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お姫さまと人形

作者: 亥口一人
掲載日:2026/01/12

あるところに、小さなお姫さまがいました。


お姫さまはいつも、お城の奥でひとりぼっちで過ごしていました。


お姫さまはときどき、お城の外に出たい、と願います。


けれども、王さまは決して許しません。


お城の外は、危険なことで溢れているからです。


だからお姫さまには、友だちが一人もいません。


寂しい時は、土で作った人形に話しかけて気をまぎらわしていました。


ある日、お姫さまは土で女の子の人形を作りました。


丁寧に髪をとかし、花を飾り、めいっぱい可愛くしてあげました。


すると、どういうわけか、人形の口が動き出したのでした。


「こんにちは、お姫さま。わたしはあなたの優しい心から生まれました」


お姫さまは、目を丸くしました。


でもすぐに笑顔になって大喜びしました。


二人はまもなく、友だちになりました。


お姫さまは人形のことが大好きで、人形もお姫さまのことが大好きでした。


だから人形は、お城で侵入者を見つけた時、まっさきにお姫さまを守ることを考えました。


わたしがお姫さまのふりをすれば、騙されてくれるかもしれない。少しくらい時間稼ぎができるはずだ、と思いました。


人形はたちまち姿を変え、お姫さまの生き写しになります。


それに気付いた十の影が、一斉に人形を襲います。


人形はひらひらとかわしながら、姫さまに状況を伝えます。


二人には心のつながりがありましたから、姫さまにはきっかり伝わりました。


姫さまはすぐに王さまの元へ駆けつけると、人形を助けてくれと訴えました。


それを聞いた王さまは、


「わかった、すぐに兵を準備しよう」


と言いました。


けれども心の中では、


「これは、あの怪しい人形の忠誠心を確かめる良い機会だ。しばらく様子をみてみよう」


と考えていました。


だから、お姫さまがいくら急かしても、まだ時間がかかる、もう少し待っておくれ、と繰り返すばかりでした。


そのうち、お姫さまが泣き始めました。


人形の声が聞こえないの、と言うのです。


それを聞いた王さまはようやく腰を上げ、兵を連れて人形の元へと向かいました。


お姫さまも、小さな足で懸命に王さまのうしろをついて歩きます。


そうして、やっとのことでその場所についた時、人形はほとんど生き物の形を取ってはいませんでした。


頭と胴体はぼろぼろ。


腕はなくなって、代わりに無数の長い石棘のようなものが生えています。


棘はそれぞれ、黒装束を捕えたり突き抜けたりしていました。


あたりは真っ赤に染まっていて、十一の人影は最初からそういう彫像だったかのように、いびつな形のままぴくりとも動きません。


お姫さまは、泣きくずれました。


「ああ、わたしが助けに来なかったから、この子は絶望して心を失ってしまったんだわ」


王さまは、満足気に笑っていました。


……という夢を見たので、文字に起こしてみました。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

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