冬、そして新しい春
冬になりました。
カマキリだけでなく、他の虫たちやカエル、トカゲなども姿を消し、野山は静まり返りました。
地面の下では、サリアの死骸を運んで行ったアリたちも、春が来るのを待っているでしょう。
木の実なども少なくなり、お腹を空かせた鳥たちが野山を飛び回り始めました。
カマキリを始めとした卵や、ミノムシの蓑などのさなぎ、木の中や落ち葉の中に隠れていた幼虫・成虫たちも、何匹かは見つけられ食べられてしまいました。
やがて雪が降り積もり、野山は真っ白になりました。
低い枝に産み付けられていた卵は雪に埋もれ、寒さで死んでしまいました。
しかし、幸運なことにサリアが産んだ二つの卵は、鳥に見つかることも雪に埋もれることもなく無事でした。
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冬が過ぎ、春が訪れました。
サリアの卵がかえり、幼虫たちが生まれました。
サリアの子どもたちは、一年前のサリアと同じように脱皮し、アブラムシを捕まえに向かいます。
かつてサリアがそうしたように、今度は彼女の子どもたちが、必死に生きて子孫をつないでいきます。
また地面の上では、サリアの死骸を食べて冬を越えたアリたちが、サリアの子どもたちやアブラムシの蜜などを求め、行動を始めました。
さらには、サリアの兄弟や仲間のカマキリなどを食べて生きて来たカエルやトカゲ、鳥たちも活動を始めました。
サリアとその仲間たちがそうだったように、サリアの子どもたちも、その多くが他の生き物に食べられ、生きる糧となって行くでしょう。
サリアの寿命は一年も持たずに尽きてしまいました。
しかしその命は、子孫や捕食者の命を繋ぎ、何年、何十年と繰り返して新しい命を生み出していくのでした。




