからヨロシク」


「はいはい、わかった」


本当に心配性だな…スパーロは。

なんだかおかしかったし…嬉しかった。




今回、実はやたらぐーたらで駄目親父の見せ所がメインです(笑/微嘘

ウィンとあの青年のレガートの接点がよーやく多く出せそうな展開に持ってこれました!

なので!前までは、幼馴染のスパーロがちょい多かったですが

本格的に、レガートとの絡みがでてくると思います(たぶん

こう、ご期待!!


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