夏
夏が近づくにつれて、サリアの身体はだいぶ大きくなりました。
生まれたばかりの頃はアブラムシしか獲れませんでしたが、次第にハエやハチなどの大きな虫もエサにするようになりました。
春には自分たちを食べようとしていたクモですら、今では逆に捕まえて食べてしまえる程です。
しかし、サリアの兄弟たちも鳥やトカゲなどに食べられ、だいぶ少なくなってしまいました。
ある日、サリアが草むらで獲物を待っていると、少し離れた所で別のカマキリが待ち構えているのが見えました。
あれは、サリアと同じ卵から生まれた兄弟の誰かでしょうか?
それとも別の卵から産まれたのでしょうか?
突然、一羽の鳥がサリアとそのカマキリの間に降り立ちました。
サリアもそのカマキリも草に擬態し、鳥が去って行くのをただじっと待ちます。
次の瞬間、その鳥はサリアとは別のカマキリを口に咥え、飛び去ってしまいました。
大きくなっても死と隣り合わせの暮らしをしていることに変わりはなく、サリアは今日まで生き延びてこられたのは、とても幸運なことだったのです。
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夏が深まる頃、サリアはすっかり成虫になりました。
成虫になったサリアは、今まで以上に食欲旺盛になりました。
産卵に備え、栄養を蓄えるためです。
今ではセミやトンボなど、サリアと同じくらい大きな虫や、小さめのカエルなどもエサにするほどになりました。
サリアはできるだけ大きな獲物を捕まえられるよう願いながら、待ち構えていました。
すると不意に、後ろから何かが飛びついて来ました。
それはオスのカマキリでした。
オスはサリアの背中に飛びつくと、抱きかかえるようにして交尾を始めました。
やがて終えると、オスはサリアから離れようとしました。
次の瞬間、サリアはオスを捕まえ食べ始めました。
サリアだけでなく、腹をすかせたメスのカマキリにとって、交尾のために近づいてくるオスは、栄養源の一つなのです。
その後、サリアにはまた別のオスが交尾に抱き着いて来ましたが、その時はオスの方が一枚上手で逃げられてしまいました。




