春
ある春の日のこと。
日本の野原にある、小さな木の枝についていたカマキリの卵がかえり、幼虫が生まれました。
カマキリは一つの卵のうの中に、数百もの卵を産みます。
そのため、数百匹の幼虫が一斉に卵のうから出てきます。
その中に一匹のメスのカマキリ―――――サリアがいました。
生まれた幼虫たちは細い糸を引いており、卵のうに垂れ下がったまま脱皮します。
サリアも必死に身体を動かして、ようやく脱皮を終えました。
しかし、脱皮した直後の身体は柔らかく、まともに動くことができません。
そのため、サリアはしばらくの間、身体が固くなるのをその場でじっと待ちました。
その間にも、先に孵化したサリアの兄や姉たちは次々と脱皮を終え、後から生まれたサリアや弟、妹たちの身体をよじ登り、上へ向かって行きます。
サリアも身体もようやくちゃんと動けるようになり、枝の上へと上ることができました。
その時、地面の上では、脱皮の途中や身体が固まる前に落ちてしまった兄弟たちが、アリやクモの餌食なってしまっていました。
脱皮を終えたカマキリは、さっそく狩りを始めます。
獲物は、虫の中で最も弱いアブラムシの仲間です。
サリアも兄弟たちと一緒に、アブラムシを捕まえて食べ始めます。
その時、サリアの近くで狩りをしていたカマキリに、一匹のクモが襲い掛かりました。
サリアは慌ててその場から離れました。
アブラムシを食べようとする虫は、決してカマキリだけではありません。
そしてその中には、カマキリも食べようとする虫もいます。
またアブラムシの周りには、アブラムシが出す甘い汁を目当てにアリが集まってきます。
当然、アリたちはアブラムシを食べようとする虫を追い払います。
食事の間も決して油断はできないのです。




