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ヒロインから悪役へ  作者: ゆき
第Ⅰ章 薄暗い塔
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幸せな人生

魔法帝国ペルシナには火・水・土・風・雷・闇・光の6つの魔法があり、その中でも闇と光の適性を持つ人は少なく希少だ。


全ての人には大なり小なり魔法適性があり、希少な魔法を持つものは国で保護され、特に光属性の人は治癒や結界などが得意であるため聖女・聖人として崇められる。闇属性の人は破壊を得意とするためかつては忌み嫌われていたが、今ではそのような偏見はほとんどなくなり、むしろ国の守り手として畏怖されている。ちなみに昔ながらの慣習を持つ家では今でも偏見があるらしいがごく少数である。


また、この国には身分制度があり、身分が高いものほど通常は魔法適性が高い。そのため貴族たちはその恵まれた魔法適性によって領地を守り、統治してきた。


私はミライ。

自然豊かでみんなで助け合って生活をしている、貴族社会とは縁遠い、小さな農村出身だった。


幼いころに両親を火事で亡くし、その後はおばあちゃんとおじいちゃんに支えられて、大変でも楽しかった。


しかし、12歳に義務付けられている魔法適性調査で希少な光属性だとわかり、貴族だけが通える魔法学園に通えることになった。


いくら希少な光属性だとしてもそれまで生きてきたのは小さい村なため、染み付いていた癖を治すこともできず、ついつい学園では無作法な行動をしてしまった。例えばタメ口で初対面の人に話しかけてわいわいやったり、王太子だと知らず啖呵を切って勝負をけしかけたり、自然豊かな学園で村でのことを思い出し近くの木に登ったり、お菓子を作ってみんなに分けたり…etc.


すると(農村の常識では)めずらしいことをやっているわけでもないのに、平民のことが珍しいのか、いろいろな人が寄ってくるようになった。王太子のセドリックのセド、騎士団長の息子のダミアンのダン、魔法局長の息子のアントスのアス…などなど。


小さい農村では女子男子関係なく自由に遊んでいるため、特に何も思わず彼らと遊んでいた…つもりだった。


そのうち何故か嫌がらせをされるようになった。何故に?私は普通に遊んでいるだけなのに…。

でも、私は気づいたの!運命っていうのがあるってことを!

いつものように平民のくせにって悪口を言われていたら、セドが来てくれて、庇ってくれたの!


それまでただの友達だと思ってたけど…セドってこんなにもかっこいいんだね…。


でも嫌がらせは続いたの…。


特にセド(王太子)の婚約者らしいセレーナ公爵令嬢などは直接「セドリック様と関わらないでくださいませ!」とか言ってきたのだ。でも、セドとセレーナさんは政略結婚らしいじゃない?嫌がらせをするような人と強制的に結婚だなんて…恋愛も自由にできないとか、セドがかわいそう。はぁ、にしてもなりたくもないのに聖女にならされて、貴族社会に放り込まれて、挙句の上にいじめられるだなんて、世界広しといえども私が一番かわいそうすぎない?


そんなことをやってたら、あっという間に学園卒業になった。

そして、卒業パーティで、やっと、やっと、セドは私の王子様になってくれたの!


「セレーナ公爵令嬢!私、セドリックはお前との婚約を破棄する!」


「…!?」


「お前の悪事はもうバレバレだ!ここにいる聖女をお前はいじめていただろ?!そして聖女の暗殺計画もたてていたと聞く。お前にはいい加減うんざりだ。証拠は出揃っているんだ!おとなしく投降してもらおう。ちなみに親に助けてもらおうとしてもそうはいかない。すでにお前の両親はお前のことを見限ったようだぞ。貴様の罪状はまた後で裁判にて読み上げるとして…まあこのままいけば処刑だろうな」


「んな!?わたくしはやっておりませんわ!それはそこのアバズレ女が勝手に作り出した嘘の証拠でなくて!?」


「アバズレだとお!?聖女のことをそんなふうにいうだなんて…早く連れていけ!」


「そんなっ!セドリック様はその女に騙されているのですわ!」


「うるさい!…さて、聖女、いや、ミライ…私と、結婚してくださいませんか?」


「セド…もちろん!」


「この悪女があああああああ!!!わたくしの、わたくしの、セドリック様に触るなああああ!!!」


「悪女はお前だ、セレーナ!!」


「いやあああ!わたくしが、わたくしが、何をしたっていうのよ!ただ、ただ、愛されたかった、それだけなのに…。わたくしにはそれが許されないのですか?神様!」


数日後


「死刑を、執行する」


私はセドの隣で王太子妃としてそれを見ていた。


歴史上もっとも力が強い聖女のことをいじめ暗殺までたくらんだ稀代の悪女、セレーナはキッと私を睨めつけた。


「…っ!こ、怖い…」 あぁ…なんて可哀想な私。


「大丈夫か、ミライ。私がお前を一生守ろう」


「セド…」


こうして、悪女(セレーナ)は処刑された。


その後、私はなんやかんやあったけども最終的には歴代最高の力を持つ聖女に贈られる称号、「大聖女」だなんて呼ばれ、みなから愛され、エドと愛しい子供たちを身ごもり、大往生した。


はずだった。


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